これは種の営み
【不定期更新】
藤田知仍は、気づくと不思議なところにいた。
あまりに突飛な場所ゆえに夢だろうと結論付けたけど、そこに一人の青年が現れる。
塾で知り合い、今では疎遠…
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#責任
【第一章】06(2)
「ありがとう」
そう伝えて手を下ろしてもらった。
目元を拭って、息をつく。
「さて」
彼は切り替えるようにして明るく言った。
「島の心臓部に向かいましょう。どうせこの上ですし」
ドキッとして顔が強張った。だってそれは、物語のクライマックスを迎える場所。
終わり……。
「藤田さん?」
心配そうに覗き込む河西くん。
「だ、大丈夫」
咄嗟にそう答えてしまった。
「では行きましょう」
「…………