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【新潟→山形2019①】港町を“見護る“存在…石井神社(新潟県出雲崎町)

先日銀山温泉の記事にも書きましたが、2019年6月、わたしは大きなお仕事が終わった勢いそのままに「日本海に落ちる夕日が見たいぜ」と呟いて(謎…)、ハンドルを握って新潟県を目指したのでした。

行き先は出雲崎町です。
2004年頃だったと記憶していますが、友人と2人で同町の旅館に宿泊したことがあり、新鮮なお刺身をたらふく食べた思い出があるのでした。ものすごい量のお刺身でした。まだ若いわたしたちの胃袋も持て余し気味…。たぶん2回くらい休みを入れて食べ切ったような…(;^_^ 

公式サイト様↓

その旅館のすばらしい瓦屋根と景観をもう一度見たかったのでした。だけど、旅館の名前は失念! 行けばなんとかなるだろう!という、相変わらずの行き当たりばったりぶり。

東北自動車道郡山ICから郡山JCTで磐越自動車道を新潟方面へ。

到着したのは夕方でした。マジックアワーの中、港町を散策。だけど、黒い瓦屋根の旅館は見つかりませんでした。街並みも変わってしまったような…。

ここ、出雲崎は江戸時代末期、庶民に仏法を説いたことで知られる僧侶、良寛さんの生まれ故郷で、良寛堂というお堂があります。今回も例によって、インスタにアップした写真しか残っておらず、良寛堂の写真はなしという体たらく。

その良寛堂の向かい側の高台に小さな神社が鎮座されていました。
社号は「石井神社」。あとから調べたところ、越後国三嶋郡の式内社(しきないしゃ)とされる石井神社の論社とのこと。

式内社については後述するとして。
石井神社の境内、狛犬越しの日本海。自分で撮影した写真の中でも、かなり好きな1枚。タイトルは「見護る」です(;^_^

マジックアワーの港町を「見護る」

出雲崎町は北前船が寄る港町であり、佐渡島からの金銀の荷揚げの町としても栄えたとか。石井神社のお隣にも、航海の無事を祈る住吉神社が鎮座されています。後述しますが、石井神社も佐渡島と関係があるらしい。やはり航海の無事を祈る意味があるのかなあ…と思ったり。

わたしはこの狛犬の佇まいが好きです。“彼”がいつからこの地にいるのか分かりませんが、いったい何隻の船の出入りを見てきたのか、嵐のたびにどんな思いで海を見つめたのか。
そして、港町に暮らす人びとは、どんな思いで狛犬に、そして、ご祭神である大国主命に祈りを捧げたのか。想像をめぐらすと、ちょっとせつない気持ちになったり。

すばらしい眺めです

ここで式内社の解説です。

式内社とは、平安時代の成立した「延喜式(えんぎしき)」の中の「延喜式神名帳」に名前が記されている神社のこと。延喜式内社とされている神社は全国に2861社あるそうです(神様の数は3132座)。

式内社は「延喜式」が成立した延長5年(927年)以前に創建された歴史を持つ由緒ある神社ということになります。
なにしろ1000年以上昔のことですから、当然廃絶した式内社もあります。反対に「うちこそ『延喜式』に記されている神社である」と称する神社が複数ある場合もあり…。こうした式内社と同一、もしくはその後裔(こうえい)と推定されるけど、正確なところは分からない神社を「論社(ろんしゃ)」や「比定社(ひていしゃ)」と呼びます。

式内社のお話が長くなってしまいましたが、つまり、石井神社は「1000年近い歴史を持つ神社」の可能性があるということ。

アップがないのが残念ですが、社殿前の狛犬は、腰を高く掲げた形。福島県内ではあまり見ないけど、新潟では見かける気がします。

案内板によりますと、ご祭神は大国主命です。
神代の昔、各地を平定した大国主命が、この地に来て佐渡島を平治しようとしたが、海を渡る船がなかった。そこで、石の井戸の水を汲んで撒くと、一夜にして12株の大樹が茂った。その霊樹で船を造り、海を渡って平治(佐渡島のことかな)したと伝わるそうです。
そのとき、大小の魚が船を守り、助けたため、12株の大樹のあたり(現在の井鼻)に宮を造り、海上守護の大神を祀ったとのこと。

和銅4年(711)、現在地の石井町に移り、以後は名主の橘屋山本家が司ってきた。毎年6月17、18日に大祭がおこなわれ、今も神輿渡御や露店で賑わうとのこと。

写真が残っておらず残念ですが(記憶にも残っていない)、神社の後方に石穴があり、祀られていたとのこと。そこが元々の祭祀の場所だったのかも。

精緻な彫刻
扁額は新しめでした

ご祭神の大国主命は、高志国(こしのくに=現在の福井県から新潟県あたり)のヌナカワヒメという女性に求婚していたと伝わります。それで、この地に大国主命が祀られているのかも。出雲→北陸→高志国は、かなり昔からルートがあったようです(高志国→会津というルートもあった)

神社関係の記事を書くときに、いつもお世話になっている下記のサイト様は「12株の霊樹を祀っている→霊験のある石の井戸を祀っていたとも考えられる」と考察されています。このへんも興味深いけど、マニアな話題がどんどん長くなっていくー。

神社に参拝して、港町を散策。ガラスに照り生える夕日。郷愁誘う風景です。

妻入り(正面から見て屋根が八の字に見える)の街並み。この独特の外壁も好みです(建築用語を忘れてしまいました(;^_^)

このあと「日本海に沈む夕日」を見るため、「夕凪の橋」を目指したのでした。

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