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「動物病院四方山話」41(カメムシくんをそっとしておいてあげて!)

私の名前は「みぃ」
動物病院で暮らしている猫
私が経験した動物病院での四方山話を紹介しています

前回の動物病院四方山話はこちら


『ガチャ』

一平ちゃんが部屋に入って来たみたいね。

こんな時に一平ちゃんなんかに構っていられないわ!
こっちは忙しいんだから!

「んっ!?、臭っさ~!」
「この匂い、カメムシ?」
一平ちゃんが焦ってる。

そう言えば、少し匂うけど私たちはもう慣れたわ。

そんな事より、真剣勝負の真っただ中なのよ!
邪魔しないで!!

* * *

<さかのぼる事30分>


『何奴じゃ!!』

『緑色の物体がうごめいているではないか!』

あら、やだ私ったら。
戦闘モードになると、ついつい言葉がオッサンになってしまうのよねぇ。

殺気を感じたのか、緑の物体はジーッとして動かなくなった。
さては我慢比べをしようって魂胆ね。

もうロックオンしちゃったんだから。
何時間でも我慢比べに付き合うわよ!

おりゃ!(みぃちゃん、オッサンになってるよ!)

ペシッ!

『何するんじゃ、屁ぇこいたるぞ~』

ペシッ、ペシペシッ!

『やめろ言うてるやんけ!』

バシッ!

命中


『痛ったぁ~、何するんじゃ!』

『こうなったら、飛んで逃げたるわ』
『ついでに屁ぇこいたるねん』

プ~~~💨💨💨


『「臭っさぁ~」って鼻曲がるやろ、ざまぁみろ!』

『へっへー、高いとこまで逃げてやったぜ』
『ここやったらお前らも届かへんやろ!』

ブ~~~ン


「何?、この匂い!」
「臭いわね。」

それにしても、変な匂いね。

でも今はそんな事に構っていられないわ。
もう少しで仕留められたのに!
あと一歩のところで逃げられちゃったじゃない!!

高い所に移動したからって、安心したらダメよ。
獲物をロックオンしたからには逃がさないわよ!
ここからずっと監視してやるんだから!

・・・そんなこんなで20分程経過・・・


一平、部屋に入って来る

* * *

「んっ!?、臭っさ~!」
「この匂い、カメムシ?」

「みぃ、ケンタ、何してるの?」

みぃとケンタが微動だにせず一点を見つめているではありませんか。

部屋の隅を見るとクロちゃんまでが!

みんなの視線の先を見てみると、

「ゲッ、あんな高い所にカメムシが!」

壁の上の方にカメムシくんがへばりついているではありませんか!

はっは~ん、さてはカメムシくんを刺激したな。

またカメムシくんを刺激したらもっと臭くなるじゃないか!
お願い、これ以上臭くなるのは勘弁して!

『カメムシくんをそっとしておいてあげてぇ~!』


(一平心の叫び声)


そーっと逃がしてしまえばいいか。
とは言っても、逃がしてあげようと思ってもあんな高い所にいたら届かないし・・・
みぃたちはずーっとカメムシくんから目を離さないし・・・

みぃ達が飽きてカメムシくんに興味を示さなくなるのを待つしかないか。
これは持久戦になるなぁ・・・諦めモードの一平。

と、その時名案が!!

ガサガサ・・・

パラパラパラ・・・

パッカーン

「こっ、この音は!」
「えっ?、まだそんな時間じゃないのに!」

「いいの?」

「こんな事してる場合じゃないわ!」
「ケンタに先を越されては大変、急がなきゃ!」

ふっ、ふっ、ふ、
単純な奴らめ!

作戦成功!

食いしん坊のみぃとケンタは、『花より団子』
いや、『虫より団子』なのです!

おまけに、めったに食べさせてもらえない缶詰までもらったみぃとケンタ。
お腹がいっぱいになった途端、満足げに毛づくろいなんかしちゃって。

カメムシくんへのあの執着はどこへ行ったんだ~!

えっ?、カメムシ?、何の事?


どんくさ・・・いや、おっとりのクロちゃんは出遅れ。
しかーし、残り物を全てさらえるので、安定の『ぷくぷくお腹』を維持するのでありました😅

おわり






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