「ふしぎな駄菓子屋『銭天堂』」を読んで
勤務校の図書館司書さんから薦めていただいた「鬼遊び」の本を返すと、
司書さん「なんか、鬼遊びだなんて子供っぽい本をおすすめしてしまって、大丈夫だったかなと思っていたんです。」
私「全然そんな気にしないでくださいよ。むしろ、はまりました。すごく物語に入り込んじゃって。怖い場面では、家で本読むながら周りをチラチラ見てしまうくらい、怖い場面の中に完全にいましたね。」
司書さん「それならよかったです。それにしても、先生の反応、この本が好きな子どもたちと話が合いそうですね。」
私「あと、鬼の気持ちというか、鬼だって感情があるんだなって考えちゃいました。」
司書さん「(笑)先生。読みが深いですね〜。それなら、廣嶋玲子さんの書かれた本で、すごく人気のある本を何冊かまとめて買ってあるんです。」
私「なんて本ですか。興味あります。」
司書さん「『銭天堂』という本です。この本、結構好きな子多いんですよ。」
私「あ、これ借ります。」
という事で、次に借りた本は「ふしぎ駄菓子屋『銭天堂』」という本。
とりあえず廣嶋玲子さんの作品は、私の感性にぴったりなんだと感じた。この感覚的な出会いはありがたい。
この『銭天堂』の話は、いくつかの話が書かれている。銭天堂のおかみさんである『紅子』さんは本当に不思議な人だ。そして、その店に並ぶ駄菓子も不思議がいっぱい。
個人的に特に笑ってしまったのが、第4話の「釣り鯛焼き」。ユニークな発想が所々に出てきて面白い。ついつい笑ってしまう場面も出てくる。そして何より、最後に登場人物が姉と仲良くなるというハッピーエンドは心温まる。
第5話の「カリスマボンボン」。これは、人間の愚かさを不思議なストーリーの中でしっかりと伝えている。北島典行という登場人物の心情は、誰にでも潜んでいる慢心や欲望なのだと感じた。人間の深い部分を廣嶋さんは伝えているのだと感じる話だった。
最後の「閉店」では、「紅子」さんは実はとても温かく、人々を見守り応援してくれている人(?)なのだということがわかった。
全ての話が恐くて面白く、子どもたちに人気な理由がよく分かった。
どの話にも、道徳的なメッセージが込められていることが理解できる。こういった筆者のメッセージには、この本を読んだ全ての子どもたちがキャッチできるかは少し不安がある。そう感じた時、最近勉強し始めている「リーディング・ワークショップ」の必要感を強くもつことができた。
仲間と共通の本を読み、それぞれの思いや考えを話し合う事で、筆者のメッセージが見出せるとともに、そのメッセージの価値をも共有できるのだと感じた。
ますます、リーディング・ワークショップへの自主的な学びを進めなくてはな〜と思った。
子どもたちの読書活動の充実と推進の重要さを、身をもって感じる今日この頃。
ふしぎ駄菓子屋銭天堂
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