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『タリーズコーヒー—シアトル発、日本流のコーヒーカルチャー』後編調査ノート飲食業界編③全6話

「スターバックスよりも落ち着ける? “タリーズ派”が支持する、こだわりのコーヒー文化とは?」
――そんな謳い文句を耳にしたことはないだろうか。前編では、「タリーズコーヒー—シアトル発、日本流のコーヒーカルチャー」として、タリーズがシアトルで誕生してから日本市場に進出し、独自のローカライズ戦略や店舗コンセプトを展開した背景、そして「最高の一杯を、最良の空間で」という理念について概観した。
後編となる本記事では、さらに深く踏み込んでタリーズのブランド戦略やスターバックスとの違い、地域密着の取り組み、さらにはこれからのタリーズが向かう未来像について、一緒に探っていきたいと思う。
私(ユキ)と“うさぎ先生”(闇の組織によりウサギの姿に変えられてしまった元大学教授)は、夜ふかししながら「飲食業界編」の第3話(後編)をまとめるべく、コーヒー片手に意見を交わしているところだ。タリーズコーヒー好きの方はもちろん、カフェ文化に興味がある方も、ぜひ最後までお付き合いいただきたい。

●前編はこちらから

●飲食業界編
『食の未来を創る—飲食業界の全体像と代表企業』
『ケンタッキー・フライド・チキン—11種類のスパイスが生んだ伝説』
『タリーズコーヒー—シアトル発、日本流のコーヒーカルチャー』
『サイゼリヤ—低価格×高品質を実現したイタリアンの魔法』
『カゴメ—トマトの力で食文化を変えたパイオニア』
『出前館—日本のフードデリバリー革命』
全6話でお届けします!

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コーヒー豆っていい匂いですよね!

1. そもそもタリーズは、スターバックスとどう違う?

1.1 “2つのシアトル系”という印象

日本のカフェチェーンといえば、スターバックスが圧倒的な認知度を誇るが、タリーズコーヒーも同じシアトル発祥でありながら、別個のブランドとして根付いてきた。私(ユキ)は「シアトル発のコーヒーチェーンといえばスタバしか浮かばなかったけど、タリーズも同郷だったんですね…」と驚いた記憶がある。

うさぎ先生はソファに座って耳をピョンと動かしながら言う。「スタバは世界的に拡大が早かったが、タリーズは少し後発で、より ‘落ち着き’ や ‘居心地’ を重視するコンセプト。シアトル系コーヒーという大きなくくりは同じだけど、店舗づくりやメニューラインナップで違いを出したのが成功の一因だろうね。」

1.2 空間作りの志向性

スターバックスも “サードプレイス” を掲げているが、実際には「明るくて人が多く、カジュアルにコミュニケーションできる場所」的な色合いが強い。一方、タリーズはやや暗めの照明や木目調インテリアを用い、「読書や勉強、ゆったりした会話を楽しめる空間」を演出する傾向が強いと言える。先生は「スタバが ‘都会的でトレンディ’ なイメージなのに対し、タリーズは ‘落ち着く隠れ家’ のようなイメージを築いた。オープン当時の日本人には、喫茶店文化の延長としてハマったんだろうね」と分析する。

さらに、タリーズは店舗オーナーや立地の特色を活かす余地が比較的大きい。書店や大学構内など、コラボによって独自の空間を作り出す店が少なくない。私が「友達が ‘スタバよりタリーズのほうが作業しやすい’ って言ってました。席間隔にゆとりがあったり、音楽が控えめだったりするのが好みらしいです」と言うと、先生は「そうそう。そこがタリーズ派とスタバ派を分ける理由かもしれないね」と笑う。

1.3 ドリンクやフードの違い

ドリンク面では、スタバがフラペチーノなどのビバレッジで若年層を強く惹きつけたのに対し、タリーズはシンプルなコーヒーメニューや和風テイストラテなどを得意とし、季節限定や地域限定商品もある。「甘いフラペチーノ系はあまり飲まない」という人はタリーズを選ぶケースが多いそうだ。

