「動物病院四方山話」06(都会のコウモリ)
私の名前は「みぃ」
動物病院で暮らしている猫
私が経験した動物病院での四方山話を紹介しています
前回の動物病院四方山話はこちら
みなさん、コウモリって実物を見たことあります?
テレビとかで、洞窟に入ってふと上を見たらたくさんぶら下がってるのを見て驚く、なんてシーンがあったりするわよね。
山間部や洞窟があったりするところだと、実際に夜に飛んでたりするのかも。
わたし、山とか洞窟とかには行ったことはないんだけど、実物のコウモリは何度か見たことがあるの。
そう、私がいた動物病院には、たまにコウモリが連れてこられてたの。
年に数匹(数羽?どちらが正しいのかしら?)は来ていたわね。
そのコウモリは、「アブラコウモリ」っていうの。
すごく小さくてかわいいのよ。
羽を広げたら10センチくらいになるかしら。縮こまっていたら3センチから5センチくらい。
主に住宅やその近くに住んでるんだって。
だから、山間部なんかより住宅街の方がよく見られるそうよ。
主に蚊や蛾などの害虫を食べてくれるんだって。
私たちにしたら、ありがたいわね。
病院に来るのは冬が多いわね。
もともと冬は冬眠するらしいんだけど、おうちの中ってあったかいじゃない?
だから、おうちをねぐらにしている子達は冬も冬眠しない事が多いんだって。
環境によって生活様式も変わるのね。
でも、急に寒くなったりすると弱ってしまうんだって。弱るというか、動かなくなるっていうか・・・。
だから、動かなくなった子を見つけて病院に連れてきてくれる人ががいるの。
中には、コウモリとは気付かずに、
「なんか、変な動物が弱ってるんですけど。診てもらえますか?」
って連れてこられる人もいるわ。
羽を広げて見せてあげると、
「えっ、この子、コウモリなんですか?」
「こんな住宅街にいるんですね」
って、驚かれる方も多いの。
そんな子達は、少し暖かくしてあげたら元気になってくれることが多いみたい。
そうよね、もともと冬眠する子たちだから寒さには弱いんだものね。
元気になったら、なるべく暖かい日の夕方を選んで自然に返してあげていたわ。
アブラコウモリさん達は害虫を食べてくれるから、一緒に住むのはお互いに良いと思うのね。
でもね、すっごくたくさん住み着く事もあるらしいの。
住宅の屋根裏で大量に住み着いちゃったりしたら、おしっこやうんちの匂いで大変よね。
ダニとかを付けてくる子もいるので、用心しないといけないんだって。
そういえば病院の先生たちも手袋をして診察していたわ。
人が自然破壊をして野生動物の住む場所がなくなる、ってニュースは多いけど、アブラコウモリさん達はその逆ね。
人が住んでくれて住み心地が良くなった、っていう珍しいケースかもしれないわね。
* * *
皆さんのおうちの近くでも、夕暮れ時になったら飛んでるかもしれませんね。
夕暮れ時にの~んびり散歩しながら探してみるっていうのも、たまにはいいかもしれないですね。
おわり