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Audible log2/「そして、バトンは渡された」

Amazon Audibleの聴書?記録です。

「そして、バトンは渡された」
著者 瀬尾まいこ
朗読 島田 奈歩

※最後まで読んだことのある方のみ、読み進めて下さい。




綺麗な話だな、と思った。
綺麗すぎて、まさにフィクション作品といったところか。生々しさのない、綺麗な部分だけを表現した、読後、心臓に鉛のような重さを置いていかない何とも清々しい作品だ。

時系列通りに話が進まないため、やや混乱する場面もあるが、基本は高校生の主人公とその父親である森宮さんとのお話が軸となる。

わたしはこの物語について、前記事の「おいしいごはんが食べられますように」の様に特筆することは特にない。
何故なら綺麗すぎるから。
物語として綺麗に完成されているため、読後に登場人物達について何か熟考することが無いのだ(おい)。

優子(主人公)は2番目の母親に振り回されて家庭環境がコロコロと変わるのだが、何故か全くグレない。確かに悟ってはいるが、自己肯定感を拗らせることもなく、普通に育っている。それは彼女の親達が皆、彼女のことをちゃんと愛していたからだ。

こんなこと、現実でありえるのだろうか。

そして優子は優子で、実の父と離れた寂しさとそれを選択した自分の幼さに泣きはしたが、「自分なんて、生まれてこなければ良かった」「自分には何の価値もないんだ」なんて一つも思っていないようだ。それは親達が彼女を大切に思ってくれたからであろう。凄い。
私だったら、どんなに愛されていようと、多感な時期にこんなことが起きたら「自己の無価値観」を感じるだろう。私って何だっけ、私って要るのかな、私がいてもいなくても…。というように。
優子が仄暗い感情に支配される描写がほとんどないため、綺麗すぎると感じてしまうのかもしれない。


最後の章で、語り手が優子から森宮さんになるのはズルかった。こんなの、泣くしか無い。
やっぱり、綺麗なお話だ。
うん、これ以上ない。


実写映画についてだが、森宮さんとリカさん(漢字がうろ覚え)はまさに本の通り!といった風貌だったのだが、優子の実父がブラジルに行く設定が違いすぎて無理だった(ごめんなさい)。実父はあんなテンションの人じゃ無い。What’s?
そして優子も、あんなにヘラヘラはしていない。リカさんの教えで愛想はいいのだろうが、どこか悟っていて芯のある女の子だ。えーなんでヘラヘラ笑うのー!?優子ちゃんはこんなんじゃなーい!となって無理でした(ごめんなさい)。

本と映画は別物、と考えるべきですね。


以上、ここまで読んで下さりありがとうございました!

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