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料理下手な人の気持ちをフル言語化「池田暁子の必要十分料理」がすごい
私は料理が苦手です。一応レシピを見れば完成はするのですが、絶妙においしくなかったり、何故かシャバシャバになったり……。
日々料理はしてきたはずなのに「出来る」という実感を持てたことがありません。
料理上手な友人や家族を見ては、どうしてこんなに差があるのか不思議で仕方ない日々を送ってきましたが、そのモヤモヤをすべて言語化してくれる本に出会いました。
池田暁子さんの「必要十分料理」という本です。
料理が苦手な池田さんが「なぜ自分は料理ができないのか」を考えていくコミックエッセイで、サンプルページをパラっと読むだけでも
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「献立の組み方もわからない」「余った食材をどうしたらいいかわからない」…など、料理できない人が「わかる!!!!!」と大声を出す描写が描かれます。
さらに
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「レシピ本を見て一度作っても、さっぱり思い出せない」など、共感はもちろん、料理下手な人特有の生々しい悩みが続くのです。わかりすぎて本当に声が出ました。
読み進めると、料理下手を自覚した池田さんが、料理上手な友人宅に学びにいく様子が描かれます。
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シンプルな作業風景を見て「私でもできそう」とレシピを教えてもらった池田さん。
家に帰り、同じレシピで料理を作ってみたところ……「美味しくない」と絶望することになります。わかる。わかりすぎる。こんなにわかるを連発した本が今まであったでしょうか。
ここまでは本のまだまだ序盤で、この後池田さんは「私と料理上手で異なる点」を徹底的に洗い出し問題点を探ります。このターンの言語化も凄まじく、読んでいる私自身、何故料理ができないのか?という理由が池田さんの深掘りと一緒に明確になっていきます。
そして「どうしても埋められない溝」に到達した池田さん。とはいえ料理はしなければいけません。ならば「まずくない料理」=「必要十分料理」を毎日作ろう、とハードルを下げるという決断をします。ここから「必要十分料理」を研究する日々が始まるのです。
前半は料理下手として共感しながら読んでいましたが、この後半の研究&解決ターンは本当に圧巻です。「もはや料理上手なのでは」というほど自身の料理下手を異常とも言える執拗な試行錯誤で解決していきます。(褒めています)
読み終わった後は、実用的で真似してみようと思ったのはもちろん「料理が全然できないという話を世の中に向かってしていいんだ!」という救われた気持ちにもなりました。また、暮らしに本気で向き合うとこんなにすごい結果になるんだと驚きが満載です。
私の妹も料理が出来ないのですが、ページをめくるたびに「わかるーーーーーーーーーーー」と大声を出して笑いながら読んでいました。ぜひ料理ができず、ずっとモヤモヤしている人は読んでみてください。
ちなみに、料理ができる友人にも読ませたところ「こ……こんなに基礎から説明しないとわからないんだ」と驚いていました。料理下手への理解が相当深まったようです。真逆の属性で読み合いするのも面白そうです。