週刊「我がヂレンマ」<11月18日号>

 布団から出たくない。というほどでないにしろ、朝は特に冷える今日この頃。そろそろ暖房の出番であり、カビ防止スプレーなどを使用し、手入れをする予定。部屋着をロングスリーブに切り替え、愛用するバズリクソンズのМ‐65を月末にクリーニングにだす。
 着々と冬に向けた準備が進行中である。
 時間はあっという間に過ぎていく。気がつけば師走、クリスマス、仕事納めで年末年始である。光陰矢の如しというが、日々を無駄にすることなく生産性のある時間を過ごしていきたい。
 そんなこんなで、今週のコンテンツ。
<メモについての解説と考察>
<購入した書籍の紹介>
<月曜、ひとり歌会>
 寒さのなかで震えながら、ベストをつくし、それなりのものを投稿しよう。そんな淡い決意の元、書いていく所存。
 前置きはこれくらいにしよう。

<メモについての解説と考察>

「エアロゲル」
 ゲル中に含まれる溶媒を超臨界乾燥により気体に置換した多孔性の物質である。エアロゲルのうち、よく知られているシリカエアロゲルは非常に低密度の固体で、高い断熱性など際だった特性をもつ。半透明な外見から「凍った煙」や「固体の煙」などと呼ばれることもある。
 エアロゲルは、収縮を起こすことなくゼリーに含まれる水分を気体に置き換えられるか、というチャールズ・ラーンドの課題に挑戦した、スティーブン・キスラーにより1931年に発明され、ネイチャーで発表された。
 最初に置換に成功した物質はシリカゲルだったが、同じ論文の中でケイ素、アルミナ、酸化クロム、酸化スズも報告されている。
 その後、さまざまな物質で作製されるようになった。カーボンエアロゲルは1989年に発明される。

「濡れ縁(ぬれえん)」
 雨戸の敷居の外側に設けられた雨ざらしの縁側。昔ながらの日本家屋にあったやつ。ウッドデッキ的なやつ。妙に風情のある単語でひっかかり、メモしたのだろう。

「納得と以外」
 ショートショートのオチに必要と思われる性質。以外なだけでは、読者は意味不明となる。納得感が必要。要するに完璧なプロットでなくてはならない、ということ。そんなに簡単にできたら、星新一先生も3000本ぐらい世に送り出していただろう。
 なんて泣き言を漏らしている場合ではない。明日から三日連続ショートショートを投稿しなくてはいけない。

「カルダシェフ・スケール」
 1964年に旧ソ連の天文学者ニコライ・カルダシェフが考案した、宇宙文明の発展度を示す三段階のスケールである。
・タイプⅠ文明は、惑星文明とも呼ばれ、その惑星で利用可能なすべてのエ
 ネルギーを使用および制御できる。
・タイプⅡ文明は、恒星文明とも呼ばれ、恒星系の規模でエネルギーを使用
 および制御できる。
・タイプⅢ文明は、銀河文明とも呼ばれ、銀河全体の規模でエネルギーを制
 御できる。
 名前が格好いい。
 ロマンを感じる。そんな理由でメモをした。

「北原白秋(1885年1月25日‐1942年11月2日)」
 日本の詩人、童謡作家、歌人。帝国芸術院会員。
 詩、童謡、短歌以外に、新民謡でも『ちゃっきり節』など傑作を残している。生涯に数多くの詩歌を残し、今なお歌い継がれる童謡を数多く発表し活躍した時代は「白露時代」と呼ばれ、三木露風と並び評される、近代日本を代表する詩人である。
 弟はそれぞれ出版人となり、北原鉄雄は写真・文学系出版社アルスを、北原義雄は美術系のアトリエを創業した。娘は三菱財閥創業家・岩崎家の末裔に嫁いだ。従弟の北原正雄は写真系の玄光社を創業した。

「柄谷行人(からたに・こうじん)」
 1941年8月6日生まれ。本名:柄谷善男。日本の哲学者、文学者、文芸批評家。兵庫県尼崎市出身。筆名は夏目漱石の小説『行人』にちなむとされているが、本人は「kojin」という語感と響きから偶然思いついたと語っている。
「国家」「資本」「ネーション」とは区別されるものとして、近年は「アソシエーション」という言葉を強調している。
『意識と自然-漱石試論』(1969年)で論壇に登場。言葉と人間との関係を追及し、近代を読み直す。著書に『意味という病』(1975年)、『坂口安吾と中上健次』(1996年)、『トランスクリティーク カントとマルクス』(2001年)、『哲学の起源』(2012年)、『帝国の構造』(2014年)、『世界史の構造』(2015年)など。
 2022年、バーグルエン哲学・文化賞をアジア人で初めて受賞した。

