おばちゃん、プリキュアを語る
世代的にはセーラームーン世代です。
当時りぼんっこ(集英社少女漫画月刊誌りぼん読者)だったので、なかよし(講談社少女漫画月刊誌)で連載中のセーラームーンはある意味ではライバルでもありました。といいつつ毎週アニメは観ていましたとも。
で。なんのプリキュアが好きかというと
GO!プリンセスプリキュア
(2015年)
です。
スマイルプリキュア(2012年)くらいから、HUGっと!プリキュア(2018年)位までは観ていたのですが、ダントツで!!好きなのです!
ざっくりあらすじ
幼い頃からプリンセスになりたいという夢を持つ主人公はるかは、幼少期にカナタという男の子からもらった言葉と物を大事に、また会える日を夢見ている。
中学生になるはるかは、あこがれのお嬢様学校、寮制私立ノーブル学園(共学)に入学する。
お供キャラ、パフ、アロマに出会ったはるかは、怪物に遭遇。カナタに貰っていた物が変身アイテムだったことがわかり、プリキュアに変身して戦うはるか。
パフたちはカナタたち王族に仕える妖精であり、カナタたち王族が治める国、ホープキングダムをディスダークの魔の手から救ってほしいと願い出る。
同室のゆい、その後仲間になるカリスマモデルのきららと生徒会長みなみたちと共に、従来のプリキュア通り、敵と戦っていく…。
1、主人公はるかの魅力
はるかは強い思いを持つ女の子、だが割りとテンプレの主人公らしく、ドジでおっちょこちょいの子ではある。なのだが、きちんと他者との線引きをできる子なので、無駄なハラハラ感がない。お節介もしすぎないし、他人を認める、自分を押し付けない、ということができているのです。
それはプリンセスになりたいという荒唐無稽な夢を笑われながら成長してきたからはるかだからこそ。
お節介で首突っ込みたがりで、周りを振り回し、友人から「もー!」と言われつつ許されている子では決してないのです。
そんなはるかの魅力は、プリキュアにおいてだいたいお約束に訪れる、破滅回、絶望回、闇堕ち回と言われる物語の終盤に発揮されます。
やっと再会できたカナタは記憶をなくしていいて、ノーブル学園の傍のバイオリン職人の工房で借りぐらしをしていました。戦い傷つくはるかに「プリンセスになんかなるんじゃない」と言い放ってしまいます。
それはカナタなりの優しさ。これ以上傷ついてほしくないという一心での言葉。
しかしはるかは、一番はじめに自分の夢を認めてくれた家族以外の他人、心の拠り所としてあった大事な言葉をカナタ自身から否定されたことで、絶望してしまいます。
変身できず、仲間を助けられないはるか。
はるかの絶望で急速に森が、街がどんどん黒く染まっていく。
ここで。
普通のキャラクターなら、他者の呼び掛けで心を取り戻す。
「あなたならできる」「…そうだ…!」なんて具合に。
でもはるかは、自分の中に今まで大事に貯めた言葉や信念から、答えを見つけ絶望を振りほどき、自らの足で立ち上がるのです。
あとあとトワという追加戦士に、「まったくあなたは、落ち込んでいると思ったら一人で立ち直るなんて…!」と愛あるセリフを言われるのがまた、たまらないのです。
他者を愛し、自分を愛する強い子、はるか、それがキュアフローラなのです。
2、プリキュアにならないプリキュア
はるかと寮で同室のゆいちゃん。
ゆいちゃんは、はるかたちがプリキュアと知って尚、協力者で居続けてくれる稀有な存在です。なにが稀有かというと、ゆいちゃんが追加戦士にならないのに結構なメインキャラだから。
敵に三度捕らわれようが、敵幹部クローズとちょっとアレ❤️?って思おうが、プリキュアにはならない。
でもずっと側で妬まず応援してくれるゆいちゃんは、我々視聴者側の化身であったかのように思うのです。
オープニング曲、miracleGO!プリンセスプリキュアには、キャラの名前やモチーフが登場します。
そのまんま、はるかと、かなた。
花、キュアフローラ(はるか)
海、キュアマーメイド(みなみ)
星、キュアトゥインクル(きらら)
炎は追加戦士、キュアスカーレット(トワ)。
リボンは?
そう、ゆいちゃん!
結う、から来てると確信しています!