フードメニューについても、タリーズは焼き立てパンやホットサンドなど、軽食のラインナップが豊富な店舗が多い。サラダやスイーツも展開しており、ゆっくりランチやティータイムを過ごせる。先生いわく、「スタバが期間限定のフラペチーノで話題を集めるタイプなら、タリーズは ‘地味だけど落ち着きあるメニュー’ をコツコツ提案するタイプ。どちらが好きかは個人の嗜好次第なんだよね。」とのこと。


タリーズは地域密着している気がします

2. タリーズの店舗戦略——地域密着と多様なコラボ

2.1 地域限定メニューやイベント参加

タリーズが“街のカフェ”として地域に溶け込むための方法として、各店舗での独自メニュー開発や地元食材の活用が挙げられる。「○○県産いちごを使ったスムージー」「××の銘菓とコラボしたパフェ」など、全国各地で様々な取り組みが行われており、それを目当てに“ご当地タリーズ巡り”をするファンもいるという。

うさぎ先生は「日本人は ‘ここでしか食べられない’ ‘限定’ に弱いからね。タリーズはフランチャイズ展開をしながら、こうしたローカルメニューを柔軟に採用できる仕組みを作ったのが巧みだ」と耳を動かす。私も「スターバックスはある程度画一的な世界観を保つのに対し、タリーズは各店長の裁量が大きい印象…それがハマる層には嬉しいかもしれない」と考察する。

2.2 書店や文具メーカーとのコラボ店舗

タリーズが他社とコラボした事例としては、書店内への出店が特に有名だ。これにより、コーヒーを片手に本を選んだり、読書スペースとして利用できるだけでなく、イベントやサイン会などにも活用されている。先生いわく、「読書とコーヒーの親和性は高い。書店としても ‘ゆっくり本を見てもらえる’ ので売上増に繋がるし、タリーズとしても新規顧客を取り込めるWin-Winなんだよ」という。

さらに文具メーカーやアパレルブランドと協力してオリジナルグッズを作ったり、文具を置いてイラストやメモを書けるスペースを用意する店舗もある。私が「それってカフェでイラスト書いたりノートまとめたりするのが好きな人にとって最高ですね。何時間でもいられそう…」と言うと、先生は「だからこそ ‘客単価が低くても長居されると困る’ というジレンマもあるが、タリーズは回転率だけじゃなく ‘サードプレイス’ としての価値を大事にしているから、そこは受け入れているんだろうね」と笑う。

2.3 多様な形態のフランチャイズ導入

タリーズは、直営店舗だけでなく、フランチャイズ方式で店舗数を拡大している。中には大学キャンパス内公共施設内に出店している例も珍しくない。また地方の個人オーナーがタリーズを運営するケースもあり、それぞれのオーナーの理念や地域特色が反映されやすい。先生は「スタバに比べるとフランチャイズのハードルが低いとも言われるが、その分オーナーの裁量が大きく、良い意味で各店が個性を出せるんだ。地元密着型カフェとして愛される店も多いよ」と語る。

私が「それって ‘一律のマニュアル通り’ じゃなくて、地元の人たちが作るタリーズって感じですね。確かにそういうのに惹かれる人は多いかも…」と言うと、先生は「うん。マニュアルより ‘地域の実情や顧客ニーズを柔軟に反映する力’ のほうが大事な場合があるからね。タリーズはそこを許容する度量がある印象」と補足する。


タリーズコラボの缶コーヒーありますよね

3. タリーズのデジタルシフトとリモートワーク対応

3.1 モバイルオーダーやキャッシュレス決済

近年のコロナ禍やデジタル化の波を受け、タリーズもモバイルオーダーキャッシュレス決済の導入を進めている。先生は「これまで ‘落ち着いた雰囲気の店内’ を大事にしてきたけど、行列を減らすために注文をスマホで先に済ませる仕組みや、QRコード決済などが導入されつつある。コロナ以降は非接触ニーズも高いから、今後さらに広がるだろうね」と解説する。

