週刊「我がヂレンマ」<9月23日号>

 私はゴートレザー、ホースレザーのジャケットを持っていて、本日の朝一番から油(クリーム)で手入れをした。せっかく朝から何もしなくても良い休日、先延ばしにしようと思ったが、「やれるならやってしまえ」の精神で勢いで、1時間かけて終えた。
 疲れた。しかし、あとは革靴2足となり、先が見えて気分は爽快である。
 ちなみにこの前文は朝8時に書いている。先週同様、早くに手をつけて終わらす。そして先週同様、余裕があるからこそチマチマ書いて、結局はいつもの時間に記事を書き終える。
 そんなことにならぬよう、シャカリキになって頑張ろう。
 いや、それは厳しい。「焦っても仕方ない」「早さより質だ」との尤もらしい言い訳がきくので、おそらく夜10時ごろの投稿になるだろう。
 さて、今週のコンテンツ。
<メモについての解説と考察>
<購入した書籍の紹介>
<月曜、ひとり歌会>
 そろそろ秋らしい気候になってきて、読書の秋も到来しそうです。積読ならいくらでもあるので、困ることはありません。
 読んで、書いて、考えて、
 楽しんで頑張ろうと決意して、書いていこう。

<メモについての解説と考察>

「魂のない人間」
 出典不明。魂は単なる概念で、科学的な証明はないので、比喩的表現です。つまり、心がない・サイコパス的・信念がない人間を表現した言葉か。得体の知れない人間は怖いものだ。普通の人間からすれば、話が通じなかったり、知らぬうちに利用されたりすれば、恐怖である。

「棘坊主」
 響きと、想像される人物の容貌の面白みが引っ掛かり、メモした模様。
 どんな人物だろう。棘が生えたヘルメットや防具を纏って、かつ坊主で小柄な少年のような奴か。人を寄せ付けず、孤高の盗賊のような奴か。
 きっと盲目の少女と出会って、傷つけないよう慎重に触れ合うだろうね。そんで、その子は政府の秘密を託されていて、巨悪に追われながら仲間と出会って、最終的に勝利して、二人は結ばれずにハッピーエンドだろう。

「回析現象」
 風景写真などをとる時に、景色全体をくっきり写す場合、絞りを絞る(F値を大きくする)のが効果的。
 ところが絞り過ぎると「回析現象(小絞りボケ)が起こり、写真の品質に影響する。
 回析現象とは、隙間や障害物の背後に回り込んで波面が伝わる現象をいいます。一般的に波が隙間のある衝立に入ってくると、衝立の背面にも波面が回り込んできます。
 この隙間の幅が波長よりも十分に大きい場合は、回析の影響をそれほど受けませんが、同程度以下の場合は、衝立の背後に波が回り込みやすくなり、影響が大きくなる。
 で、カメラの世界と回析現象に何の関係があるのか。写真はレンズの絞り(衝立)を介した光(波)を取り込んで生成される。
 つまり、レンズの絞りが小さい(F値が大きい)ほど、この回析現象の影響を受けやすくなるわけです。

「根、暗いっすよ」
 出典不明。後輩が先輩に指摘した場面のような。相当、性格の悪い行動があったのだろう。またはそのような発言か。それに対して、吐き捨てるようにして「根、暗いっすよ」である。
 これは突き刺さる。クリティカルなダメージをくらう。芯をくっている。返しに困る返しであり、羞恥にまみれ、その後笑いものにされるのではとの邪推もさせる、不用意な言葉ともいえる。
 本当のことを言えばいい、というものではない。
 何を言うかより、何の為に言うか。

「SWОT分析」
 とは、自社の内部環境における、
「Strength(強み)」と「Weakness(弱み)」、外部環境における「Opportunity(機会」と「Threat(脅威)」を分析し、評価するのに有効なフレームワークのことです。
 SWOT分析は、企業が長期的な成功を実現するための戦略策定の一環として実施され、市場における自社の競合優位性の構築、新たなビジネス機会の発見、将来的に直面しうる課題への対処などに役立てることができます。
 だそうです。
 かっこええからメモしたんやなぁ。

「ストローマン論法」
 は、議論において、相手の考え・意見を歪めて引用し、その歪められた主張に対してさらに反論するという、間違った論法のこと。あるいは、その歪められた架空の主張そのものを指す。
 ストローマン手法、藁人形論法、案山子論法(かかし論法)ともいう。
 語源は不明である。比喩的な用法は、容易に倒せそうな藁人形、ダミー、案山子などを示唆する。
 アメリカではポリティカル・コレクトネスの見地から、字義的に「藁の男」を意味する「ストロー・マン」を言い換えて、性別を問わない「藁の人」を意味する「ストロー・パーソン」を使用する場合がある。

