カレーをつくりたい
ひとり暮らし。たまには、カレーをつくりたい。そう、思うことがある。しかし、つくることはない。何故か。人参、ジャガイモ、玉ねぎ、何かしらの肉、カレールゥ、御飯。意外と金がかかる。手間もかかる。そして余る。
カレーが続く日々を過ごす勇気が湧かない。結果、レトルトで良いとなる。
いつからこんなことになったのだろう。昔は何かのひき肉を無理矢理かためて、ニンニク醤油で焼き、チーズを乗っけていたのに。料理が億劫になった。二年前に手作り餃子を数回つくって飽きて以来、つくった料理といえば、肉を辛く炒める。そして炒め煮化し、余る。冷えて脂が固まる。
料理を楽しめる人を尊敬している。私には出来ない。自分のためだけに苦労したくない。楽して美味い、健康によいそんな食事をしたい。そんな中、最近ハマっている日曜日の夕食は、しこたまメバチマグロの刺身を買ってきて、白米と喰らう。明日も多分そうだ。カレーなんてつくるわけがない。
人参を乱切り、ジャガイモの皮を剥き乱切り、玉ねぎの皮を剥き薄切り、肉はそのまま鍋につっこみ炒める。水を投下、煮立ったらルゥを投下、時が過ぎたら完成。ジャガイモと玉ねぎの皮が残る。生ごみが世界で一番嫌いな私にとって、耐え難い残存物である。悪気はないだろうが、限度がある。つくった後の鍋も嫌いだ。レトルトでいいじゃないか。一瞬の達成感の為にこんな苦労してまで、何となる。霞のような喜びと、生ごみを残す。
「カレーをつくりたい」
こんな些細なことすら叶わない。叶えようとしない。醤油とワサビさえ用意すればヘヴン確定のメバチマグロに依存し、苦労を厭う。いつかきっと、私はカレーをつくる。それが達成できた暁には、私の人生にも光が差すことだろう。今は闇のなかで、メバチマグロに溺れるしかない。