kinnbutu
「うわーなんかめっちゃ書きたい!」ってときに更新してます。
僕なりの物語を届けられるように、書き続けます。
小説、映画、漫画、ラジオ、YouTube
ジャージに着替えて、コンタクトをつける。 髪を整える代わりに帽子を被り、麦茶を水筒に注ぐ。ポケットにモバイルバッテリーを入れたら準備完了。 デリバリーを収入源として暮らしている僕の朝のルーティーン。 時間を指定されるわけでもないが、毎日昼と夜の2回数時間自転車で配達を行なっている。 収入が不安定な分、特に休みは設けず毎日働いている。寒い日も暑い日も、体調の悪い日も関係ない。 丁寧に対応してくれるお客さんも多いが、心無い対応を受けることもある。 それにSNSで、 「配
花束を持った男性が居眠りをしている。 帰宅ラッシュの満員電車で、偶然隣に座った短髪の学生。 彼が持っているのはメジャーではなくて、少なくとも僕は知らない花。 紫陽花がもっと大人向けになったような、淡くて綺麗な色の花だった。 恋人に渡すのだろうか、誰かのお祝いだろうか、いずれにせよ形だけ繕った便宜的なモノには見えなかった。 「気持ちがこもっている素敵な花」 何も知らない僕でも、そう確信できた。 彼は手荷物がいっぱいで、両足の間に花束を優しく挟んでいた。 茶色の包装紙に包
空の機嫌が良すぎる。 雲がひとつもなくて、空気も澄んでいる。 季節外れの猛暑がやっと過ぎ去り、秋の適切な気温を感じる。 三鷹駅の南口は時間限定の歩行者天国と化していた。日曜日の昼時は家族連れが多く、優しい太陽の光に子供の笑顔が照らされている。 「天気いいですね、散歩日和だ」 僕は心に浮かんだ言葉をそのまま口から発する。 そこにどんなユーモアも皮肉もなくて、ただ会話をしたくて口から溢れた話題。 「そうだね、雲ひとつなくて気持ちいいね」 そう答えるのは瞳さん。 年上で背
臭い、暑い、臭い。 仕事よりも辛い時間、電車での通勤。夏は特にひどい。 最近、男性の臭いに言及したアナウンサーがひどくバッシングをうけていたが私には何が問題なのか分からなかった。臭い奴が悪いに決まっている。汗をかくのは仕方がない、その後どう対処するのか、それが問題だ。どうして自分が臭いという可能性について一切考えなかったのか。そんな思考力で大した仕事ができるとは到底考えられない。 電車が揺れてイライラする。 隣に立っているだけの無実の男性の肩が軽く触れただけで殺意を覚える。
仕事夢恋時間金健康 上端に浮く レギュラーの月
何度目だろうか。 特別なことなんてなくて、平日に足りないと感じた睡眠を補填しただけの週末。 夏の空は夕焼けには染まってはいないだけで、時間が経過するにつれて青の元気がなくなっている気がする。 何か意味があることをしなきゃ、時間を浪費してはいけない。 しかし、カレンダーが赤と青の日は、何故か1番怠惰な自分が意識の中枢にいる。 普段より遅く起きて、適当にXを閲覧、友人のストーリーをInstagramでチェックしたらトイレに行く。適当に昼食を食べてYouTubeを見ていたらい
土曜日だから9時に起きて、YouTubeをBGMにしながら本を読んだ。 昼寝を挟んで、生まれて初めて天津飯を作ってみる。 うまっ!自分天才。それでも卵の布団に包まれる夢は見なかった。 #3行日記
田舎には海がない。 田舎だから、というわけではないのだけれど。 田舎という言葉がもたらす貧しさみたいなものが、少年の心に沁みついてしまっていた。 長野県の南部の村。 人口は6000人ほど。 山、川、田んぼばかりが土地の大部分を占めていて、テレビに出ているようなオシャレなお店はひとつもない田舎。 少年は生まれてからの11年間、都会への憧れを募らせつつ日々を過ごしていた。 8月の中旬、短すぎる夏休みが終わろうとしている。 明日から小学校に通うという事実が、少年の今までの人生