「微差をコントロール」
 出典不明。ファッション関係だったような気がします。ちょっとした差が積み重ねれば、大きく印象が変わるということか。細部に神が宿るという言葉もあるので、少しは意識して書いていこう。

<購入した書籍の紹介>

『逆光 下巻』
                         トマス・ピンチョン
                            木原善彦=訳

父を殺された一家の復讐は成るのか?
膨大な人々の軌跡が交わったとき世界は――
ファン必読、ピンチョン未経験者驚倒間違いなし、
現代世界文学の巨人が贈る、21世紀最初の大傑作。

「目撃せよ、奇跡を。」
幻想美少女数学ギャグ労働史恋愛ポルノ革命テロ家族小説

1890年|フロンティアの消滅 
1893年|シカゴ万博
1895年|H・G・ウェルズ『タイムマシン』発表 
1901年|マッキンリー大統領暗殺
1903年|ライト兄弟動力飛行に成功
1904年|日露戦争
1914年|第一次大戦勃発‥‥‥

タイム The Times
『逆光』は高度な読解能力の持ち主や晦渋な蘊蓄の愛好家でなくとも読める。彼はいわば、前世紀初頭に形を定めた物理的・科学技術的・地政学的・哲学的なもろもろの力をガイドツアーで見せてくれる偉大なる舞台監督だ。読者はきっとそのサーカスのような幻想世界のとりこになるだろう。

「長すぎる」という当初の批判を覆し、今や『重力の虹』に次ぐ人気作に。
テロの世紀に世界文学の巨人が贈る、祈りに満ちた長篇。

 上巻が見当たりません。上下巻セットで購入しない理由などあろうか。トマス・ピンチョン作品に手が伸びるということは、文学好きであり、二冊で約1万円だとしても、問題ないはず。なんにせよ、焦らず、上巻を探していこうと思う。

『スロー・ラーナー』
                         トマス・ピンチョン
                            佐藤良明=訳
【事件的新訳】

かいぶつが、うまれた

天才だけが持つ衝撃力と、意外なほどの叙情性。
全篇必読、世界文学の巨人唯一の短篇集。

「オー・マイ・ガーッ」
――読者もよくご存じだろう、二十年も前に自分が書いたものを読まされるというのは(中略)当人のプライドにとってたいへん辛いことだ。私の最初の反応は「オー・マイ・ガーッ」で(後略)
――まさしくバカである。今この瞬間に、もし同じ過ちを犯している人がいたとしたら、ぜひこのバカなケースを役立ててほしいものだ。
             (いずれも本書「イントロダクション」より)

最大の世界的評価を得た謎の隠遁作家――
その語り/騙りは何が真実で、何がそうでないのか?
かつてないドライブ感の新訳で贈る、
著者唯一にして絶品の短篇集。

【仰天の自作解説と詳細な訳者解説&訳註】

 華氏37度で変わらぬ外気、階下では終わらぬパーティ。温室のような部屋でひそやかに暮らす男と女は終末の予感の中で――
鮮烈な結末と強靭な知性がアメリカ文学界に衝撃を与えた名篇「エントロピー」。
 ”革命”を夢見る少年たちの秋を描く、詩情溢れる「シークレット・インテグレーション」、年間最優秀短篇にして『О・ヘンリー賞作品集』に収録され、デビュー長篇『V.』の一章へと発展してゆくスパイ小説「アンダー・ローズ」など、眩いほどの才能に満ちた全五篇、著者唯一の短篇集を新訳。

 ダメキャラに熱力学、ゴミに機械に帝国主義、スパイ、神話、ポップ・カルチャー‥‥‥。
 のちのピンチョン作品の萌芽を見るもよし、一篇たりとも読み逃せない作品群に加え、作家本人による仰天のこき下ろし自作解説、訳者による目から鱗の解説。訳註を収録。

 丸善・丸の内本店で発見した一冊。何なら、『逆光』以上に見かけないやつ。表紙が完全に好み。額に入れて飾りたい。

『みどりいせき』
                        大田ステファニー歓人
【発売前に異例の万バズげと!】

「第47回 すばる文学賞受賞作 選考委員激賞!」

私の中にある「小説」のイメージや定義を覆してくれた
                           ――金原ひとみ

この青春小説の主役は、語り手でも登場人物でもなく生成されるバイブスそのもの
                           ――川上未映子

このままじゃ不登校んなるなぁと思いながら、僕は小学生の時にバッテリーを組んでた一個下の春と再会した。そしたら一瞬にして、僕は怪しい闇バイトに巻き込まれ始めた‥‥‥。でも、見たり聞いたりした世界が全てじゃなくって、その裏には、というか普通の人が合わせるピントの外側にはまったく知らない世界がぼやけて広がってた――。

「うぇーい、へいへい、モモぴはわかってるっす」「あ、そうだ。これ、忘れないうちに」「so I ain't scared to smoke lala」「え、なにこの二万」「口止め料」「いやいやいや、もらえないって」「そういうのいいから」「いや、ぼくだって酔っちゃったんだし、言うわけないよ」

闇バイトに巻き込まれる
〈僕〉の青春を描く、
圧倒的中毒性、
超ド級デビュー作!

