週刊「我がヂレンマ」<11月4日号>

 昨日、新宿3丁目を歩いていたら、おそらく双子の子供を連れた父親がいた。外見はきっちりとして、格好よい。
 が、片方の子が一人で、父親の右後方で歩いている。
 その子は2歳にもならない乳幼児に見えた。
 たわけが。
 自転車に轢かれたらどうする?
 拉致されたらどうする?
 車道にでてしまったら?
 乳幼児は危険を避けるより、興味本位が勝つ年代である。外出時はとくに手をとるか、抱くか、ベビーカーに乗せるかして目を離してはならない。
 あかんではないか。
 何の確信があって、自由にさせているのか。世の中には、マトモに見えて途方もない、自覚のない馬鹿がいる。それを再度確信する出来事だった。
 そして、本日。
 追加で本を買ってしまう。
 馬鹿。
 そしてその帰り、自宅近くの路上でカマキリを発見、捕獲し、自宅の庭に放す。しばらくして見に行ったら、消えていた。淋しい。
 そんな時間を過ごしています。
 今週のコンテンツ。
<メモについての解説と考察>
<購入した書籍の紹介>
<月曜、ひとり歌会>
 午後いちでこの前文を書いているが、昨日も書いたとおりいつもの時間になるだろう。
 だがそれでいい。急いでいい事などない。可及的速やかに仕上げる必要などないのだ。

<メモについての解説と考察>

「ヘルマン・ヘッセ(1877年7月2日‐1962年8月9日)」
 ドイツ生まれのスイスの作家。主に詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者である。南ドイツの風物のなかで、穏やかな人間の生き方を描いた作品が多い。また、ヘッセは風景や蝶々などの水彩画をよくしたため、自身の絵を添えた詩文集も刊行している。1946年に『ガラス玉演戯』などの作品が評価され、ノーベル文学賞を受賞した。

「娘娘専科(にゃんにゃんせんか)」
 TOOBOEの『錠剤』のМVのアニメに登場する店。おそらく風俗店。直球なネーミング、字面、言葉の響きもなかなか趣きがある。であるから、メモしたのだろう。

「若者たちは人生のネタバレに絶望している」
 出典不明。インターネットの発達により、ありとあらゆる人生のネタバレが起きている。恋愛、就職、結婚など「こっちいったら、こうなる」と何でも教えてくれる。それゆえにゼロリスク思考になり、行動できなくなる。
 個人差はあるものの、知り過ぎることは有害なのかもしれない。狭い範囲に生活を留め、無理なく充実させたほうが楽。時代である。

「不幸中の再会」
 不幸中の幸いのモジり。例えば、大震災で被災し、避難所でかつての友人と再会する。助け合おうとにこやかだが、相手は自分を虐めた相手。
 それを忘れている。そう話はしないが、気分のいいものではない。
 または、ある葬式に出席した男が、かつて仲良く遊んでいた従妹と再会する。滞りなく式は終わり、食事も終わり、お互い大人になったので居酒屋に行くことになる。人生色々大変だと、近況を話し合った帰りしみじみ思う。
 不意打ちの再会。人生の結節点。

「Nujabes(1974年2月7日-2010年2月26日)」
 別名:瀬場淳、本名:山田淳。東京都港区西麻布出身のDJ、ヒップホップのトラックメイカー、音楽プロデューサー。
 J Dillaと共に、2010年代半ばより世界的なムーブメントとなった「ローファイ・ヒップホップ」のルーツといわれている。
 アーティスト名”Nujabes"という特異な名前は、当初のアーティスト名「瀬場淳(セバ ジュン)をローマ字表記にした「SEBAJUN」を逆から読んだもの。Nujabesとしての音楽活動は、1995年に渋谷区宇田川町のマンハッタンレコード店を曲がった奥まった高野ビルでレコード店(Guinness Records)を開店したことが始まり。
 まだ学生で21歳の時だった。
「その店は品揃えはもちろん、インテリアなどの居心地の良さも含め、彼の美意識が投影された、従来のレコードショップとは一線を画す空間だった」(橋本徹SUBURBA)。Hydeout ProductionsというレーベルとTribeというレコードショップを運営。
 渡辺信一郎監督からのラブコールを受け、アニメ『サムライチャンプルー』に数トラックを提供。同アニメは特に海外で評判を博し、後年の『ローファイ・ヒップホップ』ムーブメントのきっかけの一つとされている。

「稠密(ちょうみつ)」
 一つのところに多く集まっていること。こみあっていること。また、そのさま。「人生の――な都市部」「人家の――する地域」
 難読だが、なんとか読める、しかし意味は分からないそんな単語。何が気になってメモしたか忘れた。

