映画『AKIRA』を観て今読んでいる『三体』と重ねてみる
※この記事では中国SF小説『三体』について触れているのでご注意ください。
Youtubeで無料公開12/6まで無料公開されていた超有名なアニメ映画『AKIRA』を滑り込みで観た。
大友克洋というビッグネームは存じ上げていたし、金田のバイクのスライドブレーキなどはもちろん知っていたが、鑑賞したことがなかった。
鑑賞した所感としては、金田と鉄雄のバイク仲間を超えた友情物語と感じたり、東京オリンピック2020の時にこの作品が話題になるのも分かるよなあといったところだった。
また「AKIRA」という強大な力、作品内ではコントロールできないほどの力を巡る人々の話ではあるのだが、これは僕が今読んでいる中国SF小説『三体』に通ずるものがあると感じた。(『三体』は文庫版1巻の終盤までしか読めてませんが。。)
『三体』では太陽を利用して地球外生命体(三体世界の人々?)とメッセージのやり取りができるようになり、三体文明によって世界の分断、紛争、または人間の文明破壊や人類滅亡を企てる組織が形成される。これも己にはコントロールしようのない力に頼って今の世界を変えたいとする願望が伺える。(極端な願望ではあるが)
対する『AKIRA』でも近未来ネオ東京は腐敗した政治や無秩序な街、バイクの暴走族などサイバーパンク感な街並みとは裏腹に未来の見えない世界となっている。反政府組織や「アキラ」を信仰する人々がいて、こちらも世界を変えたい人々の話となっている。
現代の我々も、ここ何十年かは原発というコントロールが難しいとされる核エネルギーを利用している。物価高は止まらず、円安に苦しみ、闇バイトや貧困ビジネスが横行している。我々は『AKIRA』と変わらないディストピアを現在進行形で歩んでいるのかもしれない。
おわり。