概要
読書感想文
「一度書き始めると止まらない」と思えるほど、執筆に熱中した事はあるだろうか?
今回紹介するのはそんな病、『ハイパーグラフィア』である。
この症状に悩まされる人は、側頭葉に異常がある。この部位について、分かりやすい説明を引用する。
全員が全員というわけではないが、側頭葉に損傷を負った一部の人は、文学的才能を開花させる場合がある。それが、ハイパーグラフィアである。逆に、文学的な事が出来なくなるのが、ライターズ・ブロックである。
ハイパーグラフィアと呼ばれる人達は、金儲けの為に本を執筆しているとか、職業上必要だから論文を執筆しているなど、外的要因によって大量の文章を書いている人は当てはまらない。
ハイパーグラフィアは、自分の中から沸き起こる「文章を書きたい」という欲求に従って書いている。彼らにとって、他人が自分の文章をどう思っているかはさほど問題ではなく、褒められようと貶されようと、書きたいから書きまくる。ただ、それだけだ。
文章を書きながら死にたい。そう思うくらいである。
この点について、私は心当たりがあった。自分自身、神秘体験を経験している。
それ以前から長文を書く癖はあったので、この経験に起因するものではないが、確かにこの出来事を何万文字をかけて綴ったのは事実である。確かに、神秘体験をした人は、その事実を長文で書き記そうとするみたいだ。
もちろん、脳の損傷が文学的才能の開花に繋がる事例もある。
これについては、茂木健一郎の解説が興味深い。
ハイパーグラフィアに関する知られざる事実。いかがだろうか。
「読書感想文を書くのは嫌いだ」と言う人は小学生の時から何人もいたけれど、「書くの大好きです!」なんて言う人は珍しかった。
宿題で日記を書かされた時も、大抵の人は三行から五行で済ませていたのに対し、執筆に意欲のある私は、三ページ以上書いた。
言いそびれたが、私は複雑性PTSDである。
簡単に説明すると、側頭葉が萎縮して海馬が変形してしまった人がなる障害だ。主治医にも「執筆の特性がある」と言われている。
本著が発行された2006年当時は、「複雑性PTSD」という障害は存在しなかったので、この本では触れられていない。だが、もしハイパーグラフィアに関する本がまた世に出回るなら、複雑性PTSDがハイパーグラフィアになる可能性について説明される事だろう。
最後に、この本は既に絶版となっている。もし読みたければ、中古本を購入するか、図書館で読むしかない。