「海の苦しみ」
 産みの苦しみのモジり。環境である海が苦しむ。純文学のにおいがする。海が擬人化されているのか、漁師や船乗りのような海を糧とし、暮らす人々について描くのか。面白くはないけれど、感じる何かはありそうだ。
 もしくは、小説というより「詩」かもしれない。

<購入した書籍の紹介>

「愚か者同盟」
                     ジョン・ケネディ・トゥール
                            木原善彦=訳
『全世界200万部超ロングセラー ピュリッツァー賞受賞作』

無職、肥満、哲学狂、傍若無人な怠け者にして、
口達者なひねくれ者の30歳崖っぷち問題児が、
母がこさえた借金返済のためしぶしぶ就活を開始。
混沌の街ニューオリンズの愚か者たちと、
大騒動を巻き起こす――!!!!

デヴィッド・ボウイも愛読したアメリカカルト文学史上の伝説的傑作にし
て、変人奇人たちが大暴走する
爆笑労働ブラックコメディ!!!

『あれは”子供”じゃありません。体が超でかい変態です』

無職、肥満、哲学狂、傍若無人な怠け者にして、口達者なひねくれ者の30歳崖っぷち問題児イグネイシャスは、母とふたりニューオリンズ郊外の小さな家で暮らしていた。
しかしある時、母がこさえた多額の借金の返済のため、しぶしぶ就活を始めることになる。
イグネイシャスは潰れかけのアパレル工場、次いで零細ホットドッグ移動販売業者で職を得るが、職場では仕事を放り出して好き勝手やり放題。
やがて今度は職場から放り出され、警察にも追われるようになったイグネイシャスは、一癖も二癖もある奇人変人たちを巻き込んでり巻き込まれたりしながら逃亡劇を繰り広げ、ニューオリンズの街に大騒動を巻き起こす!!!!

 元々欲しかったが、中々手が伸びず、伸ばし伸ばしになっていた。しかし、書店から姿を消してからでは遅いと、ついに買う。
 濃いコーラル・ピンク色の表紙が可愛い。
 デブ三十路無職のイグネイシャスが憎たらしい。

「オール・グリーンズ 万事快調」
                               波木銅
『満場一致の松本清張賞受賞作』

読みながら、そのセンスの良さに何度も唸り、選考委員としてこの作家のデビューに立ち会いたいと思った。
                            ――辻村深月

先を見通しているのか、後ろが見えていないのか。でも、少なくとも作者には今がはっきり見えている。何者なのか見極めたい。
                            ――京極夏彦

おもしろかった。「万事休す」の状況なのに、この愉快さ。作者には天性の資質が感じられた。この賞が人生を狂わせないことを切に願う。
                            ――中島京子

頭ひとつ抜きん出ていた。登場人物たちの過剰な自意識に何度も笑わせてもらった。皮肉とユーモアのセンスがずば抜けていて、これは努力では身につかないものだ。
                            ――東山彰良

正直、粗の多い作品だとは思う。巧いとは一度も感じなかった。が、際立って面白かったのは事実。
                             ――森絵都

このクソ田舎と
おさらばするには金!
とにかく金がいる!
立ったら大麻、育てちゃえ
(学校の屋上で)。

『ユーモラスでオフ・ビートな文体が癖になる、中毒性120%のキケンな  新時代青春小説』

 これも前々から欲しかったが、手が伸びなかった作品。すでに文庫もでているようですが、単行本で購入。ネオンなグリーンの表紙は、銀色の大麻草が生えた、ジャケ買い必至のクールさ。
 オール(万事)・グリーン(快調)というタイトルのセンスも好き。

「令和元年のテロリズム」
                               磯部涼
                           写真・山谷祐介
ジョーカーはどこにいる?

『ルポ川崎』の著者が描き出した「悪意」が増殖する時代

◉川崎無差別殺傷事件
◉元農水事務次官長男殺害事件
◉京アニ放火殺傷事件
◉池袋暴走母子死亡事件
◉安倍元総理殺害事件

 改元がもともと災害や疫病の流行にあたっても行われていたことから分かるように、社会をリセットする機能を持っているとしたら、それを市井のベクトルから暴力的に企てようとする行為がテロリズムだ。
 もしくは政治的な意図はないが、その極端さ、陰惨さ故にテロル(恐怖)
が社会に対して影響をもたらす犯罪を広義のテロリズムと解釈するならば、改元の年に起こった凶悪犯罪を検証することで見えてくるものがあるだろう。

