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【ソーシャルワーク】日本社会福祉士会のEラーニング講座を受けてみた~システム理論~

これをご覧になっている社会福祉士の方々で社会福祉士会に加入されている方はご存じかもしれませんが、
都道府県社会福祉士会と同時に加入することになる日本社会福祉士会にEラーニングのページがあることはご存じでしょうか?

加入されている方であれば、基本的に無料(一部講義については有料のものも含まれています)で、様々な講師の方々の講義動画を自宅や移動中のスマートフォンなどで見ることができます。

私自身は存在は知っていたもののなかなかうまく活用できていないのが現状でしたが、昨年度にあった「独立型社会福祉士認定研修(以後、認定研修)」を機に、あまりにも自身が、「実践を理論に基づいて言語化する」ということが全然出来ていないことを痛感(というか全然理論やアプローチを理解できていない。そもそも勉強不足・・。情けない話ですが、もちろんのこと力量不足で修了不可となりました・・・)

改めて学びなおさないといけないと感じていたところ、「修了不可」のメールとともに、Eラーニングを活用して研鑽を深めるようにとの文言が・・・。

あそっか。そういえばあったのに、全然見てなかったなぁと反省。

時間を作りながら、Eラーニングを活用し、学びを深めていくことを決意しました。

そんな中、受けたのが「システム論」でした。
講座を受けた内容をアウトプットしたいので、ここでまとめたいと思います。

講義の目的としては、
〇システム理論を用いて、自身の実践を言語化する。
〇システム理論を用いたアセスメントが行えるようになる。
〇システム理論を用いて、クライエントシステムに何が起こっているかについて説明できる。
〇システム理論を活用した、個人・家族・地域の支援のあり方について理解する。


ソーシャルワークの基本的な視点と知識

ソーシャルワークにおける「クライエントの抱える困難の捉え方」と「その困難な状況に置かれているクライエントとその環境に対するかかわり方(介入・支援の仕方)は、ソーシャルワーク実践の蓄積の中で、一定の枠組みが提示されている。
→エコロジカル・モデル、システム理論、バイオ・サイコ・ソーシャルモデル

相互作用モデル

〇エコロジカル・モデル
人間と環境との交互作用を重視することから問題を理解し、人間と環境の接触面に介入することで、人間の適応力を高めると同時に環境の応答性を高め、人間と環境の交互作用の質をより良い状態にしていくことを目指す。

〇システム理論
家族療法において応用されてきた理論であり、人間の置かれている困難な状況を個人の問題として還元してしまうのではなく、システムの中で捉え、その困難なシステムの中でどのように生じ、どのように維持されてきたかを分析し、システムに変化を起こすことで、困難な状況を解決しようする理論。
→上記を読み、改めて実践においてこの考え方が大切であることを感じる。
上記の視点でケースを捉えず、個人の問題と捉えて「困難ケース」とされているケースがどれだけあるだろうかと感じる。

〇バイオ・サイコ・ソーシャルモデル
バイオ(生理的・身体的機能)、サイコ(精神的・心理的状態)、ソーシャル(社会環境状態)。これらを独立したものとみるのではなく、相互に関連し合い、複合的に作用しあって、困難な状況をもたらしていると捉える。

相互作用論と介入理論

相互作用論により、アセスメントすることで「状況を理解する(何が起こっているのか)」ことを行い、どの介入理論を用いて実際に援助を行うのかを考える。
→講師より「認定研修のレポートで介入理論だけ書かれているレポートが多かった。」とのコメントがあった。まさしく自分がそうであったのではないかと感じる・・・。

システムとは何か?

〇システムとは、物事、現象、出来事などの中に何らかの秩序があるという見方。私たちはついつい部分部分を分析する思考の癖がある。
システムは、家族全体・地域全体の中の構成要素である一人ひとり、一つひとつの組織の相互作用を説明するために使用される。
〇システムは、秩序があるという見方。反対は、無秩序(カオス)
〇私たちの周りには様々なシステムが存在。
「介護保険制度」「所属組織のルール」「交通ルール」「家族関係」「コミュニケーションパターン」「法律」「思考パターン」「生き方」「価値観」

システムとは3種類から成り立っている

家族を例に挙げれば、
「要素」:家族構成
「相互のつながり」:家族内のルール、価値観、コミュニケーション、それぞれの役割
「目的」:安全・安心、健康、仲良く、子どもたちの自立など

