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優しくなりたい

旅中、ホテルで働く39歳の私。

キッチンでの作業や客室の掃除をしている毎日です。


普通の人には耐えられぬ不自由なことが多いホテル生活を毎日こなしているが、ストレスは無いにしてもイライラする事はあり、今日はそんなイライラを話してみようと思います。




まずは私の中のストレスとイライラの概念から。

ストレスは永続的なものだと思っています。例えば苦手な事に対処しなきゃいけないとか暴力を振るわれることがあるので緊張するとか、とにかく上司がムカつくんだとか、悪口を言われたとか…といった感じ。

かなりのストレスです。あまり経験した事はありませんが、陰口を言われる仕事はした事はあります。すぐ辞めました。
人の扱いが酷くて飲食ド素人な蕎麦屋でも働いた事があります。酷かったです。

それ以外は私には今のところありません。



じゃあイライラはというと、コンビニのレジ打ちが遅いとか、靴の中に小石が入っててムズムズするとか、部屋の電気がチカチカしているとか、洗濯機がいつも途中で止まるとか…。


その時その時でうまくいかない事があったり、ちいさな刺激があり居心地が悪いですが、永続的なものではない印象です。
みなさんの感覚と同じかどうか一応お伝えしたかったです。



今回は人にイライラしてしまった話。

後で考えると情けないけど、自分ってこんなことでイライラするんだなと思った、自分再発見の話でもあります。




職場には料理長と僕という日本人が2人いて、あとはタイ人のおばさんがひとりいます(この人は日本語がやや通じます)。

その他にベトナム人の女の子が2人、男の子がひとりです。彼らの場合、日本語はほとんど通じません。英語がちょっと通じるかなってくらいですが、言葉が通じないストレスは無くて、自分の英語力の足りなさに情けない気持ちがモヤるんです。英語力必要です。


難しい日本語が通じない職場の環境という状況ではありますし、指示を出そうとするとケータイの翻訳機を出さないといけないのは不便です。

ま、この翻訳機というところも物議をかもすキーワードではありますが…。





さて本題。

くせ者はベトナムの男の子。
私は彼にイライラしてしまったという話です。

国によって働き方が違うのかな?と思うのは当然考慮すべき点ですが、効率などを求めるのはどの国でも同じはずだと考えました。
東南アジアって仕事速いイメージありますしね。


なので、経験は無いにしても私がお皿を洗っているところなどを見ては、それを真似してやってくれると、まずは期待してみたのです。
あまり期待するのも良くないですけど、何事もデキないのが当然と思っているのは助けになります


いくらか一緒に働いて思うのは、しっかしまぁ仕事が遅いこと…。

私だけでなく、他の誰もが思うほどにスピードというものに欠けています。そして洗い物の際に洗剤をたくさん付けたがりますね。お皿洗い初心者でしょうかね?
まぁいいや。

で、見ていると。
洗っては洗剤、洗っては洗剤…。
で1枚のお皿に5秒も10秒もかけて洗っています。お皿だけでなく、お汁とご飯の茶わんもあるんですよ。おいおい…(汗)


コレでは遅すぎるので教えてみることにしました。

アレコレとやって見せて、どうだやってみろとばかりにやらせてみると………。

なぁんにも変わらない…。う…っく!!…


大抵の飲食店などには食洗機なるものがあります。ホテルにも当然のように備えてありますので、非常にダーティなところを落とせば、あとは食洗機が洗ってくれることを説明します。
けっこう大事な事です。コレを知らないから一生懸命洗っていたのかもしれないですね。
いやぁ、おじさんが悪かった。

だいたいで良いのよ、お皿1枚に5秒も10秒もかけないでサラッとひと撫でしてしまえばあとは機械がやってくれるからと説明しますが、……それがうまくいけばこんな話のネタにはなっていませんよね。
全く無駄でした。

ふう。次だ。次を教えよう。

どうやらスピードという概念そのものが頭の中から抜け落ちています。

全てのスピードというスピードが遅いのです。
例えばそれは、歩くのもです。ナマケモノみたいです。ホントに。


まぁ、まぁいいか。それはまぁ仕方ない。
ゆっくり歩きたい人も世界中の何処かにはいる。そしてたまたま一緒に働くことになっただけです。



そして、例の翻訳機能についてです。

そもそもなんで私が翻訳機を一生懸命使って教えねばならんのでしょうか?わからないならわかりたいという意思を見せて欲しいところです。

それにいつも謎だったのですが、教えた事は全く覚えませんし、メモも取りません。
なんで?(イラ)

くっ!クソ!耐えろ…耐えるんだ。



そこで、聞いてみる事にしました。

「君は翻訳機能もメモも使わないけど、それで仕事ができますか?」と。
ベトナムの人はみんなそうなの?と。

すると。

「それは私の習慣のせいです。」

と言われました。


…いや、そうでしょうよ。
そうでしょうけどね…。



そんなこんなで1ヶ月は経ちますが、相変わらずのスピードです。そしてどうにもタイミングがオカシイ。


仕事には多くの場合タイミングがあります。急ぐ事と、急がなくてもいい事、今日中には終わらせるべき事、今やるべき事。様々ですが、彼の場合それらはあっても無いような感じです。
どれからやろうが、どうせ遅いのです。

なるほど、そういう事ですか。
そのへんの高等技術は教えるのはよそう。それこそ時間の無駄でしかありませんから。

とにかくどんな仕事でも終わらせてくれるのはありがたいと思うべきなのです。ハァハァ…。


ある時翻訳機能を使っていた事がありました。

おお!成長したか!と思われたのですが、遠目に見ているとどうやらかなり叱られています。

何事かと思って聞いてみましたが、クソ忙しい時に"明日の出勤時間はいつですか?"という質問をしてきたとのこと。


やっと自分の電話を使って翻訳したかと思ったらそれか、しかもクソ忙しい時に限って…!


明らかに時間とタイミングの概念が狂っていることを確信した出来事で、普通の人ではない事を悟りました。



やれやれ…。
もうダメです。疲れました。

疲れ切ったダメ押しに、ホテルのバイキングの料理を片付ける仕事をさせようと思った時です。

料理を並べる作業は手伝わせた事があったので、その逆をすればいい話ですから当然わかるであろう作業かと思いました。
こうやって話していてもわかりますよ。
カートで運んだ料理です。

カートで運んだわけですからその逆で、カートに料理を乗せて一気に厨房へ運ぶわけですね。
しかし、カートに乗せた後です…。
動きが止まり両手を広げました。

「What's?」


と言います。


まさかとは思いましたが、このあとどうするんだという真剣な疑問符を顔に浮かべています。



はぁ?
いい加減にしろ!

What's?じゃねーよ!

持っていけよ!


と言いたい衝動に駆られました。

イライラ…。



仕事が遅くて、何事もわからなければ見て理解する事も不可能な彼に対する慈悲なる気持ちを私めに、どうかどうかお与えください。



たぶんお気づきの方もおられると思うのですが、コレは性格的な問題ではなく素質的な問題が関係していると思うのが現代では一般的です。

私もここまでどストライクな才能のあるKYははじめてでイライラしてしまいました。


後で考えると、別に後片付けなんて急ぐ必要もないのですから、ゆっくりと教えてあげたらよかったんです。


優しくなりたいです。

優しくありたいです。

優しい気持ちをいつも持っていたいです。
という話でした。






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二ノ宮金三郎
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