朝の攻防
朝、カーテンを開けて、朝日をいっぱいに浴びる。視線の先、お向かいの屋根に猫のブチ子が見えたら、それだけで幸せ。
でもある日、少し早起きして、いつものように窓の外を見たら、そこにいたのは妹のシロ子だった。
ブチ子のお気に入りの場所だけれど、シロ子がいることもあるんだなあ。
でも、いつもリラックスして毛繕いしたり寝そべったりしているブチ子と比べて、シロ子はちんまりとして、なんとなく不安そう。まさか、降りられなくなったのか。
着替えなきゃなあとか、朝御飯の支度をしなきゃなあと思いながら、しばらくシロ子を見てしまう。せっかく早起きしたのに、いつもより何もかも遅い。
いつの間にか、シロ子の奥、別の家の、少し低い庇の上に、ブチ子がいて、じっとシロ子を見つめている。
ちんまりしたシロ子は、そっと屋根から降りる。すかさず、ブチ子が屋根に飛び乗る。
ブチ子に追い出されちゃったのか。
最近はすっかり寒くなったから、日当たりのいい場所は貴重だよね。
ブチ子は屋根で悠々と毛繕いをする。
シロ子は日陰の中を消えていった。他にいい場所が見つかるといいけど。
シロ子、ちょっとかわいそう。
でももしかしたら、時間交代制なのかもしれないなあ。
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