 20人を殺傷して何も言葉を残さず自殺した川崎無差別殺人犯。
 引きこもりとされる長男を殺害した元農水事務次官。
 戦後で最も多くの死者を出した京アニ放火殺人犯。
 自動車を暴走させて母子の命の奪い、「上級国民」という言葉を生んだ元高級官僚――。
 令和の幕開けに起こった新時代の多難さを予感させる事件から浮かび上がってくる現代日本の風景とは。安倍元総理殺害事件を追加取材した完全版。

 私としては珍しいルポ。題材に興味をもち購入。
 時代の閉塞感に耐え切れず、奈落に滑落した人々は、船に乗れた自分たちとはまったくの異次元的存在なのか。遥か遠くにたつ蜃気楼ではなく、誰もがはまる可能性のあるブラックホール。彼らはそれに落ちただけなのかもしれない。自分がそこに落ちない保証はない。

「ビギナーズラック」(短歌集)
                             阿波野巧也

もう一人の自分が勝手に喋りだして「旅に出よう」と誘ってきた。
                  ――小山田荘平(ミュージシャン)

もしあなたがいま本屋で、本文より先に解説を立ち読みしてしまっているならば、わたしの能書きはきれいに忘れ、とっととレジに行くべきなのだ。
                        ――斉藤斎藤(歌人)

〇だいなしの雨の花見のだいなしな景色のいまも愛なのかなあ

〇フードコートはぼぼ家族連れ、この中の誰かが罪人でもかまわない

〇夜の居酒屋ははじけるような暗算を見せつけられてうれしくなった

〇父親とラッパの写真 父親は若くなりラッパを吹いている

〇解き方を忘れ去られたルービックキューブがこの町にいくつある?

〇きみの書くきみの名前は書き順がすこしちがっている秋の花

 これも前々(以下略)。
 歌集はピンときたら買うようにしてます。ハイ。

「ウンガレッティ全詩集」
                            河島英昭・訳

二十世紀イタリア最高の詩人ジュゼッペ・ウンガレッティ(1888‐1970)。第一次世界大戦に従軍し、最前線の塹壕の中で死に取り囲まれながら書き留めた、生命の結晶のごとき初期の前衛的な短詩群から、ペトラルカへと遡るイタリアの詩的伝統に回帰して、詩想を深め詩型を磨いた後年の韻律詩群までの全詩篇を収録。卓抜な詩論「詩の必要」を併収。
                     (赤N703‐1 岩波文庫)

 歌集もそうだが、詩集にも興味がある。となれば、岩波文庫に世話になるしかない。数百円から千五百円ていどで、世界観が手に収まる。こんな素敵なことはねぇな、と、秋口の休日におもう。

<月曜、ひとり歌会>

「五・七・五・七・七」「季語は必要ない(使用可)」という最低限のルールを守り、楽しく、活き活きと詠っていこうと思う。
 そもそも言葉を研くことを目的として始めた短歌。
 効果のほどは不明ですが、続けることに意味があると信じて、前を向いていこうと。後ろ向きに走って、コケて、頭を強く打って涅槃に行く前に。
 前置きという、蛇足の前借りのような行為はもうやめだ。
 詠う。

〇琥珀色どんな色かと浮かべても 頭は頓馬でブルーグレーで

〇水面を俯瞰で見たら弾けてく掴み損ねた 希望と気泡

〇ソノはなしマエもきいたようんざりだ 秘めた思いで窒息しそう

〇ふっきれた心の傷を縫い合わす 「やっぱり嫌だ」「ケリをつけるか」

〇昼時にお湯は沸騰インスタント葱だけ入れて よしとする昼

〇切り刻む空は陽炎 立ちすくみ サイレン鳴って墜ちる夕暮れ

〇キンときて甘さ染みてく夏の午後 みたいな秋はガリガリ君と

〇人は言う 旅は道連れ世は情け 巡り巡って移ろうココロ

〇道端にその片隅で咲く花は 人知れず枯れ 種を残すよ

〇大空で 縦横無尽飛びまわる 鳥の自由を見上げて寝るか

〇ついさっきおもったこともわすれてくだからいきれるすててひろって

〇懐かしいあの日あの時あの空気 未来の為に耽る思い出

 冷房が涼しすぎる。心なしか調子がいい10年選手。
 そんな秋口です。いつもより少し多めに詠ってみました。
 素人歌人ですけど、楽しく読めました。ひとり言葉遊びをしているくらいが調度いいかな。
 書くことも、無いのに書いてなんになる。文字数足りず、蛇足はとぐろ。
 なんてね。
 明日から三日連続ショートショート。文章が短歌に浸食されてしまって、もうぐでんぐでんです。
 また明日でございます。了。

 
 

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