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【キンドラ感想】現役プリティーシリーズファンによる感想 ※ネタバレあり

8/16から「KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1」通称「キンドラ」が上映開始しました。知らない方の為にざっくり説明すると、この映画は応援上映ブームを引き起こした「キンプリ」の最新映画(完全新作ではなく過去作の総集編にシーン追加した物)なんですが、元は「プリティーリズム・レインボーライブ」という女児向けアニメになっており、そこに出てくる男子プリズムスタァ(男性アイドル)が主体となったスピンオフ作品になっております。

今回はこれを観てきたので、現役プリティーシリーズオタクの自分から見たこの映画への感想を語りたいと思います。正直ここまで感情が揺さぶられると思っておらず自分でも困惑してるのですが、これは今言語化しないと色々まずいなと判断したのでこうして記録しています。

※注意※
ある程度プリティーシリーズ(プリティーリズム、プリパラ、プリチャン、プリマジ、アイプリ)に関して予備知識がないと解りづらいかもしれません。また個人の感想になるのでそれは違くない?と思う内容があってもご容赦頂けると幸いです。



①キンドラへの率直な感想


まずTLでも散々言われてますがやりやがったなが第一感想です、プリティーシリーズは毎度タイトルを変えて世界観を一新してるんですが、過去作との関連が強いシリーズであり、過去作を知ってるとニヤリとする描写や減価償却が多く観られ、またそこが魅力でもあるコンテンツだと思ってます。

ただ今作やった事は、
・アイドルタイムプリパラのWITH
・アイドルランドプリパラのダークナイトメアとマリオ
・ワッチャプリマジ!のTrutH

という別作品の男子アイドル達をキンプリの世界に出すという物でした。これはエンディング後の悪ノリ(嘘予告)で出てくる物なので、何か物語として接点が生まれた~とかそういうのではないのですし、そもそもプリパラやプリチャンの時点で過去作のキャラを出す動きはあったのですが、これを今回意図的に出したという事は「キンドラの収益次第でこの子たちも今後活躍するかもよ…?」という言わば人質戦略が取られております。

またこの嘘予告というのは今作から出た物ではなく、元々キンプリ1作目の時点で続編の見込みは一切なかったけど噓予告出してみて、それが念願叶って2作目のキンプラで叶ったという前例があるのであながち嘘100%という物ではないですし、ファン層の支持で続編を産み出してしまったという実績がある以上今回の嘘予告もかなり真に迫ってくる物があります。

とは言え正直「やや反則だろこれ」という感想もあります、キンプリの監督の菱田さんがプリティーシリーズ全体の演出面に関わっていますし、プリティーシリーズのCGライブは最新作アイプリ以外全てタツノコプロや乙部さんによって作られているので、キンプリの外の子も我が子のように扱えるという事実は確かにあるのですが、なんというかドラクエ最新作にはスクウェア・エニックス作品のキャラが全員集結!みたいな感じというか、いやお前それやられたら買うしかないやん…みたいな、作品その物の質ではなくキャラ人気をダイレクトに利用したな!?という部分があるというか…

ただこうでもしないとキンプリの続編は商業的に作れなかったのかなって想いもあるので決して否定してるわけではなく、むしろキンプリがちゃんとプリティーシリーズの一員として今後もやっていく覚悟がある事が解ったので嬉しさの方が強いです(やりたい放題だな、とは思いますが)



②キンプリSSSとの対比


今作キンドラはPrism.1という作中の大会を観客サイドから観られるという構成になっております、キンプリSSS(劇場版&地上波)では1話ごとにキャラクター1人or2人が担当し、そのキャラのバックボーンを知った上でライブ中の独白込のプリズムショーが観られる構成になっており、これは1話ごとにそのキャラの事をじっくり知る事が出来るのでかなり理にかなった構成だなと感心しておりました。

今作はそういう物は一切省き、ただあそこに居る観客の立場になって連続してショーを観ていく物になり、CGライブ自体はほぼ同じなのですが、ああSSSの観客はこういう気分だったのか…というのを体感出来る面白い構造になってますし、これによって解る新事実やMCの内容、CMの暴走など小ネタがたっぷりの物になってます。

ただそうなると「キンプリSSS&ベストテンを観た上でようやく全てがわかる」構成なので、初見向きではあるけど初見じゃ何がなんだかさっぱりわからん!な映画にはなってます。おそらく初見の人はキンドラ→キンプリSSS→ベストテン→キンドラの順番で観るとより楽しめると思います(キンプリ1作目&キンプラも観れたら完璧)

