滅亡へのカウントダウン(2013)アラン・ワイズマン 鬼澤忍訳 株 早川書房発行
ChatGPTの要約 アラン・ワイズマンの**『滅亡へのカウントダウン』(Countdown: Our Last, Best Hope for a Future on Earth?)**は、地球の未来を考える上で「人口問題」を中心に据えたノンフィクションです。著者は、世界各地を取材し、人口増加がもたらす環境・経済・社会的な影響と、それに対応するための可能性を探ります。本書は、人口が地球と人類にどのような影響を及ぼしているのか、そしてそれをどう解決できるのかを議論します。 1. 本書の背景と問題提起 • 人口爆発の現状 人類の人口は急増しており、それに伴う環境破壊や資源枯渇、気候変動が深刻化しています。ワイズマンは「何人の人間が地球上で持続可能に暮らせるのか」という問いを投げかけます。 • 「人口問題」の根本的な重要性 環境問題や貧困問題の多くが、人口の急増と密接に関連していることを指摘しています。食料、エネルギー、水などの資源の限界が明らかになる中で、これ以上の人口増加がどれだけ持続可能なのかを問います。 2. 世界各地での取材 ワイズマンは、さまざまな国や地域を訪れ、それぞれの文化や状況に応じた人口問題への取り組みを紹介しています。 • インド 人口増加が貧困や環境劣化を加速させている現状と、女性の教育や避妊の普及が人口抑制に寄与する可能性を探ります。 • 中国 「一人っ子政策」の影響を分析し、その成果と副作用(急速な高齢化やジェンダーバランスの偏り)を検証。 • 中東やアフリカ 宗教や文化的背景が避妊や家族計画に与える影響を取り上げ、多産が社会的な価値として受け入れられている地域での課題を指摘。 • 欧米 人口減少が進む地域では、移民政策や高齢化社会への対応が議論されています。 3. 人口抑制の手段とその課題 • 教育と女性のエンパワーメント 女性の教育水準が向上し、職業選択の自由が広がると出生率が低下する傾向があることを紹介。これは人口抑制の最も効果的な方法の一つとされています。 • 避妊と家族計画 安価で効果的な避妊手段の普及が、人口増加を抑制する鍵であると説明。しかし、宗教や文化的な抵抗が障害となるケースも多い。 • 倫理的なジレンマ 人口抑制政策が強権的に行われる場合、個人の自由や人権が侵害されるリスクがある点にも注意を促しています。 4. 人口と環境の関係 • 生態系への負担 人口増加に伴う土地開発、森林破壊、気候変動が生物多様性を脅かしていることを強調しています。特に食糧生産のための土地使用が、野生動物の生息地を奪い、生態系のバランスを崩しています。 • 資源の限界 石油や水などの有限な資源が、人口の増加に追いつかない問題も指摘。これにより紛争や貧困が悪化する可能性があります。 5. 希望と未来への提案 • 持続可能な社会を目指す道 ワイズマンは、人口問題に取り組むことで、地球の未来を改善できる可能性があるとしています。 • 女性の教育と地位向上 • 避妊技術の普及 • 地域ごとに適した政策の実施 • 地球全体での協力 人口問題は国境を超えた課題であり、国際的な協力と理解が必要だと強調しています。 本書のメッセージ 『滅亡へのカウントダウン』は、地球規模の人口問題を鋭く分析し、持続可能な未来を築くための道筋を示唆する重要な作品です。単なる悲観論ではなく、「人口抑制」というテーマに対する文化的、倫理的な配慮を持ちながらも、実行可能な解決策を提示しています。この本は、個人レベルから政策レベルまで、多くの人に問題意識を共有させる一冊です。
感想 人類は数が多すぎる、地球上で将来も人類を持続させるためのを適正人口とは何人だろうというのを、この本は論じています。
人類は、現在持続可能な社会を目指し、SDGsを目標比立てているわけですが、しかし、こんな格差だらけの世界は持続するわけないのです。youtubeで知ったのですが、ネズミを利用したBehavioral sink「別名:ユニバース25」という実験が1950-1960年代に行われたのです。実験結果はネズミ全滅ということになりました。実験詳細は、下記のwikipedia や参考文献を見ていただけると嬉しいです。
というわけでこのまま人口が増え続けると、資源をめぐる戦争や領土をめぐる問題が絶対起こるので、減少させるにはどうしたもんかといったことをさがすのが人類の課題と著者は述べています。 この適正人口は下記のように定義されています。
適正人口とは、養鶏場の鶏のように地球に押し込める最大の人口を意味するわけではない・・・どれくらいの人々が将来世代が同じことをするチャンスを犠牲にせずに十分な暮らしを送れるかということだ。
滅亡へのカウントダウン(上)第4章 人工培養能力とゆりかご,p136より そしてこの本で紹介されているデイリーさんとエーリック夫妻がエネルギーに関するジョン・ホルドレンの計算をもとに大雑把に計算した適正人口は20億人だった。テクノロジーが進化しても地球の面積を増やすことはできなかったと述べています。
適正人口トラストという団体が、会議を行っている。その会議では、人口を適正化するためにはどうするかという議論がされている。目下の課題の例として下記のページにもある、性知識の拡大と公衆衛生の向上がる。特に人口の増大で資源にあえいでいる発展途上国を指す。
さてここで適正人口にするために障害となると紹介されていた事例が ①資本主義 ②宗教観念 ③無知 だった
ある事例では、増えすぎた人口と移民により職を失ったまたは、「低賃金」で働くことになり、子供はいらないといっていたイタリアの家族が、イギリスに移民をすることで子供を持ったということがあった。 中国の事例として、1979年12月に四川省の成都で開かれた「人口理論に関する国内シンポジウム」にて宋健さんと蒋正華さんの研究結果により「一人っ子政策」が始まったこと。そして中国が支えられる人口は最大で16億人、最適な人口は七億人かあらせいぜい10億人までとインタビューした人に語っている。この調査をしたのは「natural capital project」のメンバーである。
資本主義としては、人が増えれば増えるほど労働力と資本が増えることで経済が成長するというのが原則だから。
宗教観念としては、 イスラム教やキリスト教において、中絶や避妊措置は神の意に反する、もしくは子を増やすことは神からの恩恵である、それに背くことは神の意に反することであるとした意見が大多数であり、宗教が深く文化に入っている地域のは人々には、理解させるのは難しい。
そもそも、現在出生率が世界トップクラスのアフリカの地域では、識字率が低く書物が読めない人が8割となっており、無知というのも問題とのこと。また、宗教観が強い国の事情を読んでいくと人間というのは難しすぎる問題は神という高次の存在に選択を委ねるのですね。環境問題にしろ自分の身近な問題も。
しかし、ここで人口減少へと超加速して進んでいる国家がある、それが日本である。
今や、適正規模にまで人口が減りつつある日本は、ある問題に関する一つの実験場になろうとしている。‥補給可能なペースで資源を獲得してリサイクルできる最適な人口に実際に達成できたらどうなるのだろう?そのような理想的水準を維持するということは、それ以上は決して成長しないことを意味する。人間は成長なしに繁栄できるだろうか?日本は否応なく、それを試みる最初の近代社会になる。
滅亡へのカウントダウン(下)第13章より 日本は滅亡の実験場として素晴らしい価値があるのです。それに気づいている人は一体どれくらい上流階級にいるのでしょうね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。