
プレゼントにもぴったり!おすすめ歌集のご紹介
こんにちは!ウェブストアスタッフ・ミケです。
私は音楽やイラストのほか、短歌をつくることも趣味の一つにしています。もちろん自分でつくるだけでなく、歌集を読むことも大好きです。そこで最近発売されたおすすめの歌集をご紹介します!
ひとりでじっくり鑑賞したり、大切な人への贈り物にしたり……。素敵な歌集をぜひあなたのお手元に。
雪のうた
『海のうた』『月のうた』に続く左右社の短歌アンソロジーシリーズ最新刊!同時代の歌人100人による100通りの「雪」をモチーフにした短歌が収録されています。
このシリーズは何といっても、まず装丁が美しい!『雪のうた』もまっしろな表紙に型押しで雪の跡が表現されています。まるで雪そのもののように、音を静かに吸い込んでいくようなしっとりとした手触りも魅力です。
現代に活躍する比較的新しい歌人の短歌が収録されており、このアンソロジーでお気に入りの一首を見つけたら、巻末の紹介ページでその一首を詠んだ歌人を調べてさらに歌集を手にとってみるのも◎。
短歌の世界を掘り進めてみましょう!
個人的に雪の短歌と言えば、下記を思い浮かべます。
いづくより生れ降る雪運河ゆきわれらに薄きたましひの鞘
アラビアに雪降らぬゆえただ一語ثلج(サルジュ)と呼ばれる雪も氷も
時の辞典
倒れないようにケーキを持ち運ぶとき人間はわずかに天使
この短歌は見たことがある、という方も多いのではないでしょうか。岡野大嗣さんの短歌は、肩の力が程よく抜けて、こじゃれた雰囲気と日常のちょっとしたあたたかさとさみしさを感じさせます。
『時の辞典』はそんな歌人・岡野大嗣さんの10周年記念ベスト作品集!
月ごとに色の変わるカラフルな本文用紙もかわいくて、日ごとの短歌を一首ずつ楽しめます。
自分の誕生日、大切な記念日、今日たまたまひらいた日……どこのページからでも大丈夫。今日の短歌から連想ゲームのように、思い出話に発展したり、好きな一首を交換したり。コミュニケーションのひとつにもなる短歌に、気軽に触れてみませんか。
プレゼントにもぴったりな一冊です。
なんとこちらはサイン本がございます!
数量限定ですので、お早めに!
すべてのひかりのために
歌人・井上法子さんについて、かつてインタビュー記事でおっしゃっていた「私は私を詠わない」というコメントにとても共感を覚えた記憶があります。「私」を創作の軸にするのではなく、ラジオの周波数を合わせるように世界にピントを合わせて創作する。これは私にとってごく当たり前のことであったのですが、それを端的に言葉にしてくださった井上さんの短歌は、しずかで透明でやわらかな感覚を覚えるものが多いです。
第一歌集『永遠でないほうの火』に続く第二歌集『すべてのひかりのために』。個人的に好きな一首を引用します。
繊(ほそ)い月/鉄塔の突き抜ける空/あなたの誤読なら喜んで
塚本邦雄歌集
葛原妙子、山中智恵子、前川佐美雄、に続く書肆侃侃房の新編歌集シリーズが、ついに完結!
塚本邦雄は、前川佐美雄に師事し岡井隆、寺山修司とともに「前衛短歌の三雄」と称された、戦後短歌史を代表する歌人です。旧字旧仮名遣いや独自の比喩が特徴的な作品は、時に難解です。
こちらは塚本邦雄の代表的な歌集『水葬物語』『日本人靈歌』を完本で収録、また編者である尾崎まゆみさんによる詳細な解説と年譜が付いた、塚本邦雄の短歌世界を一望できる一冊となっています。
現代の短歌も良いけれど、現代短歌の流れを作った今も色あせることのない歌人について勉強し、親しむ時間も大切です。
新編歌集シリーズ、ぜひお手にとってみてください。
以上となります!短歌の世界、気になっていただけましたら幸いです。