システム理論の考え方

直線的な支援(一方向の支援)をし、問題解決したとしても、新たな別の問題が生じてくる。
→全体のシステムを観察し、「何が起こっているのか」を把握したうえで、家族や組織、地域に良い変化を起こすために、ターゲットを定め、介入することが必要。

システム理論は、「何が起こっているのか」をアセスメントし、理解するための理論
それが出来れば、良い変化を起こすために「何をすればいいのか」
状況を解決するために「何が必要なのか」が見えてくる。

システム理論のアプローチのプロセス

〇システム理論を理解(情報収集およびアセスメント)するためのポイント
1.システムの境界
2.ホメオスタシス
3.ルール
4.相互作用
5.循環的な見方
6.複眼的な見方

①ジョイニング

・仲間入りという意味。信頼関係に至るプロセスを指す。

・ジョイニングのプロセス
1.アコモデーション
クライエントや家族のルール(話し方)にあわせる
2.トラッキング
クライエントや家族の役割行動(コミュニケーションパターン)にあわせる
3.マイム
クライエントと家族の用いるコミュニケーション(非言語的表現=しぐさ、表情など)にあわせる

・家族とのジョイニングのテクニック
1.相手(家族)のムード雰囲気(家風など)に合わせること
→方言や話し方(格式ばった、砕けた)、礼儀など
2.相手の動きに合わせること
→相手の表情所作、非言語的な部分を合わせる
3.相手の話の内容に合わせること
4.相手のコミュニケーションルールに合わせること
→誰が主に発言して誰がどのタイミングで入ってくるか、コミュニケーションルールを合わせる

・組織とジョイニングする
連携する組織の情報収集とアセスメントが必要

・感情に巻き込まれない
共感や受容しているうちに巻き込まれてしまうことも・・・。
→共感しているように振る舞う

②情報収集およびアセスメント


1.システムの境界
・システムには外部との境界がある。
・外部境界の柔軟性/透過性(インプット・アウトプットの程度)はシステムによって異なる。
・外界からの必要な物質や情報の接取を選択しているのは誰か?
→ゲートキーパーの把握が必要。

2.ホメオスタシス
・システムには、変化や発展へと向かう傾向とともに、その構造や機能の恒常性を保つためのシステムがある。

3.ルール
・システム構成員の関わり方や振る舞い方についての規定。
・構成員がシステムのルールに従うことによってホメオスタシスは維持される。
・機能的なシステムには、構成員のニーズや変化に柔軟に対応できるルールをもち、機能不全システムには硬直したルールがある。

4.相互作用
・ポジティブフィードバック:新たなシステム状態に向かう動き
・ネガティブフィードバック:逸脱を消去しようとする動き
子どもの結婚に伴う変化に対応できるか。新しい形に変化(ポジティブ)する場合もあれば、新しい形に変化することを阻止する場合(ネガティブ)もある。

5.循環的な見方
原因⇒結果という直線的な見方ではなく、様々な要因が相互に影響し合ってある状況になっているという循環的な見方。

6.複眼的な見方
状況や関係性によって見えるものは違う。様々な視点から事象を見る。

③仮説設定

何が起こっているのか?

④介入計画

ピンカスとミナハンは、「ソーシャルワーカー」と「クライエントシステム」、「関係機関(システム)」の相互関係と相互作用を4つのシステムとして捉えた。

1.チェンジ・エージェント・システム(ワーカー・システム)
ソーシャルワーカー自身とソーシャルワーカーが所属する機関のこと。

2.クライエント・システム
問題や課題を抱えるクライエントとその家族のこと。

3.ターゲット・システム
ソーシャルワーカーとクライエントが、課題解決するためにターゲットとなる人々や組織・団体、地域社会、制度・政策などのこと。

4.アクション・システム
目標達成のためにソーシャルワーカーと協力していく人々のこと。クライエント・システムに対して共に働きかけるサービス事業所や組織、他の専門職などのこと。

プロセスレコードやレポート記載にあたり、上記のシステムをきちんと理解し、言語化できないといけない。

⑤介入の下地づくり

「どのようになりたいのか?」「どのような状況を願っているのか?」についてクライエントや家族、支援機関と共有する必要がある。
動機づけにつながる

⑥介入

終わりに

・先人たちが提示したソーシャルワーク理論を活用し、さらに発展させていく使命。
・活用し、言語化し、説明責任を果たさなければいけない。


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