「ミートグラインダー(ひき肉製造器)、人海戦術」
 兵数の優位に物を言わせて目的を達成する戦術思想である。類似した軍事思想に飽和攻撃がある。戦争における一般的な人海戦術のイメージは、端的にいえば、
「こちらが10万発の弾丸を持っているのに対して、あちらは10万人を上回る無防備かつ密集した兵を突撃させてきた。だから押し切られて負けた」
 という考えである。 
 この一見原始的な戦術は、朝鮮戦争における中国人民志願軍(事実上の中国人民解放軍)が運用して有名になった。
 また、百団大戦の各所でみられたように、堅固な陣地に対してひたすら海のように、兵隊が押し寄せる状態のことを人海戦術と捉える向きもある。

<購入した書籍の紹介>

『V.[上]』
                         トマス・ピンチョン
                       小川太一+佐藤良明/訳
「かいぶつがあらわれた」

今さら『V.』について何を言うことがあるだろうか。
                            ――池澤夏樹

世界文学の新古典、30年ぶりの新訳

「謎解きの快楽宮(プレジャー・ドーム)へようこそ。」
闇の世界史の随所に現れる謎の女、V.。
その謎に取り憑かれた〈探究者〉ハーバート・ステンシルと、
そこらはどうでもよい〈木偶の坊・シュレミール〉ベニー・プロフェインの
二人は出会い、やがて運命の地へと吸い寄せられる‥‥‥。
V.とは誰か? いや、V.とはいったい何なのか?
謎がさらなる謎を呼ぶ。手がかり多数、解釈無数、
読むものすべてが暗号解読へと駆り立てられる――。
天才の登場を告げた記念碑的名作、ついに新訳成る。

 トマス・ピンチョン全小説を揃えよう。その為、手にとったやつ。難解かつ平明な文章で紡がれた大作で、無数の解釈ができるそう。楽しみ。

『V.〔下巻〕』
                         トマス・ピンチョン
                       小山太一+佐藤良明=訳
「ぼうけんが、はじまる」

作者の並外れた頭のよさと、同じく人並みでない馬鹿っぽさ『V.』の訳者は、その両方にしなやかに反応できる人であってほしい。今回の二人、その意味で(も)最高。
                            ――柴田元幸

『天才の衝撃的デビュー作にして、記念碑的名作』

「壮大なる物語世界(ワンダー・ランド)が広がる。」
25歳の若き天才は本書で衝撃的なデビューを飾った。『V.』は
その年もっとも優れたデビュー長篇に贈られるフォークナー賞を
受賞、いまも「現代最高のデビュー作」(『サロン・ドット・コム』)
と評される世界文学の古典となった。次作『競売ナンバー49の
叫び』はローゼンタール基金賞を受賞、『重力の虹』でアメリカ
最大の文学賞、全米図書賞を受賞――一作ごとに世界的注目
を集めるノーベル文学賞の常連候補、巨人の出発を告げる傑作。

 なぜトマス・ピンチョンに惹かれるのだろう。何がきっかけで知ったのか分からない。それにしても、不思議な魅力がある。

『LAヴァイス(INHERENT VICE)』
                         トマス・ピンチョン
                         栩木玲子+佐藤良明

「ラリラリ探偵、ロスをゆく――ハードボイルド探偵小説!」

目覚めればそこに死体。LAPDの警官の群れ。顔見知りの刑事。
んで――おいおいオレが逮捕なの?
60年代も終わった直後、街にサーフ・ロックが鳴り響くなか、
ロスのラリッ放し私立探偵ドックが巻き込まれた殺人事件。
かつて愛した女の面影を胸に、調査を進めるドックが彷徨う
は怪しげな土地開発の闇に拉致とドラッグ、洗脳の影。しかも、
えーと、〈黄金の牙〉って? なに?
ドックが辿り着いた真実とは――。

 またまたトマス・ピンチョン作品。揃えると決めたので当然であり、来週はジュンク堂書店・池袋本店へ赴く。猪突猛進です。

『モモ100%』 
                            日比野コレコ

絶妙のスピード、台詞、場面。その全てが100%フレッシュ!
                  ――デビッド・ボイド氏(翻訳家)

凄まじいライブ感に打ちのめされ、そこに食らいつきたいと願う熱を自覚した。
     ――屋代陽平氏(YOASOBI/monogatary.comプロデューサー)

「愛すべき文体で綴られた、命綱代わりの恋の哲学。文藝賞受賞第一作!」

「生き方を学ぶのにはもう遅いかな?」
「だってもう十九なんだよ。死は目の前だって感じがするよ」
                            (本文より)

モモ、19歳。
安全な頭のネジの外し方も
かわいい股の緩め方も人の愛し方も、
いまだ全然わからない。

 2003年生まれのうら若き作家の二作目らしい。ハードカバーで薄く、ビカビカに派手で、ピンクではぁと。可愛い。サイケ。現代の日本人作家は若手が気になる。波木銅先生とか。