私が「あまり ‘IT×タリーズ’ のイメージがないけど、顧客の利便性向上には必要不可欠ですよね。スタバもアプリでモバイルオーダー始めてますし」とコメントすると、先生は「そうだね。タリーズも ‘ゆったり’ なイメージを損なわない範囲でデジタルシフトを進めると思う。レジ待ちストレスが減れば、より快適にカフェを利用できるし、回転率アップにも繋がる」と耳を動かす。

3.2 リモートワーク客への対応強化

コロナ禍以降、リモートワークが普及し「家では集中できない…」という人が増加。カフェでノートPCを開いて仕事する姿は珍しくなくなった。タリーズもこうした需要に応え、Wi-Fiや電源席の充実を図る店舗を増やしている。先生は「スタバも同様だけど、タリーズは ‘静かに作業できる’ と好評なため、リモートワーカーが常連化するケースが多い。2時間や3時間いても嫌な顔をされにくいし、コーヒーをお代わりするシステムなんかもある」と語る。

私が「実際 ‘タリーズで仕事してたら集中できた’ みたいなSNS投稿をよく見かけますね。ある程度の雑音は逆に集中を助けるという人もいますし、何より自宅より気分転換になる」と言うと、先生は「うん。カフェは家と職場の中間 ‘サードプレイス’ としてピッタリだから、今後もリモートワーク需要は伸びそう。タリーズがさらに電源や作業環境を整備すれば、 ‘コワーキングスペース的なカフェ’ として進化する可能性もあるね」と補足する。

3.3 オフィス向けサービスやコワーキングコラボ

すでにタリーズは企業オフィス内に小型店舗を展開したり、オフィスで楽しめるコーヒー豆・機械の販売などを実施している。これが進めば“オフィス+タリーズ”という新しいワークスタイルが広がるかもしれない。先生は「例えば、大企業の休憩室にタリーズのカウンターが設置されて、社員は割引価格でコーヒーを購入できる仕組みなど。社員のコミュニケーションやモチベーションアップに繋がるので、企業側も導入を検討しているところが増えている」と語る。

私が「確かに ‘会社にタリーズがある!’ って聞くと羨ましいですね。休憩時間に美味しいコーヒーが飲めるし、ゲスト対応にも使えそう」とコメントすると、先生は「うん。さらにコワーキングスペースとのコラボで ‘仕事をしながらコーヒー無料サーバーが利用できる’ みたいな仕組みも考えられる。タリーズは ‘ゆったり派’ に刺さるブランドだからこそ、多角的に展開しやすいんだと思うよ」と耳を動かす。


サスティナブルなタリーズ

4. サステナビリティと社会貢献への取り組み

4.1 フェアトレードや農家支援の強化

前編でも述べた通り、コーヒー産業は農家の収益や作業環境が問題化しているエリアが多い。タリーズはフェアトレードコーヒーを一部導入し、農家との直接取引を増やすなどの活動を進めている。先生は「これはスタバや他のサードウェーブ系カフェでも取り組んでるけど、タリーズもしっかり乗っている形だね。ホームページや店頭で ‘どこの国のどんな農家が育てた豆か’ を紹介する機会も増えている」と分析する。

私が「消費者としては ‘このコーヒーを買うことで生産者も適正な利益を得ている’ と分かると安心感ありますよね。値段が多少高くても ‘社会に貢献できるなら…’ と買う人も多いんじゃないでしょうか」と意見を述べると、先生は「うん。特に日本では ‘良いものにお金を払う’ 文化が根強いし、タリーズのような高品質路線のカフェには合っている。サステナブルなイメージはブランド力アップにも繋がるから、今後さらに拡大していく可能性がある」と言う。

4.2 プラスチック削減や紙ストロー導入

環境保護の観点から、プラスチック製ストローやカップの使用を減らす動きが盛んになっている。タリーズも紙ストローを導入し始め、使い捨てカップをリサイクル素材に変えるなどの施策を行っている。先生は「スタバが先行して ‘プラスチックストロー廃止’ を話題化したけど、タリーズも負けずに追随している。お客さんがタンブラーやマイカップを持参すると割引になるシステムも、将来的には拡大するかも」と解説。

