文学フリマ福岡で買った本②
じゃんじゃん読んでるわよ〜!
楽しいと思う反面、自分にないものにぶち当たって嫉妬したり、いかに吸収できるかを考えたりしています。
声朗堂文集2 イチマン ブン ノ ニ/声朗堂さん
去年「イチマンブンノゼロ」を購入して、素敵だなと思って今年もお迎えしました!ゼロとイチ、購入したのどっちだったっけ……と当日迷ってしまって、ひとまず新刊を。
サークルで書かれている本って、いろんな方の作品に一気に触れられてすごくお得感(というと軽いんですが)がある気がします。
それもすべて自分好みだと、ヨッシャ!ってなりますよね。
今回は小説メインのようでした。それから詩とエッセイ?ですかね。
「女の巷」という小説がたまらなく好きです。人生の中で絶妙というか、偶然なのか必然なのか判断し難いタイミングってあると思うんですが。
読み始めはあんまり前向きな意味ではない「タイミング」のお話なのかな、と思っていましたが、ラストに向けて少しずつ光が見えていくような展開が好きでした。ネタバレしないで書くの難しい。
「漆黒のラプソディー」という詩の一節に「キレイハ キタナイ」とあって、ひとりでむふむふしていました。ちょっと前に見た舞台で、ちょうどそんな歌があったんです。
苦悶の中にある、生への渇望を感じられました。垂らされた糸みたいに、自分の中に少しでもある希望に縋りたいのかもしれません。
先日も感想の中に書いたけれど、詩はそのあたりが奥深いですよね。物事というより人をどう見るかって、本質的なところを描くのかも。
「無心で秋桜を歌いたい」に首がもげるくらい共感しました。アラフォー独身、もう無理だいやまだいけるの間の年齢、ちょっとその気があると思われがちでね。秋桜なんて歌おうものなら、おかんが期待するんですわ。
尼系女子の社会科見学/南野やぎざさん
文フリのカタログとXを事前に見ていて、これは絶対読みたいと思っていた一冊でした。結論から言うと、お迎えしてまじでよかった!
「尼系女子」という言葉、なかなかインパクトがある気がしますが、その実態としてはこういう女子(女子に限らないかもしれない)は世の中あふれているのではないかと思います。私も含め。
ただ、日々の中に幸せを見つけて、その幸せとともに生きていたいだけなんですよ。幸せの形は恋愛だけに集約されているわけではないんですよ。ご自身の経験を交えながら、そういうことをうまく言語化されているなという印象でした。
えらそうに書いてますが、実際には「せやねん!!!!!」ってなんべんもいいながら読んでました。
短歌の連作も掲載されています。上記のエッセイを読んだ後だと、いろいろ思うところがあります。人間、生きているだけで実は尊いんじゃなかろうか。だれかを脅かさなければ、幸せの形はひとつに囚われなくていいのだと思います。
ノームの子供たちーノーム研究家大林志都子とノームの足跡ー/倉地秋穂さん
倉地さん、現代ものを書かれるイメージだったんですが、ファンタジーも書かれるとは。新しい一面を見た気がします。すごいなぁのひと言に尽きる……!
ノームとは、作中でも説明がされているのですが土の精霊だそうです。ちょうど手の大きさくらいでしょうか。表紙にも描かれているとおり、三角帽子がとてもキュートです。
ノーム研究家の大林先生との交流を通しての、人々の思いだったり生活だったりを覗くような。そして、ノームの子供たちから見た人間も描かれていて。児童文学のような雰囲気に、童心に帰るような気分になりました。
シーズー先生がTHE研究家って感じで、かわいい印象を受けました。けど、変に浮世離れしている感じもなく、素敵な先生。
個人的には猫の毛刈りが好きでした。ノームたちの賢さに感心しながらも、主人公の子がこの先どうなるのかなと思わせるラストで。小さな存在を軽視することなく、思いやりを持って接することができるようになっているといいな。ノームに限らず。
あと、ハードカバーの本っていいなああ!いつか作りたい!
ユニクロで地上最強の生物をめざす/海崎たまさん
初めましての方。力強い表紙と、冒頭からフルスロットルな文章に惹かれてお迎えいたしました。
ローウエスト的な感じでジョガーパンツを履いていたのかなと思っていたんですけど、まさか……とは!(ネタバレ防止)
冒頭からめちゃくちゃ笑かしていただきました!
その後はパセリ(純文学に出てきそうなむっちゃいい女)との日々を描かれたお話で。パセリ、ほんとにいい女なんですよね。ちょっとだめな男と姉さんのお話でした。
小説として読むといい話なんです。ただ、パセリなんですよね。
後悔先立たず。パセリが残した子株とお幸せに。
こんなおもしろい文章を書かれる方がいらっしゃったとは。文フリ、まだまだ奥が深いです。
ネバーエンディングナイトソング/床さん
青春小説、といっていいでしょうか(違ってたら申し訳ない)。平たくいうと三角関係のお話。
学祭でのバンド演奏、というお話だったので王道青春ものなのかなと序盤は思っていたのですが、意外な展開で進んでいきます。
これはいろんな方に読んでほしい。登場人物のひとりひとりをおざなりにせず、感情の機敏を丁寧に描かれているなあという印象でした。
浅間の、光属性っぽいけれど人をきちんと見ているようなところに惹かれました。こういうキャラって一歩間違うとほんとうにただのお節介というか、うっとうしいなあと私は思ってしまいがちなのですが、人にちゃんと寄り添える子だなあという印象です。
大人になって環境も変わっていくと、どうなるのかな。思い出して苦々しく思うのか、大切な思い出として輝かしいまま心にしまっておくのか。先も見てみたいなあと思いました。
ほんとに感情の描写が素敵すぎて、めちゃ好きです……!
今日はここまでー!
たまたまかもしれないんですけど、比較的前向きというか光が差してくるようなお話多めだった気がします。今回は。あと結構エッセイも買ってますね。
結構さくさく読めている感じです。文フリ東京の開催も近いので、できればそれまでに読んでしまいたいです。