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図解入門業界研究 最新漁業の動向とカラクリがよ~くわかる本(書評要約)


日本の漁業の現状:
日本は海に囲まれた島国であり、漁業は古くから重要な産業の一つです。漁業は日本の食生活や文化に大きな影響を与えており、さまざまな種類の魚介類が日本料理の一部として親しまれています。しかし、漁業はさまざまな課題に直面しています。
1.     資源管理: 過剰漁獲や環境汚染などにより、一部の魚種の資源が減少しています。これに対処するために、持続可能な漁業の実践と漁業規制が強化されています。
2.     高齢化と労働力不足: 漁業従事者の高齢化が進行しており、若い世代の漁師が不足しています。これが漁業の持続性に影響を与えています。
3.     国際的な競争: 日本の漁業は国内外の漁業業者と競合しており、国際的な漁業資源に関する紛争も存在します。
漁業と水産業の違い:
1.     漁業 (Fishing): 漁業は魚や他の水産生物を捕獲する活動を指します。これには、漁船や網、釣り具などが使用されます。漁業は水産資源の取得に焦点を当てており、主な活動には漁師が魚を捕まえることが含まれます。
2.     水産業 (Aquaculture): 水産業は、魚、貝、エビ、藻類などの水産生物を育てる活動を指します。これは養殖業とも呼ばれ、特定の環境で魚介類を飼育し、生産することを含みます。水産業は持続可能な方法で水産物を供給する手段として重要です。
簡単に言えば、漁業は野生の魚を捕まえる活動であり、水産業は養殖や育成によって水産生物を生産する活動です。日本では、漁業と水産業の両方が重要な役割を果たし、国内外の需要に応じて水産物供給を確保しています。持続可能な資源管理と労働力確保が、これらの産業の健全な発展に不可欠な要因となっています。

漁業にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる方法や目的で魚介類を捕獲します。以下に、一般的な漁業の種類をいくつか紹介します:
1.     沿岸漁業 (Coastal Fishing): 沿岸漁業は、海岸から比較的近い海域で行われます。小型船や漁船を使用し、浅い水域での漁獲が主な特徴です。一般的な漁獲物には、小魚、エビ、カニ、貝類などが含まれます。
2.     遠洋漁業 (Distant Water Fishing): 遠洋漁業は、国内沿岸から遠く離れた海域で行われます。大型の漁船を使用し、大規模な漁獲活動が行われます。この種の漁業は、高級魚介類や深海魚の捕獲に主に関与します。
3.     淡水漁業 (Freshwater Fishing): 淡水漁業は、川、湖、池などの淡水域での漁業活動を指します。一般的な漁獲物には、魚、カエル、甲殻類などが含まれます。
4.     養殖業 (Aquaculture): 養殖業は、魚介類や水生生物を養殖することを目的とする漁業の一形態です。養殖池、養殖場、養殖装置などが使用され、養殖された魚介類は市場で販売されます。
5.     潜水漁業 (Diving Fisheries): 潜水漁業は、ダイバーが水中で直接魚介類を捕獲する漁業形態です。潜水漁業は、特に真珠や高級魚の漁獲に使用されます。
6.     貝類漁業 (Shellfish Fishery): 貝類漁業は、二枚貝類(アサリ、ホタテ、牡蠣など)を対象とする漁業で、貝類を養殖または野外で捕獲します。
7.     イクラ漁業 (Caviar Fishery): イクラ漁業は、魚の卵(イクラ)を収穫する漁業で、主に高級なキャビアとして知られています。
これらは一般的な漁業の種類の一部ですが、実際にはさらに多くの特定の漁業が存在します。漁業の種類は地域によって異なり、水産物の種類や漁獲方法によっても異なります。持続可能な漁業管理が重要であり、漁業資源の保護と適切な管理が必要です。

1-3. 日本周辺海域の特長:

  • 日本は四方を海に囲まれた島国であり、日本海、太平洋、東シナ海、南シナ海などの海域に接しています。

  • 海流の交差点に位置し、異なる海域からさまざまな水産資源が供給されます。

  • 海底地形が多様であり、深海から沿岸域までさまざまな漁業が展開されています。

1-4. 日本で多く捕れる魚:

  • 日本で多く捕れる魚には、マグロ、サバ、イカ、サケ、カツオ、ヒラメ、鯛、アジ、ホタテ、アンコウなどが含まれます。これらの魚介類は日本の食文化において重要な役割を果たしています。

1-5. 漁業(天然)が盛んな都道府県:

  • 漁業が盛んな都道府県には、青森、秋田、富山、新潟、福井、愛知、愛媛、長崎、鹿児島などが含まれます。これらの地域は豊かな漁業資源を持つことで知られています。

1-6. 漁業(天然)の歴史その一(公海自由の原則):