私が「マイタンブラーでの利用は、持ち運びがちょっと面倒でもエコに貢献できるし、割引になるならありがたいですね。タリーズのタンブラーもデザインが可愛いものありますし」と思わずテンションが上がる。先生は「そうだよ。 ‘自分好みのタンブラー+美味しいコーヒー’ という体験は、まさにサードプレイスを超えて ‘自分の生活の一部になる’ 感覚かもしれない」と語る。

4.3 フードロス対策やコミュニティ貢献

コーヒーだけでなく、サンドイッチやスイーツなどを提供するタリーズにとって、フードロス削減も重要な課題だ。閉店間際に売れ残った商品をどう処分するか、もったいない精神と衛生面のバランスをどう取るかが悩ましい。しかし、先生いわく「最近は ‘フードシェアリングアプリ’ に参加したり、社会福祉団体に寄付したりするチェーンが増えていて、タリーズもその可能性を模索している。SDGsの観点からフードロス減は大事だからね」とのこと。

地域コミュニティへの貢献という面でも、イベント参加や地元食材を使ったメニュー提供などで“地域課題を一緒に考えるカフェ”を目指す動きがある。私が「タリーズが特産品コラボとかで ‘地元の○○を使いました’ とやると、それだけで地元民は嬉しくなりますよね。 ‘うちの街にも根付いてるカフェ’ という誇りにもなるし」と想像すると、先生は「そうさ。大手チェーンだからこそできる支援や広報効果があるし、地元の声を取り入れやすい柔軟性がタリーズにはあると言えるね」と耳を動かす。


コーヒーの淹れ方は奥が深いです

5. 就職・転職視点から見るタリーズコーヒー

5.1 店舗スタッフ・バリスタとしての魅力

カフェ好きな人が一度は憧れるのが、“バリスタ”としての働き方だろう。タリーズは各店舗でアルバイトや正社員を募集しており、バリスタ研修や接客マナー教育が充実していると評判だ。先生は「タリーズは ‘親しみやすい接客’ を大事にしており、マニュアルを押し付ける感じよりも人間味を活かしたコミュニケーションを推奨してる。そういう職場に魅力を感じる人は多いんじゃないか」と解説する。

店舗運営に関しては、原材料やメニュー開発の基本を学べるほか、サービス業としてのホスピタリティを実践できる点が大きい。私が「アルバイトでも ‘コーヒーの淹れ方がしっかり学べる’ と聞きますし、コーヒー好きにはたまらない職場かもしれませんね」と言うと、先生は「うん。ゆくゆくは店長やSV(スーパーバイザー)にキャリアアップして、フランチャイズオーナーを目指す人もいる。就職・転職先としてアリだと思うよ」と耳をパタパタ。

5.2 本部職(マーケティング・商品開発・店舗開発など)

一方で、「タリーズ」というブランドを統括する本部には、マーケティング、商品開発、店舗開発、フランチャイズサポートなど多彩な部門がある。デジタルマーケティングの台頭に合わせて、SNS運営やキャンペーン企画のスペシャリストを求めるケースも増えつつあるようだ。先生は「たとえば ‘抹茶新商品を若者にどう拡散するか’ とか、 ‘新店舗をどこに出店すれば顧客層を取れるか’ など、戦略的な仕事が多いよ。外食業界は常に流れが早いから、刺激を求める人には面白いと思う」と語る。

私が「確かに。コーヒー文化自体は成熟してるけど、トレンドの移り変わりも激しいし、コンビニコーヒーや他チェーンとの競争も激しいですもんね」と想像すると、先生は「うん。だからこそ ‘次にどんな新メニューを作るか’ ‘どんなローカルコラボを展開するか’ ‘どうサステナビリティをアピールするか’ など考えることが尽きない。柔軟な発想を活かせる職場だろうね」と補足する。