太陽が昨日の朝より憎たらしいあなたは同じ私が違う 座れなかったら死んでやると開く扉の先頭で睨む空席 駅の喧騒キャンセルできないソニーの性能謝れソリーと おはようございます 昨日の声色を忘れてかすれた心 開くファイル閉じる心真剣なまなざし空っぽの頭 水筒持参する節約アイスを買う浪費 夏 人いらだち人 争いが起きない中央線が不思議 たまに自炊 グルメじゃないただの孤独 醤油酒みりん それだけ覚えた 今日だけは休む筋トレ ほこりが溜まったヨガマット 少し厚手の 2
みんな下を向いている。 スマホを見ている人が圧倒的に多い。 スマホを横にしている人は動画を見ていて、それ以外の人は漫画を読むかゲームをしている。 朝の電車で珍しく席に座れて、周りをぼーっと見渡していた。 スマホを見ていない人もいる。 新聞を読んでいる人。 資格の勉強をしている人もいる。 単語帳を見ている人はTOEICの受験を控えているのだろうか。 僕はといえば、ビジネス書を読んでいた。 分厚い割に文字は大きく、行間も多い。 昨日から読み始めたのに、もう読み終わりそうだ。
4月28日(木) ゴールデンウィーク2日目。 連休の初日は家事と睡眠に費やしてしまい、あっという間に過ぎ去った。 そんな日を繰り返さないようにと意気込んでいたのに、動き出したのは13時。意志の弱さに感動すら覚える。(覚えない) 井の頭公園を歩いた。 桜で賑わっていたはずの公園はすっかり緑に溢れていた。ピンクの痕跡はなくなっていて、新しい季節の活力が溢れていた。 長袖が少し季節外れに見えるほど暖かい。レジャーシートとシャボン玉。関係性が曖昧な男女。犬を連れた家族。上司と部下
4月17日(水) 天気は曇りの多い晴れ。 従来通りであれば「暖かくなった」と喜びたくなるような季節。しかし実際は少し暑い。 日本の四季はもはや死語なのか。 天気について語るほど、良いことも悪いこともない一日。いや、きっと無意識的な良いことはあったんだろうな。 と、呑気に日記を書いていたら新宿駅で人混みに殺されそうになった。侮れないな日常。 明日も何もなければ良いな、そんな後ろ向きな考えを提げて中央線に乗り込む。 通勤快速に乗るほど元気じゃないな今日は。 快速でいい
4/12(金) 青空いいなぁ。 天気がいいと毎回空を見上げている。ちょっとくらい嫌なことなら少しだけ忘れられる。 すぐに嫌な気持ちに戻るけど。 青空のサブスクがあったら利用するだろうか。おそらく月¥12,000、週3回、希望日に晴れを届けてくれるサービス。 晴れた日のありがたみを感じなくなりそうだから、きっと1ヶ月の無料体験後に解約するだろう。 そんなことより、U-NEXTの無料体験解約しないと。
朝8時に家を出てイヤホンをつけてラジオを聴きながら駅に向かう。 総武線を使って新宿に向かう。イヤホンをつけたまま村上春樹の小説を読む。 新宿に到着したらホームを変えずに目の前の山手線に乗り込む。小説の続きを読みたいけれど人が混みすぎていてなにもできない。イヤホンをしてもノイズが入ってしまう。 人に押されつつ2駅を乗り越えたら原宿駅に到着。「すみません」と言いながら電車を降りる。 学生の頃に感じた原宿の観光地感はもう感じない。大人たちが職場に向かって歩いている。僕もその1人。
4月9日(火) 火曜日。 新人の心に燃えるような野心も未来に対する期待もない。 就業時間と週末へのカウントダウンが1番の関心ごと。 自身の無力感から漏れ出した苛立ち、ビルから吹き下ろした強い風、急に降り出した雨。 突発的にコンビニに駆け込むための理由は十分だった。 歓迎されていない、いらっしゃいませを受けとり、虚な目を狭い店内で泳がせる。店内は僕だけ。誰も望んでいない貸切状態。 特に欲しいものはない、なんなら金を使いたくない。なんでコンビニに入ったんだろう? 今す
4月4日(木) 桜が咲いている。 花に無関心な僕でも、つい見てしまうような印象的な花。 週末には家族や友人同士集まって、木を囲んでピクニックをする。それぞれのシートの上で仲睦まじく、シートの境界はまるで壁のように関係を隔てている。柔和で暖かいのに、そこには少しだけ寂しさが浮かんでいる。 陽気な空気で満ち溢れる季節。 仕事の休憩時間に外を歩く。 映画に登場していた少しモダンなトイレを飾りつける満開の桜が右手に咲いていた。 意識的か無意識的かわからないまま、少し画面の割