ただこの映画を観た後に抱いた感情を僕は「怒り」「愛憎」と表現したのですが、一晩経ってなんとなくこの正体がわかってきたのでそれを次語ろうと思います。



③憤りの理由


まず大前提としてキンプリは元女児向けアニメです。男性アイドルを扱ってるので女性向け作品だと思われる事が多いですが、発端はあくまでプリティーリズム・レインボーライブの男子スピンオフであり、事実上レインボーライブの続編としての立ち位置も兼ねています。僕は当時プリパラしか知らない状態でキンプリから入ったのですが「これはとんでもない物を観たな」と思い、すぐにプリティーリズム3作品を観てプリリズその物にもハマった経緯があります。ですのでキンプリはプリティーリズムの良さを知ってもらう為のアプローチの一つという側面もあり、同時にプリティーシリーズ全体の男子アイドル担当作品という地位も確立していきました(プリパラの男プリがこれに近い物があります)

僕はこの後プリチャン、プリマジ、アイプリと現行コンテンツは全て追ってきているのでシリーズ全体のファンではあるのですが、キンプリはやはり元女児向けでありながら男子アイドルに全振りしてるというかなり異質な作品だなという印象は着いて回っておりました。

ただ僕がキンプリSSSを観た時に感じたのは誠実さでした。

※ここからはかなり僕自身のキンプリ観が入りますので、これがキンプリのオーソドックスな見方ではない事はご理解ください。

おそらく菱田監督は「キンプリは女性向け」という意識はあまり持たずに作品を作っていたように感じます、元々陰陽大戦記やクラッシュギア等の男児向けホビアニ系の人ですし、プリティーリズム・オーロラドリーム自体かなりその雰囲気があるので、キンプリも男子アイドル物でありながら女性向けに寄りきってない作品ではありました。

これは僕自身男性だから特に思うのですが、やはり男性と女性とではカッコイイと思ったりする部分への感性に差があるなと常々思っており、キンプリに関しては男性性の暴力性が描かれていると思っています。それは作中でも言われている「男子はレベルが違う」というショーのスタイル(特にストリート系の過激さ)もありますし、一条シンの中にいるシャインが見せたプラトニックソードという楽曲がまさにそれを体現してると思います。

シャインに関しては当時賛否あり、せっかく一条シンのソロが観られると期待してたファンにまさかの「一条シンの皮を被った別人」のショーを見せられ、あまつさえ採点結果が0カラットという作中最低評価を下す展開が待っておりました。これは一条シンにとってはかなり理不尽であり、そもそもこの辺の設定はレインボーライブから続くプリズムの使者という非人間やあの世界の神に起因する物があるので、個人がどうこう出来る問題ではありません。

ですが一条シンは作中で頭を下げ謝罪します、観客もそれに対し「許すよ!」「私は好きだったよ!」と慰めの言葉をかけてくれます、ここで他のキャラ達も許してもらえると一瞬感じますが、一条シンは観客の中に「泣いて帰ろうとする女性」の姿を見逃しませんでした、そして涙を流してもう一度心からの謝罪をします。

僕はここは監督や制作側からキンプリを観てくれたファン層へのメッセージだと捉えていて、怖い想いや嫌な想いをさせたかもしれないけど、それで傷ついた君たちの事もちゃんと考えているよという感情が籠ったシーンだと思ってますし、これがその後の「ナナイロノチカイ」とエンゲージ、22世紀でもハグしようという女性ファンに寄り添う物語として昇華されたと感じました。そしてこの後公開されたベストテンではちゃんとした一条シンのソロ「ダイスキリフレイン」が公開され、ちゃんとシンくんのファンもケアされた形になっています。

しかし今作は物語進行こそ上記と同じですが、ショー以外の描写を極力省き、我々観客が全て個々の感想を持つモブの立場を与えられた事によってこの「泣いて帰ろうとする女性に感情移入するフック」がない状態となっています、これは今作キンドラがそういうスタンスで作っている以上入れないのが正解だと思いますし、応援上映のスタイルを考えてもあそこは個々人が別々の感想を言う場所なので決して演出意図が間違ってるとは思わないのですが、僕はこれでキンプリSSSの魅力の一部が伝わらなくなってるなと感じました。