 また、若い作家さんの作品。日本文学は方針として、当面「新しい、若い人」「古典」「隠れた名作」を基準として購入する。
 これはジャケ買い。本棚では日比野コレコ先生と、波木銅先生の二作品に挟まれております。ニューウェーブ地帯であります。

『旱魃世界(かんばつ・せかい)』
                          J・G・バラード 
                            山田和子=訳
水が消失した世界は、文明と人間を変容させる。

『沈んだ世界』『結晶世界』とともに
〈破滅三部作〉の一角をなす
『燃える世界』を
徹底的に改稿した完全版

「”終末”を描いた著者の代表作、本邦初訳」

十年ほど前から徴候を見せていた世界的な旱魃は、各地で急速に文明社会を崩壊させつつあった。人々が競うように水を求めて海を目指す中、医師ランサムはハウスボートの船上で、破滅までの残された時間を緩慢と生き続けていた‥‥‥。生物を拒絶するかのごとく変質する世界をシュルレアリスム絵画のように描き出した、〈破滅三部作〉の一端をなす『燃える世界』の完全版、本邦初訳。

 長編第二作となる『沈んだ世界』で早くも己の理想とするSFの方向性を見定めたバラードは、続く『旱魃世界』を経て、その後『結晶世界』で世界の破滅を描ききった。
 これら三作には「地球規模の災厄のため危殆に瀕した世界」「生活の危機とは無関係に、社会のみならず人間の思(スペキュレーション)弁に変化が起こる」という要素は共通しているが、熱帯化し海に沈む都市、魚と鳥の死骸が散乱する塩の丘、生命が結晶化して時間が静止した森と、描かれる風景の多彩さ、詩的な文章表現の精妙さに読者は息をのむだろう。

 設定と、表紙の赤黒い大地に惹かれました。必ずSF作品は買おう、という方針なので手を伸びました。割と楽しみな一冊。

『まど・みちお詩集』
                             まどみちお
                           谷川俊太郎=編

だれもが知ってる「ぞうさん」「やぎさん ゆうびん」「ドロップスの うた」――。子どもの世界、自然の不思議、すべてのものや生きものがそのものとして在ること、生かされてここにいることを、生まれて初めて世界をみたような驚きをもってうたいつづけた詩人まど・みちお(1909‐2014)のエッセンス。エッセイをふくめた172篇を精選。

 日本人の詩集を買っておけ。ということで購入。ひらがな多め。エッセイあり。全体的に優しい印象。大事に読んでいきます。

<月曜、ひとり歌会>

「五・七・五・七・七」「季語はいらない(使用可)」という最低限のルールを守り、言葉を研くことを目的として、楽しんで詠っていく。
 前置きに時間を使う余裕はない。
 簡単に終わったら、ちと淋しい。
 そんなセンチメンタル、ナイーヴな、考えは捨てたい。
 もういいや、詠おう。

〇先延ばししてばっかりの愚か者 一歩踏み出し コケて後退

〇夜風吹く ひるとはちがう静けさよ 夜に沈んで浸る暗闇

〇闇バイト 馬鹿と悪とがマッチング 金に困って羽がもがれる

〇潮干狩り「なんでやってん」おもろない 店で喰うとけ 汗かきたない

〇甘いモノ一度食べたら止まらない 糖質ばかり溢れるわたし

〇壁もたれ せんちめんたるクリスタル きらきら光る 君の閃光

〇山奥に響く音楽「何してる?」 甘い芳香 揺れるドレッド

〇ストレート右ストレートストライク ワクワクしてる殴る妄想

〇時間ない締切迫るわけですが いつものことで 慣れたもんです

〇帰りたい自宅にいても帰りたい 時を戻して童心かえる

 時間ねぇよ。
【23:29】なんだよ。
 あと30分しかないよ。推敲しなくてはいけないのだ。こんなものを書いている暇はない。10個詠うだけで、精一杯です。時間がいくらあっても足りないです。
 それでも今日は、それなりの全力をつくした。
 目一杯の一本糞。
 月曜の一本です。
 明日から三日連続でショートショートだから、そのネタでも考えます。
 もう、もう、もう、終わりです。
「仕事が終わって、帰宅してから書くのだから必然的に時間はない!」
 


            
 
 
 
 
 
 


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