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【映画批評】#56「ショウタイムセブン」 味もしゃしゃりもあらへん!無!

 阿部寛が主演を務め、テレビの生放送中に爆弾犯との命がけの交渉に挑むキャスターの姿をリアルタイム進行で描くサスペンス「ショウタイムセブン」を徹底批評!
リメイク元を知らなくても死ぬほどガッカリ。リメイク元を観たら、さらにガッカリ。「テロ、ライブ」を下地にしておきながらつまらなくした罪は大きい。断罪する!!


鑑賞メモ

タイトル
 ショウタイムセブン(98分)

鑑賞日
 2月7日(金)18:45
映画館
 あべのアポロシネマ(天王寺)
鑑賞料金
 1,300円(平日会員価格)
事前準備
 特になし
体調
 すこぶる良し


点数(100点満点)& X短評

5点


あらすじ

午後7時。ラジオ番組に1本の電話。直後に発電所で爆破事件が起こる。電話をかけてきた謎の男から交渉人として指名されたのは、ラジオ局に左遷された国民的ニュース番組「ショウタイム7」の元人気キャスター・折本眞之輔。突如訪れた危機を番組への復帰チャンスと捉え、生放送中のスタジオに乗り込み、自らがキャスターとして犯人との生中継を強行する。しかし、そのスタジオにも、既にどこかに爆弾がセットされていたのだった。一歩でも出たら即爆破という中、二転三転しエスカレートする犯人の要求、そして周到に仕掛けられた思いもよらない「罠」の数々。その極限状態がリアルタイムに全国民に拡散されていく––!なぜ彼が指名されたのか?犯人の正体と本当の目的とは?すべてが明らかになるとき、折本が選ぶ予測不能の結末。あなたは《ラスト6分》に驚愕する。

「ショウタイムセブン」公式HPより引用

ネタバレあり感想&考察

「テロ、ライブ」をつまらなくするという
無理難題をさらりとこなすクソ映画

死ぬほどつまんなかったです。
リメイク元の「テロ、ライブ」は評判の良さは聞いてたけど未見、実際どの程度面白いかは知らない状態で先に本作を観た。

前半は割と観られた。悪いとは思わない程度、しかし特段面白いとも思わない、一定程度の水準で話は進めていた。見栄えもある程度はしっかりしていた。ただ平田満が出てきたあたりから、あー清掃?の人だ、とあっさり分かるぐらい、フリでござい!って感じの序盤のわかりやすすぎるフリで犯人の仲間だろうなって気づいてしまった。

それ自体は別にかまわないし、それが結果狂言でしたーは百歩譲っても、そこから1時間近く死んだふりしてましたーのネタバラシはくだらなさすぎる。狂言がわかりやすいだけでも鼻につくのに、結果が学芸会レベルの時点でマジメに語る気がしない。先日の「アンダーニンジャ」といい、「蒲田行進曲」大好きの筆者の神経を逆なでさせる平田満の起用法には辟易する。ちょっといい加減にしろ!ぶちくらすぞ!とハッキリ言っておく。本作は「アンダーニンジャ」よりはるかにひどい使われ方だから、なおのこと許せない。

オリジナル版の「テロ、ライブ」を本作鑑賞後に観てみた。しっかり面白い。特に前半はオリジナル版をしっかりなぞっていることもわかり、本作がまだ良いと思える部分はいよいよ作り手によるものではないことに気づく。そうなると今回の作り手の功績は何もないに等しい。特に後半の展開は尻すぼみ以外のなにものでもなく、わざと盛り下げているようにしか映らないし、実際にテンションが下がっていった。まんまなぞるリメイクならやる意味がないことぐらいは共感しても、途中まで概ねなぞってわざわざスケールダウンするならさらにやる意味が感じられない。

全体を通して観ても、まるで気概が感じられなかった。
集客のためとはいえ、真犯人の錦戸亮を公式が公開当日にあっさりバラしてしまうあたりにもまるでプライドが感じられない。最低な姿勢だと思う。ラストの阿部寛の独演会もTRICKの霊能力者が最後に真相を明かす程度のテンションにしか感じられないし、妙に説教くさいので余計に虫唾が走る。
事件や疑惑とは裏腹にイキイキしてしまった阿部寛が嬉々として喋るんだけど、それ途中からギャンギャンに漏れ伝わってたぞ…となり、いらん独演会やなぁとなってさらにキツイ。

錦戸が真犯人として出てきたこと自体はテンションが上がったが、それは錦戸自体にテンションが上がっているのであって、本筋とは何ら関係がない。演技は良かったが、平田満がおじいちゃんという設定も年齢差を考えると若干ムリを感じるし、そこは補完してくれとのことなら、平田満じゃなくて「地面師たち」のピーコックおじいでも使って見た目にわかりやすくしろやって話。