5.3 フランチャイズオーナーとしての独立

タリーズはフランチャイズ店も多く、独立開業を目指す人が選択するケースもある。スタバは基本直営がメインだが、タリーズは個人オーナーが経営する店舗も少なくない。先生いわく、「資金やノウハウが必要だが、タリーズの看板と支援があれば小規模でも安定しやすい。地域で ‘自分だけのタリーズ’ を作る夢を叶える人がいるんだ。店舗デザインを工夫したり、地元イベントとコラボしたりして強い常連客を作れれば、やりがいは大きいよ」とのこと。

私が「なるほど、マニュアル通りじゃなく ‘自分色のタリーズを出店できる’ 可能性があるんですね。ちょっと気合いと資金が要りそうですが、好きな街で好きなカフェを運営するのはロマンがありますね」と感想を漏らすと、先生は「そうさ。カフェ経営に興味がある人には一つのモデルになるだろう。地元愛とタリーズブランドを融合させて、オンリーワンの店舗を目指すオーナーは増えてきてる」と語る。


タリーズは色々なグッズを作ってます

6. 後編まとめ——タリーズコーヒーの“今後”を考える

前編ではタリーズの歴史、理念、ローカライズ戦略を概観し、後編の本記事ではスターバックスとの比較や店舗多様化、デジタルシフトやサステナビリティの取り組み、さらには就職・転職の視点まで一挙に掘り下げてきた。改めてタリーズコーヒーを振り返ると、“シアトル系カフェ”でありながら“日本流のこだわり”を持ち、“落ち着いたサードプレイス”として定着している点が最大の魅力と言えよう。

6.1 “スタバとの違い”をどう活かすか

スターバックスとタリーズの違いは、しばしば「スタバ=都会的、タリーズ=静かで落ち着き」と要約されるが、実際にはもっと複雑。タリーズが勝負するポイントとしては、

  • 店舗ごとの個性(書店コラボ、地域限定メニューなど)

  • 読書や作業に適した雰囲気の演出

  • ハンドドリップやバリスタ技術による本格コーヒーの提供

  • 地元との連携やサステナブルな取り組み

  • フランチャイズによる拡散力と地域オーナーの裁量

こうした要素がバランスよく混ざり合っているのがタリーズの強みだ。今後はデリバリー需要やリモートワークによる利用形態の変化をどう取り込むかが鍵になるだろう。

6.2 コーヒー文化の深化と“サードウェーブ”へのさらなる関与

サードウェーブコーヒーが定着しつつある中、タリーズはより一層シングルオリジン豆の展開や、バリスタによるカスタムドリップを拡充する可能性がある。先生は「チェーン店だとコストやオペレーションの問題があるけど、特定店舗を ‘サードウェーブ特化型’ にする実験が進むかもしれない。シアトル系の誇りとして、高品質コーヒーの追求を続けてほしいね」と耳をぴょこぴょこさせる。

私が「本格的なスペシャルティコーヒーをチェーンで味わえる時代って、すごいことですよね。初心者も気軽に試せるし、コーヒー好きも満足できる路線がさらに強化されると嬉しいです」と期待を述べると、先生は「うん、また ‘バリスタとの対話を楽しむ’ といった接客スタイルを導入する店舗もあるかもしれない。コーヒーそのものへのこだわりを、さらに発信していくことがブランド力を高める鍵になりそうだ」と言う。

6.3 サステナビリティと社会的役割の拡大

世界的に環境意識と社会貢献が求められる今、タリーズのフェアトレードや地域貢献などがますます重視されるだろう。プラスチック削減や紙ストローの導入に加え、食品ロス対策やコミュニティ支援の取り組みもブランド価値を高める要素だ。先生は「チェーン店でありながら ‘地元の人と一緒に街を盛り上げるカフェ’ として活動する店舗もあるから、その方向性が強まれば ‘ただのカフェ’ を超えたコミュニティハブになり得るよ」と分析する。