  • 公海自由の原則は、19世紀末から20世紀初頭にかけての国際的な漁業規制の基盤でした。この原則により、特定の国の領海以外の公海域での漁業活動が自由に行えるとされました。

1-7. 漁業の歴史その二(200海里時代の幕開け):

  • 1982年に国連海洋法条約が採択され、領海内200海里の排他的経済水域(EEZ)が確立されました。これにより、各国はEEZ内での漁業権を行使できるようになり、漁業の管理と保護が強化されました。

1-8. 漁業の歴史その三(衰退期):

  • 日本の漁業は、一部の魚種の過剰漁獲や環境問題により衰退期を経験しました。持続可能な漁業のために規制と資源管理が強化されました。

1-9. 減っている魚種、増えている魚種:

  • 減少している魚種には、ブリ、マグロ、アンコウ、ヒラメなどがあります。

  • 増加している魚種には、サバ、アジ、カキ、ホタテなどが含まれます。持続可能な漁業管理の成果として、これらの魚種が増加しています。

1-10. 漁業産出額の推移: - 漁業産出額は年々変動していますが、総じて漁獲量の減少や価格の変動に影響を受けています。
1-11. 漁業就業者の推移: - 漁業に従事する労働者数は減少傾向にあり、高齢化や若い世代の漁師不足が課題となっています。
1-12. 養殖生産量の推移: - 養殖業は増加傾向にあり、特に魚介類の養殖が盛んです。養殖は漁業の持続性向上に寄与しています。
1-13. 養殖経営体の減少: - 一部の地域では養殖経営体の減少が見られ、経営の難しさが指摘されています。
1-14. 個人経営体の漁業所得: - 個人経営体の漁業所得は魚種や地域によって異なりますが、一般的には収益が不安定であるとされています。
1-15. 企業経営体の漁業利益: - 企業経営体は規模が大きく、漁業において一定の利益を追求することができますが、環境への負荷や持続可能性の問題も考慮されています。
1-16. 水産資源の現状: - 水産資源の現状は魚種によって異なりますが、持続可能な管理と資源保護が不可欠です。
1-17. 消費量の推移: - 日本の漁業製品の消費量は変動しており、消費者の嗜好や需要に影響を受けています。
1-18. 輸出入の逆転が起きた: - かつては日本は多くの水産物を輸出していましたが、近年では輸出量よりも輸入量の方が大きくなる逆転現象が起きています。日本の漁業産業は高齢化と若い世代の漁師不足に直面し、一方で国内市場の需要は増加しているため、外国産の水産物を輸入して需要を賄っています。
第2章 世界の漁業の現状:
2-1. 世界の漁業生産量: - 世界の漁業生産量は、年によって変動しますが、魚介類は主要な食品資源の一つとして重要です。
2-2. 世界の養殖生産量: - 世界の養殖生産量は増加傾向にあり、養殖業は水産物供給の一部を支えています。
2-3. 漁業生産の今後の見通し: - 漁業生産の将来には資源管理、環境保護、需要の変化など多くの要因が影響しますが、持続可能性の確保が重要です。
2-4. 世界の水産物消費量: - 世界の水産物消費量は増加しており、特に発展途上国では魚介類が主要な食品として重要です。
2-5. 水産物の国際貿易: - 水産物の国際貿易は活発であり、多くの国が水産物を輸出入しています。
2-6. 輸入金額、価格の推移: - 輸入金額や価格は水産物の供給と需要に影響を受け、変動が見られます。
2-7. 成長する漁業国(ノルウェー): - ノルウェーは世界的に重要な漁業国であり、特にサケやマスの養殖が盛んです。
2-8. ITQをいち早く導入(ニュージーランド): - ニュージーランドは個別割当制度(ITQ)を導入し、漁業資源の持続可能な管理に成功した国の一つです。
2-9. 天然資源が主体(米国): - 米国の漁業は主に天然資源に依存しており、持続可能な資源管理が重要です。
2-10. 養殖が急成長(中国): - 中国は養殖業が急成長しており、養殖生産量が世界一になることもあります。
2-11. 魚粉の輸出国(ペルー): - ペルーは魚粉の主要な輸出国であり、魚粉は魚養殖の飼料として広く使用されています。
3-1. 日本の漁業のしくみ: - 日本の漁業は漁業法に基づき、漁業権、漁協、地域漁業団体などの要素から成り立っています。
3-2. 明治から戦前の漁業法: - 明治時代から戦前にかけて、日本の漁業法は漁業資源の管理や漁業権の規制に関する法律が整備されました。
3-3. 戦後の漁業法: - 戦後、日本の漁業法は再建され、漁業資源の持続的な管理や漁業権の制度が再構築されました。
