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え?“ささいなこと”ほど根深い?ほとんどみんなが知らないトラウマのリアル②
こんにちは。かちゆみこです。
前回のコラムでは、「トラウマ」全般のリアルについて書いてみました。
まだ、読んでいない方は、まずは ↓↓↓をお読みください。
今回は「どんなことがトラウマになるのか?」という切り口で、トラウマ(虎馬)さんの誤解を解いていきたいと思います。
その前に・・・
まずは前回のおさらいです。
トラウマは出来事そのものではなく、「圧倒されている」体の状態
これ、トラウマを正しく理解するために、とっても大事なポイントです。
だけど「圧倒されている」って言われても、なかなかイメージしにくいかもしれません。
「圧倒されている」を体感していただくために、ちょっと想像してみてください。
・・・・・・・・
あなたは動物園でとっても楽しい時間を過ごしていました。
すると、たまたま、檻のカギが開いていて、虎があなたに近づき、威嚇します。
「ガオーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
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リラックスしていたあなたの目の前に、いるはずのない虎!!!!!
今にも襲われそう。そんなとき、あなたはどんな状態になりますか?
心臓バクバク。
頭がパニック
思考停止。
冷や汗。
呼吸困難。
目はうつろ。
息ができない。
何もできない。
・・・これらが「圧倒されている」状態です。
なかなか、虎が日常に襲いかかってくる状況はないと思いますが(笑)、自分にトラウマがあるのか、ないのかの大きな判断ポイントは、このような「圧倒されている」感覚が今でもあるのかどうか?です。
大人の感覚ではなく、こどもの感覚でとらえ直す
トラウマの正しい理解のために、これもめちゃくちゃ大切なポイントです!!!
大人の感覚ではなく、こどもの感覚でとらえ直す。
え?どういうことか!?というと・・・・
虎の出没は、大人にとってもこどもにとっても「圧倒される」状況ですが、こどもは大人よりも繊細で、あらゆる状況により「圧倒されやすく」なります。
たとえば、同じ出来事であっても、大人にとっては、自分の周りをブンブン飛び回る”蚊”レベルの認識でも、こどもにとっては、襲いかかる”虎”レベルに感じてしまうこともあり得るということ。
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ギャンギャンと泣きわめくこどもに対して「ちょっと転んだだけじゃない?」とか「なんで、そんなにこわがってるの?」ってリアクションの大きさに驚くことありませんか?
これは、大人脳とこども脳との違いによるもの。
【大人脳】
・前頭前皮質がよく発達しているので、感情をコントロールする能力がある。
・冷静に考え、計画的に行動することができる。
【こども脳】
・脳はまだ発達途中で、特に感情やストレスを管理する部分(前頭前皮質や扁桃体)が完全には機能していない。
・トラウマが発生すると、脳の発達に影響を与え、将来的な感情コントロールやストレス対応能力に問題を生じることがある。
・トラウマによって、過剰に敏感になったり、不安定な行動を示したりすることが増える。
つまり、大人にとっては「たいしたことない」「ささいなこと」であっても、こどもにとっては、その後の人生においても重篤な悪影響を与え続けるトラウマになり得るということです。
言い換えると、こどもがそういう状態にあったとき、大人がこどもの置かれた状況に素早く気づき、適切なケアをすることができるか?が、その後のこどもの脳の発達にも大きな影響を与える・・・とも言えます。
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だから、大人の皆さんにはぜひぜひ、こどもが「圧倒されている」状態だときづいたときは、放置せず、「こども目線」で目の前のその子に何が起こっているか?どんなサポートが必要か?考えてもらいたいなぁと感じます。
この本は、子どものトラウマに大人がどんなケアができるか、わかりやすく書かれています。
子育て中の方はもちろん、教育現場の方、こどもと関わるすべての方に読んでいただきたい良書です。
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まずは大人が救われなければならない
ここで、社会レベルで「トラウマの再発を防ぐ」ためにとってもとっても難しく感じているポイント!!!
それは大人が幼い頃トラウマを受けて、大きな傷を抱えたままのとき、「こどもの『痛み』『トラウマ』もありのまま理解しにくい」ということです。
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もちろん、それは、誰のせいでもなく、
心の防衛反応
心を守るための自動本能なのですが・・・・。
こどもにとっては、「たいしたこと」が起こっている
大人にとっては、「蚊」レベルのことでも、こどもにとっては、いのちの危機を感じるような「虎」レベルのことに感じやすい。
この視点をもって、自分の過去も振り返ってみて下さい。
「こんなこと、よくあることだ」
「あの子に比べたら、たいしたことない」
「もう過去の過ぎ去ったことだ」
自分の過去に対して、そんな風に捉えていませんか?
「ジャッジメント」「冷たさ」「分析」は少しわきに置いておいて。
大人の「思いやり」「優しさ」「マインドフルネス」をもったまなざしを幼い自分に向け直してみませんか?
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こんなことも、トラウマの「タネ」になる
あきらかに「虐待」と認識できるものはもちろん、大人からの「不適切な関わり」(マルトリートメント)も私たちの『今』に大きな影響を与えます。
私はこの事実を知ったとき、本当にショックを受けたのですが、時にはこれらの大人の不適切な関わりが、ひどい虐待サバイバーと同じようなダメージを与えることもあるのです。
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もし、今、ここまで読んで自分の体に何らかの「反応」があったとしたら、自分に対してケアが必要なのかもしれません。
次回のコラムでは、「③どんなケア・方法がトラウマを癒すのに効果的か!?」について書いていく予定です。
勇気は必要ですが、大人の私たちが自分自身の『トラウマ』に真摯に向き合っていくことで、自分たちだけでなく、社会も救われていくと私は信じています。
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まとめ
・トラウマを理解したいなら、こどもの感覚でとらえ直してみる
・ささいだと感じる「不適切な関わり」(マルトリートメント)も、重篤なトラウマになり得る。
・こどもを救いたいなら、まずは大人が救われることが先!
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