私は最終回まで、ゆいちゃんが再追加戦士!と思っていたのですが、結局は普通の女の子ままでした。
やはりそれは、現実の少女はプリキュアになれなくても、強く優しく美しく、夢を追って進んでいけるというメッセージだったのではないかと思います。
アニメのラストに、エンドカードと呼ばれる、アニメーターさんが描いたのでしょうか、一枚絵が登場します。
最終回のエンドカードは、4人のメインメンバーに加え、ゆいちゃんも描かれたものでしたので、エンドカードをみるときすら泣いていた覚えがあります。
プリキュアではないけどプリキュア。
プリキュアになりたい!という夢を持ったお子さんにも、プリキュアにはなれないとわかっているお子さんにも響いたのではないでしょうか。
そしてその存在は、プリキュアと視聴者を繋ぐリボンのように素敵なものなのです。
3、魅力的な敵
敵として述べたクローズは幹部で、他にシャット、ロックがいます。もちろん他にもボスなどいますが、この3幹部が魅力的です。
クローズはデスメタルバンドみたいなオラオラ系青年。
シャットはゴシックビジュアル系のような見た目でジェンダーレスな物言いの青年。ロックは前髪で目を隠した陰キャパーカー少年な風貌です。
この人たちもそれぞれ歩む先が変わります。
個人的に仲間になる元敵ムーブが好きなので、彼らには癒されました。
4、おまえラスボスやったんか
誰が想像したでしょうか?
そして、決戦のあとの動向も、素晴らしい。
この作品は、夢をテーマに、対抗勢力として絶望を持ってきています。
敵は、夢を掻き消すものではなく、希望を断ち切り閉じ込め絶望させ、その負のパワーを集めようとしています。
その為、結局は夢や希望がないと自分達に必要な絶望も生まれない、という表裏一体な存在になっているのです。
最終決戦の時、恐らく二人はそう感じていたのでしょう。
どちらが倒されることなく、物語は閉じます。
こんなラストがあるのでしょうか?
5、グッズもかわいすぎる
プリンセスがモチーフなだけあり、グッズもめちゃくちゃかわいい!
パフュームにドレス型の鍵を差し込んで、パヒュームを体に振りかけ変身。
がわいい!女心をくすぐられますが、観ていた娘にはイマイチ響いていないようでした。
6、はるかとカナタの一途さ
作中、明確に恋を、愛を語るシーンはなかったかと思います。
はるかは当然恋心を抱いていたでしょう。
カナタもはるかに惹かれるものがあったから、ドレスアップキーを見ず知らずの子に渡したのだろうし、絶望から気丈に立ち上がったはるかを守りたいと強く思ったことで記憶が戻ったのだと思います。
明確に描写や言葉がなくても、ふたりは繋がっていて、そして最終回に繋がるのだと思います。
漫画好きだがベスト10に入れたい
漫画好きなら誰しも己のベスト3作品、ベスト10作品など考えたことがあるのではないでしょうか。
私も都度揺らめきながら、ベスト5位くらいはぼんやりと決まっていますが、このGO!プリンセスプリキュアをアニメではありますがなんとかねじ込みたいと考えています。誰の許可も要りませんがこういう下らないとこに頭を悩ませるのがオタクというものです。
もしいつか急に死神がやってきて、おまえのベスト10作品を述べよ、俺のと被ってたら助ける、って言われた時、スッと答えたいじゃないですか。
まあそんな時のためには色んなジャンルが入ったベスト10も作っておいた方がいいとは思いますが。
完全趣味全開版と、高スペック完全版。
二つのランキングを拝見することが出来たら幸せです。
オタクは真面目に考える
完全に蛇足ですが、オタクというものは、もしーだったらどうする?に弱い気がします。
非オタさんたちはさらっと答えたり受け流すなか、オタクさんたちは、真面目に考える。
最適解を見つけたいのか、あとあと訂正しなくていいようによく考えたいのか、この答えによって救われる誰かがいるかも、とか意味不明なことを考えつつ頭を悩ませる。
そしてそれが楽しいのです。
皆みて
結局これしか言えなくなるオタク。
ネタバレありとは書いてても、肝心なところはやっぱり隠しておきたい。
その目で確かめてほしい。
ゆいちゃんほか、モブ生徒にも色々スポットライトが当たる本作。
大人が観ても、十分面白い作品です!
ご都合主義じゃないところもいい。
パフたちなんて学園のペットと化すからな。
全寮制で見つからないなんて無理ですから。
そして。
はるかのファッションが絶妙にダサいのは、ファッションモデルのきららちゃんとの対比です。必然なのですよ…。
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