私が「実際、コロナ禍で商店街の人と協力してテイクアウトフェアをやったり、マルシェに出店したりするタリーズ店があったらしいですね。そういう地道な活動が応援される流れかも…」と想像すると、先生は「うん。生活に寄り添うカフェとして、社会問題に取り組む企業姿勢が評価される時代だよね。タリーズはそこをより強化していくんじゃないかな」と語る。


バリスタを育てる意識を感じます

7. 就職・転職向け:タリーズで働くという選択肢

最後に、タリーズコーヒーを就職・転職先として考える場合のポイントをまとめてみよう。前編でも飲食業界全般に触れたが、タリーズならではの特徴を踏まえて整理したい。

  1. 店舗スタッフ(バリスタ・接客)

    • コーヒーに対するこだわりやバリスタ技術を学ぶ機会がある。

    • 店舗運営で“落ち着いた空間”を演出するノウハウが身につく。

    • 地域イベントやコラボに関われることも多く、コミュニティづくりに興味がある人に向いている。

  2. 店舗管理・SV(スーパーバイザー)や店長職

    • 複数店舗を統括し、売上管理やスタッフ教育、マーケティング施策を行うポジション。

    • ローカルイベントの企画や新商品導入時のオペレーション構築など、多面的なリーダーシップが求められる。

    • フランチャイズオーナーとの調整もあるため、コミュニケーション能力が活かせる。

  3. 本部職(商品開発・マーケティング・店舗開発・デジタル戦略など)

    • 新ドリンクやフードメニューの開発、イベント企画、販促キャンペーンを担当。

    • 店舗の立地選定や内装コンセプトの立案、IT化の推進など業務は多岐にわたる。

    • “スタバとは違う、タリーズらしさ”をどう創造するかが腕の見せ所。

  4. フランチャイズオーナーとして独立

    • 資金や経営ノウハウが必要だが、タリーズのブランドを借りて自分だけの店舗を運営できる。

    • 地域に根差したコラボやメニュー開発が可能で、成功すれば大きなやりがいがある。

    • オーナー同士のネットワークや本部のサポート体制を活かせるかがカギ。

こうして見ると、コーヒー好きはもちろん、地域活性やマーケティング、新しいビジネスモデルなどに興味がある人にとってもタリーズは魅力的な職場となり得るだろう。うさぎ先生いわく、「スタバの方が知名度は上かもしれないが、タリーズでしかできない経験も多いはず。 ‘自分のやりたいことを実現する余地がある’ と感じる人は、ぜひ検討してみては?」とのことだ。


コーヒーを通じて世界に

後編まとめ:タリーズが紡ぐ“日本流のコーヒーカルチャー”

ここまでの後編では、タリーズのスターバックスとの違い店舗多様化、デジタルシフト、サステナビリティなど幅広いテーマを取り上げてきた。「落ち着いた空間で、自分だけの時間を過ごせるカフェ」として人気を集めるタリーズは、一見するとシアトル系カフェのフォロワーのように思われがちだが、その実、日本の食文化やライフスタイルに合わせたローカライズを巧みに行い、地域コミュニティと連携しながら独自のブランド力を確立してきた存在であると言える。

  • 落ち着いた雰囲気:照明やインテリアに気を配り、静かに読書や勉強、仕事をする人を歓迎。

  • 地域密着:ご当地メニューやイベント参加など、ローカルの声を反映しやすい運営スタイル。

  • サードウェーブへの配慮:シングルオリジンやバリスタ育成などで本格派をも満足させる。

  • サステナビリティの取り組み:フェアトレード、環境保護、フードロス対策など、時代の要請に応えようとしている。

  • デジタルシフト:モバイルオーダーやSNS活用、リモートワーク需要への対応など新時代のニーズに応える。

これらの要素が合わさって、スターバックスともドトールとも異なる“タリーズ派”を形成しているわけだ。読者のみなさんも「最近、派手なデザインよりもシンプルなバッグが好き」と思うように、“静かで落ち着くカフェ” を求めているかもしれない。そんなとき、タリーズの店舗が近くにあれば、ぜひ足を運んでみてはどうだろう。抹茶やほうじ茶ラテを味わいつつ、木目調の椅子で読書や仕事をするのは最高のリラックスタイムになるはずだ。

