「動物病院四方山話」12(千鳥足のハムスター)
私の名前は「みぃ」
動物病院で暮らしている猫
私が経験した動物病院での四方山話を紹介しています
今回も私が直接体験した話ではないんだけどね
前回の動物病院四方山話はこちら
これは、一平ちゃんが子供の頃のお話し
里塚少年はハムスターファミリーと暮らしていました。
ゴールデンハムスターの太郎と花子。
なんて安易な命名なんでしょう・・・
ちなみに、とっとこハム太郎がはやるずーっと昔の物語です。
まだちっちゃな太郎君と花子ちゃんは元気いっぱい。
いろんなイタズラもし放題。
そんなゴールデンハムスター達は、生後3ヶ月もするともう大人になるのです。
あっという間に大きくなった太郎君と花子ちゃん。
そんなある日、一平ちゃんが朝起きると、なんと赤ちゃんが生まれていたのです!
ハムスターのママはとても子育てが上手。
一度に生まれた7、8人の子ハムスターたちはすくすくと育っていったのでした。
このままでは、大家族になってしまう!
一平ちゃんのお母さんはとても心配したそうよ。
安心してください。
里塚少年は、なかなかのやり手だったのよ。
子ハムスターたちが一人でご飯が食べられるようになった頃。
一平ちゃんは子供たちが一番かわいい時期を見計らって、学校のお友達をおうちに呼んだのでした。
そりゃあ、むちゃくちゃ可愛い時期なので、お友達は
「私も飼いたい!」
「僕も飼いたい!」
ってなるよねー。
里塚少年にしてみれば、しめしめです。
(おぬしも、悪よの~)
そうして里塚少年の思惑通り、子ハムスターたちはお友達のおうちにもらわれていったのでした。
(そんな悪代官みたいな算段はしてませんよー!・・・里塚、心の声)
そんなこんなで、子供たちも新しいおうちに巣立っていって、太郎君と花子ちゃん二人ののーんびりした生活がまた始まった頃・・・。
今みたいに性能が良くてプラスチック製の頑丈なハムスターハウスも無かった時代。
ハムスターたちのおうちは、里塚少年が鳥かごを改造して作ったハンドメイド。
そんなおうちだったから、脱走するのは簡単だったみたいよ。
もう、毎日脱走し放題。
そう、太郎君と花子ちゃんはとても頭が良かったのです。
里塚少年が作ったケージがあまりにも脱走しやすかっただけかもしれないんだけどね・・・
そんなある日、こたつの上に牛乳を飲んだ後のマグカップが置きっぱなしになっていたの。
ふっとそのマグカップを見ると、茶色いモフモフしたものが挟まっているではありませんか。
もぞもぞ動いているわ!
そうです!
そのモフモフ君は、ハムスターの太郎君だっのです!
・・・まあ、予想通りね。
太郎君は、マグカップにほんの少し残っていた牛乳を舐めていたの。
ハムスター君も牛乳を飲むのねぇ。
いやいや、これはたまたまなので良い子の皆さんは真似をしないでくださいね!!
ちなみに、この時も太郎君は脱走中。
一体ケージのセキュリティーはどうなっているのでしょうか?
あって無いようなもの?
まぁ、そんな感じなのでしょうね。
それでも、行方不明になる事は無かったから、良しとしましょう。
えっ?
そんなゆるゆるでいいの?
いいんです。
里塚家は小さなことにはこだわらないのです。
そんなある日、里塚少年のお父さんがこたつで晩酌をしていました。
冬だったので、熱燗。
おちょこでちょびちょびと。
うーん、極楽極楽。
その時、事件が!
お父さんはちょっと一休み。
横になり、コタツに足だけ入れてうたた寝。
気持ちいいわよね~。
分かる、分かる。
私だったら、コタツの中に潜り込んで丸くなるけどね。
こたつの上には、おちょこに飲みかけのお酒が・・・
もう想像できますよね。
太郎君は何でも果敢に挑戦する子なのです!
おちょこに向かってまっしぐら。
「なんだこれは?」
「変なにおいがするけど・・・」
「えーいっ、飲んでしまえ!」
と、おちょこに残っているお酒をピチャピチャ。
お酒を飲んでるではありませんか!
まだそのことに気づいていない里塚ファミリー。
そこへ、里塚シスター。
あっ、一平ちゃんののお姉さんね。
「ちょっと!太郎がお酒飲んでるわよ!」
その声にわらわらとみんな集まってきた。
「うわっ!」
驚いた里塚少年は、太郎を抱き上げておちょこから引き離した。
んっ?
何だか太郎の様子が変・・・。
目がうつろ?
「太郎、酔っぱらってるんじゃない?」
そうです。
太郎君は、人生、いやっ、ハムスター生初、酔っぱらってしまったのです!
でも、そんなにはしんどそうではなかったからひと安心。
しかーし、里塚少年が畳の上に太郎君を置いたその時!!
太郎君は歩き出しました。
それも、ふらつきながら。
えっ、ふらつく?
4本足なのに・・・?
太郎君は足が短いので、地面すれすれで歩いているからすごく安定しているはずなのに・・・
そうです。
それなのに、まっすぐ歩けないのでした。
当たり前だけど、里塚少年も人生初の「酔っ払いハムスター」を目撃したのでした。
「ハムスターも千鳥足になるんだ。」
もう、家族みんなで大笑い。
笑いながらみんなで見守っていると、太郎君は5、6歩フラフラと歩いていきました。
そしてなんと、
よろけてポテッと転がったのでした。
「えっ?」
「こけた?」
ほぼ地面すれすれで歩いてるのにコロッと転がるなんて。
さらにみんなは大爆笑!
「ごめんね、笑って」
太郎君に謝っても後の祭りよねぇ。
太郎君はその後、特に大事には至らずに何度かコロコロ転がりながら自分のねぐらに帰って行ったのでした。
おわり
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