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[第1回ハミング杯]の「秋のショートショート」部門応募作【それでも】
開催期間も審査員の存在も定かではありませんが参加してみます(*´ω`*)
あ、優勝者ももう決まってるかもですが☆(冗談の通じる方のみ参加可)
[第1回ハミング杯]
~「秋のショートショート 部門」応募作~
【それでも】
秋風にふるえトレンチコートの襟を合わせながら、俺は一軒のカフェに入った。
「ホット」あるいは「アイス」とさえつぶやくことができれば目の前にコーヒーが提供される日本とは暮らしやすい国である。しかし自国の文化を踏みにじって侵入してきた外来種とさえ言えるコーヒーがなぜこれほど市民権を得たのだろうか…。そんなに美味いもんでもないのに。そんなことを考えながら飲むコーヒーはホロ苦い。
文句言うてるのにコーヒー注文してるやんと言われそうであるが、たとえ緑茶が飲みたくてもメニューに緑茶がある店は少ない。あったとしてもコーヒーよりも高いのである。それはほうじ茶、あるいは紅茶であっても同じ。逃走中で持ち合わせが少ない身としてはコーヒーを注文するしかないのだ。タダで白湯をくれなどと言ったらつまみ出されるだろう。
そう、実は俺が飲みたいのは白湯だ。しかしメニューにはない。そして俺はソファでしばし休息したい。戦士にも休息が必要なのだ…。ソファにもたれかかった俺は、しかし腹の痛みに顔をしかめる。これだよ、コーヒーってこれがいやなんだよ。
だったら注文すんなやと言われそうだがハードボイルドに生きるワルにはいろいろ事情があるのだ!懐事情以外にも!
俺は組織から逃げている。それも理由はコーヒーだ。ああ、俺の人生を狂わせたコーヒーが憎い…。
そこまで言うならコーヒーやめたらええやんと再び言われそうであるが、まぁそうですよね、事情があるとは言ってもコーヒーのせいで失敗して命まで狙われてるくせにまだ飲んでるとか馬鹿ですよね。わかってるよ、それくらい!
俺は痛む腹を抱えてまたトイレに行く。ちなみにトイレには窓がないとだめだ。いつでも逃げられるように。
店の方で大きな音がする。
ああ、追手が来たか。また窓から逃げなければ…。
戦士に休息は許されない。秋風が身に沁みる。
襟を合わせて気取りたいところだが肝心のコートを忘れた…。
おれのばか。
おわり
(2023/9/12 作)
先日書いたこちらの主人公の行く末を心配してくださった方もいらっしゃるようですので続きを書いてみましたー。相変わらずのようですが。
一応、季節は秋ってことで『ハミング杯』に…(;・∀・)
ごめん、ハチドリさん、こんなんで…。
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