うさぎ先生は夜更かしのなか、「ユキくん、今回のまとめでタリーズの魅力が見えてきたね。スターバックスの派手な期間限定フラペチーノに惹かれる人もいれば、タリーズのこじんまりした雰囲気に惹かれる人もいる。いろんなカフェがあるからこそ日本のコーヒー文化は豊かになるんだよ」と耳をパタパタさせながら微笑む。私は「本当にそうですね。どのカフェが好きかは人それぞれだけど、タリーズが ‘静かに、じわじわ’ 人気を伸ばしてきた理由がすごく納得できました!」と頷いた。


コーヒーにまつわる色々な用語がでましたね!

専門用語の解説

  1. シアトル系コーヒー
    アメリカ・シアトルで発祥したコーヒーチェーン文化を指す。スターバックスやタリーズが代表例。深煎りのコーヒーやエスプレッソベースのドリンクが特徴。

  2. サードウェーブコーヒー
    2000年代以降に台頭したコーヒームーブメント。豆の産地や焙煎度合い、抽出方法にこだわり、バリスタが一杯ずつ丁寧に提供するスタイル。タリーズはチェーン店ながら一部店舗でハンドドリップを導入。

  3. ローカライズ戦略
    海外ブランドが日本市場で成功するために、日本人の嗜好や文化に合わせた商品・サービスを展開すること。タリーズは抹茶ラテなど和風メニューを開発するなどで成功。

  4. バリスタ
    コーヒー抽出の専門技能を持つスタッフ。豆の選定、焙煎度合い、抽出技術に精通し、顧客の好みに合わせてドリンクを提供する。タリーズはバリスタ育成に力を入れている。

  5. フェアトレードコーヒー
    生産者に適正な賃金を支払い、持続可能な農業を支援する取引形態で得られたコーヒー。タリーズを含む大手カフェが一部で導入し、消費者の関心が高まっている。

  6. コワーキングスペース
    仕事や勉強をする人々が共有する作業空間。カフェをコワーキングとして利用するケースが増え、タリーズでもリモートワーク向けの席や設備を整える店がある。

  7. フードロス
    食品が賞味期限切れなどで廃棄される問題。カフェではサンドイッチやスイーツなどが売れ残ることがあり、閉店間際の廃棄やロス削減施策が課題。タリーズでもアプリやSNSで閉店前に割引販売をする店舗があるなど工夫が見られる。


次回予告

「飲食業界編」の第3話(後編)をもって、「タリーズコーヒー—シアトル発、日本流のコーヒーカルチャー」をひとまず締めくくる。本記事では、日本市場で独自路線を切り開き、落ち着いた空間やサードウェーブコーヒーへの対応、地域密着やサステナビリティへの取り組みを進めるタリーズの姿を見てきた。
次回(第4話)では「サイゼリヤ—低価格でも高品質なイタリアンの秘密」を取り上げる予定だ。ワンコインで楽しめるミラノ風ドリアや低価格ワインなど、“低価格イタリアン”の代名詞ともいえるサイゼリヤがどうしてこんなに安くて、しかもおいしいのかを徹底解剖しようと思う。コスト管理や食材調達の秘密、さらには海外展開の裏話など、ファミレス界に革命を起こしたサイゼリヤの物語をお楽しみに。

タリーズコーヒーが醸し出す“静かで落ち着いた雰囲気”は、一杯のコーヒーが持つ力を最大限に引き出しているように思える。まるで時がゆっくり流れる空間で、忙しい日常から少しだけ距離を置いて自分を取り戻す――そんな時間を与えてくれるのだ。あなたも近所のタリーズに足を運んでみてはどうだろう? 和風ラテや限定スイーツを試しながら、自由に本を読んだりPC作業をしたりすれば、きっと“日本流のコーヒーカルチャー”の奥深さを実感できるだろう。


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