3-4. 漁業権は三種類: - 漁業権には3つの主要な種類があります:共同漁業権、区画漁業権、許可漁業権。これらは漁業資源の管理と配分に関連しています。
3-5. 共同漁業権: - 共同漁業権は、特定の漁業資源を共有する漁業者集団に与えられる権利です。漁協が管理し、配分を行います。
3-6. 区画漁業権: - 区画漁業権は、漁業エリアを区画化し、各エリアに漁業者を割り当てる権利です。漁業資源の持続可能な管理を支援します。
3-7. 漁業権の侵害について: - 漁業権の侵害は厳しく罰せられ、不法漁業や違法な漁獲活動は取り締まられます。
3-8. 許可漁業: - 許可漁業は、特定の漁業活動に対して政府から許可を受ける必要がある漁業の形態です。
3-9. 漁業法の体系と自由漁業: - 漁業法は漁業の体系を規制し、持続可能な資源管理を推進します。しかし、一部の自由漁業者も存在し、漁業法に従わないことがあります。
3-10. 漁業をするにはどうすれば良いのか? - 漁業を始めるためには、適切な許可やライセンスを取得し、地域の漁業コミュニティに参加することが必要です。
3-11. 漁協の役割: - 漁協(漁業協同組合)は、漁業者の共同組織であり、漁業権の管理、資源保護、市場アクセスなど、多くの役割を果たします。
3-12. 漁協系統の仕組み: - 漁協は都道府県漁業協同組合や地域漁業協同組合といった階層構造を持ち、漁業者の利益を代表し、漁業資源の持続可能な利用を支援します。
第4章 主な魚種:
4-1. マイワシは日本水産業の土台: - マイワシは日本の水産業において重要な魚種で、魚粉や魚油、養殖魚の餌として利用されています。
4-2. サバ類(マサバ・ゴマサバ): - サバ類は日本の食卓に頻繁に登場する魚で、マサバやゴマサバは特に人気があります。サバは刺身、寿司、缶詰などで広く消費されています。
4-3. スケトウダラは日本で最も捕れる白身魚: - スケトウダラは日本の漁獲量が最も多い白身魚で、刺身、唐揚げ、煮付けなどで食べられます。
4-4. スルメイカの資源量が激減: - スルメイカはイカの一種で、資源量が減少しているため、漁獲規制と資源管理が重要です。
4-5. サンマは公海に生息する: - サンマは公海に生息し、日本の秋の味覚として親しまれています。漁獲シーズンには大量のサンマが水揚げされます。
4-6. タイヘイヨウクロマグロ: - タイヘイヨウクロマグロは高級な魚で、寿司や刺身のネタとして利用されます。過剰漁獲が懸念され、国際的な漁獲規制が存在します。
4-7. ヒラメは稚魚の放流が盛ん: - ヒラメは稚魚の放流が行われ、漁獲量を増やすための取り組みが行われています。ヒラメは刺身や煮付けに使われます。
4-8. カタクチイワシはシラスとして消費: - カタクチイワシはシラスとして知られ、和食の一部として幅広く消費されます。
4-9. ホッケも漁獲規制の強化方針: - ホッケも漁獲規制の対象であり、持続可能な漁業を確保するために規制が強化されています。
4-10. カツオの日本への回遊が減少: - カツオは日本料理で広く利用されますが、回遊の減少や資源管理が課題となっています。
第5章 漁法:
5-1. 日本の主な漁法: - 日本ではさまざまな漁法が使用されており、漁業の種類や地域に応じて異なります。
5-2. 巻網は効率の高い漁法: - 巻網は海中に広げた網を巻き上げる漁法で、大量の魚介類を一度に捕獲できるため、効率が高い方法の一つです。
5-3. 底引き網(トロール): - 底引き網、通称トロールは、船から重い網を底引きする漁法で、底生魚を対象とします。高級魚の捕獲に使用されます。
5-4. 延縄(はえなわ)は日本の伝統的漁法: - 延縄は日本の伝統的な漁法で、長い網を使って多くの魚を捕獲するために広く使用されています。
5-5. 一本釣りで高級ブランド化を目指す: - 一本釣りは、一本の釣り竿と針を使って一匹ずつ魚を釣る方法で、高級魚やブランド魚の生産に使用されます。
5-6. 定置網は地域の雇用を支える: - 定置網は、特定の場所に設置された網を使用して魚を捕獲する漁法で、地域の雇用を支える役割があります。
5-7. 刺し網は待ち伏せによる漁獲法: - 刺し網は待ち伏せ型の漁法で、網を海中に張って魚が網に刺さるのを待つ方法です。特に浅い水域で効果的です。


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