意味ありげに配置されている井川遥も大して話に絡んでこないし、めるるはサブいツッコミばっかり言わされるしょうもない役にされてて気の毒。キョウリュウジャーでハイテンション演技をした竜星涼も本作では好感度売りの若手男子アナという見た目ピッタリの役ながら、どう考えても浅はかな早とちりになりかねない証拠を阿部寛につきつけ、アホの子感を増すボンクラ演出に脱力。吉田鋼太郎もパブリックイメージ通りの吉田鋼太郎で何の意外性もない。

一般人が巻き込まれているのは広いスタジオ内の番組スタッフだけで十分伝わるのに、昔の思いっきりテレビみたいなみのもんた式お嬢さん一般視聴者を10人ぐらい、ムダに入れてしらこくワーキャー言わせてやかましいし、ジャマで仕方がない。リメイクで足された要素全てが裏目に出ており、監督についてはとにかく何がしたいのこいつ?頭悪すぎやろ、としか思わない。

とにかくテロという社会的影響力の大きい重大犯罪を扱っておきながら毒にも薬にもならない結論になるなら、そんなもの取り扱うなと。近年まれにみる、味しゃしゃ映画(※)の金字塔。私はこういう映画を嫌います。失敗はしているが、やりたいことを前面に押し出している「アンダーニンジャ」の方が余裕でマシ!

ぱっと見のルックはしっかりしてるから、5点だけくれてやる。
あとはもう全てがハナクソ映画だ。お疲れ様でした。

※味しゃしゃ=味もしゃしゃりもない、の意

エラそうな講釈を垂れる前に
面白くする努力をしろたわけ!

ハッキリ言ってブチギレる程度でもない映画である。本当にどうでもいい映画。とはいえブチギレてしまうのは、そもそも面白くしようとしてるかこれ?というのをどうしても感じてしまうからである。

後半をこういう話に書き換えて一定以上は面白いと受け取ってもらえるはずだ!と信じて本作を作ったのであれば、センスないのでやめた方がいい。絶望的につまらない。「テロ、ライブ」のように高額なCGを使ってのスケール感の演出は難しいため、オリジナルを超えるというのは厳しくても、さりとて足らなすぎだろ感は否めない。

オリジナル版は人死にもいっぱい出ているし、今回でいう阿部寛の役にあたる主演のハ・ジョンウも自身の疑惑以上の痛みを伴うことで、切迫した状況を演出している。そこは全く引き継がずに自身の疑惑追及が厳しくなる切迫感を演出しようとしても、そりゃ厳しいだろうと。改変するならするなりの責任がある。全然緊張感ないのよ、この映画。

これを観て最初に思ったのは「テロ、ライブ」って評判良いけどホンマか!?である。でも観てみたらしっかり面白かった。特に前半、警察のお偉いさんがやられる手前までは印象は大きく変わらない。やっぱり比べてみると平田満が出てきて以降の失速がハンパない。それどころか、犯人と主人公の無念さを描いて破滅的なラストが印象深いオリジナル版に対し、味の薄い無味無臭と化した言葉を吐く主人公とテレビ側の陶酔にまみれたエラそうな演説をうんざりしながら聞かされる。

その無念さがお前らにわかるか?
本作の錦戸よりはるかに義憤に駆られるのだが…

最後の最後、阿部寛の独演会→Dead or Alive?視聴者投票後にロンドンの地下鉄で同時多発テロ発生の緊急速報が流れる。マスコミも視聴者もこれだけのことがあったのに、すぐに新しいニュースに食いついて考え物ですねぇ…みたいな皮肉を言いたいのか何なのかは知らないが、たまたま速報性の高いニュースがそのタイミングで来ただけやろ、としか言いようがなく、特に何の意味も感じさせない。それがお前らの仕事やんけ、で済んじゃう話なのだ。こういうところもとにかく味しゃしゃ。どうせ言いたいことないんやろがボケ!でおしまい。

他局は裏で歌番組をやっててそこにPerfumeが歌って踊っているという体でエンドロールが始まる。テレ東が嚙んでるからか、テレ東はこういう速報性の高い事象があっても、のんきに通常通りの番組やってまーす的なあるあるを演出しているのかもしれないが、単純につまらない映画でされても、「きっしょ!」としか思わない。こいつらもフジと大して変わらん。ついでに曲自体、Perfumeとしてもイマイチだった。

何もかも裏目。
何をしても映画に愛されない。

徹頭徹尾、面白くする努力が感じられないし、どうでもいいところばかりサービス精神に溢れているから気分が悪い。リメイク元に迷惑かけるリメイクとかどうしようもない。とにかくこの監督、テレビ局主導とか関係なく死ぬほどセンスないです。岸部露伴も興味ないし、名前観たら退けとく意味で覚えておきます。

とりあえず寝とき!ジャマ!
今抱えてるのだけテキトーに消化してどっか行け!


まとめ

やる気が感じられない映画には手厳しくいきます。
そんぐらいしかまとめがないです。観なくていいですこんなの、時間のムダ!


最後に

サイゼのワインは人間をダメにします。要注意!

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