見出し画像

みさき

心臓から遠く離れて
みさきは凍えている
そのはてに赤い灯台がひとつ
そこをつめたい風がとおる
身を寄せる脂肪も有機的組織もみあたらない
ただ手すりのように硬い爪がきれいにならんでいる
通電が停止すれば灯火がひかることもないのに
しかし 灯台はてらしている

迷路の都市のように道がからまる
拍動と代謝がかさなる
この心臓をつれてゆく
凍えたゆびさきとつまさきと耳たぶが
地図を失わないのは
赤い灯台の点滅する信号
それは
道のない山をてらす灯火

いいなと思ったら応援しよう!