この状態で各所CMの小ネタやエンディングでのじゃんけん大会、エンディング後のタイムマシンやら別作品男子アイドル達を見せられるので、なんか余韻がないというか、鑑賞後にカタルシスではなく「これからプリティーシリーズにどう向き合おうかな」みたいな感情になってしまった面もあります。

※何度も言いますが映画自体は最高に面白いです、特に高田馬場ジョージ&池袋エィスくんのCGショーが最高すぎた…


④「女児向けを嗜む大人」と「元女児」


僕から観たプリティーシリーズ全体の雰囲気というか、身近で感じるファン層の傾向について話そうと思います。プリティーシリーズは2010年に稼働開始した「プリティーリズム・ミニスカート」から始まったシリーズなので、現時点で約14年の歴史があるシリーズになっています。

先にも言った通り僕はプリパラの2期からハマったのですが、その時点でもう大人ではあったので、子供目線でこのシリーズに触れた事はありません。しかしプリパラも10周年となり、アイドルランドプリパラも女子高校生のあまりが当時女児だったファンの投影キャラとして主人公になる等、昔女児として触れてたファン層がどんどん増えている実感があります。

そういう面で言うと人によっては一旦離れてまた戻ってくる~という動きも多いかもしれません、実際最新作アイプリでもプリパラ、プリチャン以来に筐体ゲームにハマった!という声を多く聞きます。このようにプリティーシリーズのファン層には大人の財力でずっと楽しんでる層今はまだ子供&ようやく大人になった層がいます。

僕は前者ですが、プリティーシリーズの面白さは筐体ゲームとアニメの関連性だと感じているので常に現行コンテンツを最推しにしてる面があり、プリパラやプリチャンやプリマジも好きだけど、今はアイプリを最優先に遊ぶ!という意識が常にあります。

その立場から言わせて頂くとキンドラは確かに面白いし通いたくなる魅力もあるのですが、その資金をアイプリに回したいという想いがどうしてもあります。ここは個々人の財力やハマり具合に起因するのでなんとも言えませんが、キンドラ鑑賞料の1800円があればひみつのアイプリ筐体を18回プレイする事が出来ますし、アイプリバース筐体も最大14枚のプリフォトが手に入る金額です。

さらにアイプリは前作プリマジとは違い、関連商品やグッズ、コスメがかなり多い作品になっているので資金はいくらあっても良い状態にあります。アニメキャラのファンならキャラグッズを収集したいですし、マイキャラメイクが好きな人ならマイキャラの為の資金が必要な状態です。これはキンドラに限らずキンプリ過去作の時も同じだとは思うのですが、今回は応援上映という文化が割とメジャーになってしまったり、物語自体は総集編的立ち位置になってるので、そこに通うなら別のプリティーシリーズにお金出しても…となりがちかな、とは正直感じました。



⑤最後に


長々と言いましたが、シリーズファンからするとキンドラはかなり面白いです、ただこれは365日プリティーシリーズの事考えてるヤバオタクから出力される感想なので果たしてカジュアル層やプリティーシリーズの一部作品を知らない人は着いて来れるのか?という不安がつき纏う内容であるのは事実だと感じました。

最後に、来週8/26(月)に豊洲と海老名でアイプリとキンプリを同時に観られるイベントが開催します。


キンプリがこのように現行の女児向けコンテンツと一緒のイベントになるのはおそらく初で、これが親子推奨イベントとして出る事にかなり驚きを感じたのですが、キンドラ鑑賞後に考えるとやや正気の沙汰ではないなと思いました(まあアイプリ→登壇イベント→キンプリの順なので途中退出もありかとは思います)

現時点で半分以下しか席が埋まってないので、平日昼間とかなりスケジュールが難しいとは思うのですが、プリティーシリーズの歴史的瞬間に立ち会えるチャンスだと思うので気になる方はぜひ行って欲しいです(僕もたぶん行きます)

【8/27追記】
行きました!

あと現行コンテンツである「ひみつのアイプリ」は筐体ゲームでは「ひみつのアイプリ(通称ひみプリ)」「アイプリバース(通称バース)」の2つに分かれているのですが、後者の筐体では今キンドラの宣伝がされております(↓はそのシーンを録画した物です)

アイプリバースはアイプリだけでなく、プリティーシリーズの過去作のキャラも遊びに来るメタバース空間をイメージしたゲーム性となっておりますので、もし興味が出たらプレイしてみて欲しいです。

それでは長々とお付き合いありがとうございました、22世紀でハグしよう…!

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