『残酷な方程式』
                        ロバート・シェクリー
                           酒匂真理子=訳

名著復活
入手困難だった名作をお届けします
東京創元社復刊フェア2023

手違いで惑星基地から締めだされた探検隊の一員。融通の利かないロボットを言いくるめなければ命が危うい。彼のとった奇策とは? 表題作ほか、気弱な男の突拍子もない人格改造術「コードルが玉ネギに、玉ネギがニンジンに」、大戦以後失われた文学の〈記憶〉を売る男と村人の交流を描く「記憶売り」など、黒いユーモアとセンチメントが交錯する、奇想作家シェクリーの佳作16編。

 SF作品は必ず買う方針と、「入手困難」という文言に惹かれ購入。
 ロバート・シェクリーの存在を知らず手に取る。出会いである。

『鹽壺の匙(しおつぼ の さじ)』
                              車谷長吉

吉祥天のような貌と、獰猛酷薄を併せ持つ祖母は、闇の高利貸しだった。陰気な癇癪持ちで、没落した家を背負わされた父は、発狂した。銀の匙を堅く銜えた鹽壺を、執拗に打砕いていた叔父は、首を縊った。そして私は、所詮叛逆でしかないと知りつつ、私小説という名の悪事を生きようと思った。
――反時代的毒虫が二十余年にわたり書き継いだ6篇。芸術選奨文部大臣新人賞、三島由紀夫賞受賞。

 名前は知っていた。どんな人かは知らなかった。手に取った。「塩」でなく「鹽」と書かれていた、買うしかない。

『日野日出志 グレイトワークス』
                           日野日出志 著
                           寺井広樹 編著

子供の頃、無意識に”恐怖” ”悲哀” ”妖艶”を同時に体験し学んだのがこの作品群だった。そして大人になった今でもその衝撃は変わらない。
「まごうことなきマスターピース!」
                            ――石野卓球

「赤い蛇」「幻色の孤島」「ウロコのない魚」など
ホラー漫画の巨匠が放つ傑作集!
                     (巻末エッセイ 朝宮運河)

「水の怪物」単行本”初”収録!

【収録作品】
「泥人形」
「ウロコのない魚」
「幻色の孤島」
「赤い蛇」
「赤い花」
「水の怪物」

平成初期のまぼろしの作品群
「あしたの地獄ー地球発2020-」より
「水の怪物」を特別収録。

「艶やかな恐怖を目撃せよ!」

 久しぶりにホラー漫画を買おう、と、いうことで手元に。日野日出志先生の作品、社会から疎外されるような人物が多い気がする。
 社会派すらある。独特の絵柄も好き。

<月曜、ひとり歌会>

「五・七・五・七・七」「季語はいらない(使用可)」という最低限のルールを守り、言葉を研くことを目的とし、楽しんで詠っていきたい。 
「無意識に浸り何者かに呼びかけ、ただ、思考のスープに遊弋していたい」
 意味不明に格好つけて、よく思われたいとの欲望が透けてみえる。
 キモい。
 ええからもう詠えや。
 たわけが。

〇夜半過ぎ大胆不敵 冷える夜 閃光残すテールランプの

〇見つかった真実の時は姿消し 飛ぶ鳥落とせ 消せよテレビは

〇別売りのヤツなら買える帰り道 肉なしカレー 食べる夕暮れ

〇空晴れて喰う寝る遊ぶ ホトトギス 日向に揺れる木の葉ゆずりは

〇さりげなく震えるこの手握る手の 温もり触れる溶ける体温

〇静けさに耳をつんざくこの動悸 冷や汗舐める「もう帰ってよ」

〇思い出す未来に向かい忘れてくココロの奥へ追いやる歪み

〇降りしきる雨の音色を思いだす あなたとわたし彼方に渡り

〇フランスに行ってみたいと思わない 無言で歩く地元の轍

〇駅前で君の姿を観察し さっと駆け寄る傘を片手に

 終わりだ。
 結局時間は、
【22:17】ですよ。いくらか早いだけで、特にこれといって、月曜日の休日を活かせたとはいえない。
 短歌を始めてかなり経つが、上達した実感はない。そもそも、短歌における「実力」がわからない。何で測ればよいのか、どんな基準があるのか。
 とりあえず細かいことは置いておこう。
「考えるな」
「感じるんだ」
 そういうことにしておこう。
 マイペースで詠うよ。来週も。思いついたらメモするし。
 そしてもう、疲れた。
 明日から三日連続でショートショート書くので、気合をいれてネタを考える必要がある。
 だからもう、
 終わりだ。
 了。
                  

 

 
 
 
 
 

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