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「動物病院四方山話」03(パグ柴)

私の名前は「みぃ」
動物病院で暮らしている猫
私が経験した動物病院での四方山話を紹介しています

前回の四方山話はこちら


違う種類のお父さんとお母さん犬の間に生まれた子をミックス犬とかハーフ犬っていうの。今はミックス犬やハーフ犬は認知度も高く、とても人気があるんだけどね。
 
例えば、
チワワとミニチュアダックスフンドで、「チワックス」
ポメラニアンとチワワで、「ポメチワ」
チワワとトイプードルで、「チワプー」
ミニチュアダックスフンドとトイプードルで、「ダップー」
マルチーズとトイプードルで、「マルプー」
マルチーズとシーズーで、「マルシーズー」
といった感じ。

でもね、当時はまだミックス犬やハーフ犬はほぼ認知されていなかったの。当時のブリーダーさんは、他の犬種と交配して子供ができることを嫌っていた時代なの。
だから、当時はミックス犬はほとんど見なかったのね。

そんなある日、処置室に一匹のワンちゃんが連れてこられたの。

イメージ図
後ろ姿はシバさん

その子は外耳炎っていって、耳の中に炎症が起こって耳がかゆくなる病気だったの。
それで、耳アカが溜まって耳をかゆがっていたの。その治療として、耳アカをきれいにしてお薬を耳の中に入れないといけなかったのね。
まず、耳アカをきれいにするために耳の中に洗浄液を入れて耳をきれいにするの。耳洗浄(みみせんじょう)って言ってたわ。その処置を受けるために処置室に来たってわけ。

耳洗浄の仕方

白い服を着た女の人が耳洗浄をしていた。
里塚先生も処置室に入って来た。処置を受けている子の後ろから近づいて行って、

「鈴木先生、柴さんの耳洗浄ですか?」

って処置をしている獣医さんに声をかけた。
耳洗浄をしながらその先生が、

「この子すごくかわいいんですよ。前に回ってお顔を見てあげてください。」

って里塚先生に言ったの。

里塚先生は、

「そんなにかわいいんですか?」

と言って、その子の前に回ってきた。
里塚先生がその子の前に回って顔を見た瞬間、一瞬止まって(フリーズしたっていうのかしら)クスッと笑った。

イメージ図
前から見るとパグさん

「えっ、この子パグ?」

って驚いていた。

「お母さんがパグで、お父さんが柴犬なんですって。」

そう、この子、後ろから見るとほぼ柴犬。顔だけがパグの面影を残しているの。

「可愛いですね。そういえば柴さんにしては少し耳が小さいな、と思ったんですよ。」

と里塚先生はにこにこしながら獣医さんと話してた。

この子は入院室の方を向いていたので私からは顔が見えたんだけど、なんだか足が長くてスマートなパグさんね、って思ってたの。体は柴犬だったのね。

「里塚先生、この子すごくおりこうさんなんですよ。人懐っこくて、耳洗浄も全然嫌がらずにさせてくれるんですよ。」

「そうですよね。柴さんにしては珍しく耳洗浄も嫌がらずにさせてくれる子だなぁ、と思ってたんですよ。」

里塚先生も感心している様子だった。

というのもね、当時の柴犬は気難しい子が多く、家族の方しか触らせてくれない子も多かったの。中には、家族の中でもお父さんしか触れないって子もいたわ。柴犬を含めた日本犬の特徴なんだけど、飼い主さんだけに忠誠を尽くす、ってタイプが多かったの。

だから里塚先生が学生の頃は、日本犬には不注意に手を近づけるな、って教えられたそうよ。急にガブッって咬まれるんだって。
今はほとんどの柴犬さんがとてもフレンドリーなので、想像もつかない話よね。

この子はパグさんの血が入っているから、フレンドリーな性格はお母さん譲りだったみたいね。
それにしても、ミックス犬の概念がなかったから、この顔と体のアンバランス感は衝撃的でかわいかったわ。

何度も言うけど、私には絵心さえあれば・・・。
ほんと、かわいかったんだから。
皆さんの妄想力で楽しんでくださいね (^^)

ちなみに、フレンドリーな子が増えたのは、ブリーダーさん達がフレンドリーな性格の子たちを選んで繁殖してくれたおかげなんじゃないか、って里塚先生は考えてるんだって。

おわり

余談ですが、つい先日お母さんが豆柴でお父さんがチワワ、というチワ柴の赤ちゃんが来ました。ハーフ犬は、成長するとどちらの親の特徴がより強く出るかで、一人ひとりの特徴が違ってきます。どんな姿に成長するのか楽しみなのもハーフ犬の魅力ですね。


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