地味過ぎホリデー、ぶっ飛ばせ。

 二連休の前編が嘘みたいに薄っぺらくとおり過ぎて宵の口。
 時を戻そう。
 それは深夜二時頃。
 文庫本ラック導入のための模様替えを、深夜のテンションで乗り切っていた私は、虚ろな頭で腰の湿布を張り替えている。
 先日、仕事で持ちにくい形の、そこそこ重い荷物を手にしたときに、一瞬「ビクっ」と小さな稲妻が走った。動けないほどではないが、確かな違和感。大事をとって午後いちで早退させてもらう。
 それ以来、腰には常に湿布。深夜の湿布交換は哀愁の音色、それでも目覚めた朝六時。「もういいや」エイヤと七時には起き、エアコンのフィルター掃除です。埃を払って、除菌シートで全体を拭いて戻す。
 やることはまだある。
 家全体の床掃除と風呂掃除、主に水回りを終わらせる。歯磨き、洗髪ときて、縁側で部屋干ししていた洗濯物の取り込み。
 これによって、本日やるべきことがあと三つになった。
 本棚の購入と組み立て。
 洗濯。
 noteの記事を執筆。←Now
 幾分かの開放感のグルーヴに乗り、ゲームや読書で時間を経過させ、少し汚れたSupremeの白Tにお着換え。ここからは完全に予定通りの動きでコトは進行する。
 路線バスで駅前、吉野家で朝食を兼ねたランチ、文庫本ラック購入し帰宅。この間、僅か一時間。夢も希望も喜びもない外出であるが仕方ない。
 若干寝不足なボディに鞭打って、組み立て作業開始。
 ほんのりとした苦戦を強いられながら、一時間と少しで完成した。
 構造は単純。
 横板に天板と底板、間に棚板をネジで固定。背板を溝に差し込んでいき、反対側の横板の溝に接着剤(木工用ボンド)を使用、ネジで固定。ネジをシールで隠し完成である。
 組み立て作業において重要なのは、幾分かの妥協である。
 プロの仕事とはいえ、板側面のネジ穴の精度(中心をとっているか)は完全無欠ではない。すべてがピタピタにできる筈がない。
 最後の横板をハメる際も、とりあえず一番端からネジで固定する。棚板と背板のハマり具合が気になっても、ネジで横板を固定していけば自然と収まっていく。このキットは完全でないと前述したとおり、完璧な出来は望まないことだ。
 価格が一万円もしないものは、こんなものだ。
 使えればいい。
 妥協と見切りが肝要。
 ということで、大体文庫本が130から150冊は入る「本たちの部屋」が導入された。大した作業ではないが、ちょっとした料理をつくったぐらいの達成感はある。
 そして昼寝タイムへ突入する。
 なんせ睡眠が足りてない。仕方ない。
 時間は夕方五時までスキップされた。
 あまりにも地味なホリデーに浅薄な危機感を覚えながら、洗濯機を回し、十円玉貯金を崩して飲料二本を買う。
 そしてnote執筆に至るということです。
 今日が終わるまであと五時間弱。
「地味過ぎホリデー、ぶっ飛ばす」必要がある。
 これでは、本棚を組み立てた”だけ”になってしまう。
 方法としては、まずは酒。クラフトビール。アテはワンパック目玉焼きと、カニカマとサラダチキン。アルコールの影響で少しは「アガる」だろうが、これだけでは足りない。工夫が必要である。
 そもそも、どの状態が「ぶっ飛ばせた」と言えるのだろうか。
 いつもの休日とは違う、特別なことが発生したとか、そういった偶発的なことは狙って出来ることではない。
「ぶっ飛ばす」ことを「狙っている」
 この時点で、
 背伸びで足首ガクガクの、生まれたての小鹿同様の弱々しさ、
 端的に阿呆かつ滑稽。
 特別なことなど望んで得られるものではない。
 子供時代、お子様ランチを後生大事に少しずつ食べ、ハンバーグが消えた瞬間、悲しくなった直後、人参と母上に目が合ったときのように、まさに休日を惜しみながら過ごす。
 女々しくて、夏。
 さもしくて、夏。
 孤高の夏。
 明日はまだ休み、二連休の後編。
 作戦会議でござる。
「丸善・津田沼店へ」
 これは普通すぎる。
「ブックファースト新宿店へ」
 これは浮気。紀伊國屋書店・新宿本店、一筋(新宿限定)。
「ならば新規開拓」
 これだ。
 新たな書店へ行く。
 しかし神保町の古書に足を踏み入れる気はない。古書肆の沼にハマったらいくら金があっても足りない。場所も足りないのだ。
 ネットで検索。
 よし決めた。
『BOOKS青いカバ』
山手線駒込駅から徒歩7分の場所に或る、古書と新刊の本屋です。
「ずっと GOOD BOOKS」をテーマに、10年後も本棚に入れておきたい、そんな本をセレクトしているので、じっくり自分にぴったりの本を選ぶことができます。店内では写真展などの展示も定期的に行ってます。
 だそうです。
 しかし怖い。洒落ている。
 勇気をだして明日、行ってきます。
 怖気づいたらスイマセン。
 そんなこんなでもう夜八時。
 あとは、風呂と、酒と、本で夜半へ突入します。
 それでは、また明日。

 

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