今年の抱負は「屠龍之技」を磨く
今年は辰年。
今年の抱負は
「屠龍技を磨く」としました。
屠龍は「とりょう」と読みます。
「屠」は「ほふ(る)」と読みます。
「龍」は「竜」とも書き、伝説上の動物です。
「屠龍」を字面通りに解釈すると、「竜をほふる」という意味になります。しかし、「列禦寇」の中では、龍を退治する技術を身につけるという意味で使われています。転じて、現実には役に立たない技術をたとえていう言葉としても使われます。
「屠龍の技」は荘子の中で出てくる話で、龍が出るとされる村に住んでいた青年が、3年間を費やして龍を倒すための技を習得したが、その後その村に龍が出ることはなく、この技を一生使うことがなかったという話。
この言葉は、東京消防庁第6消防方面本部消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー隊)の本部の壁に「部隊心得」として飾られている言葉です。
一般的に「屠龍の技」とは「役に立たない無駄な技術」・「ムダな努力」を指すものとされていますが、東日本大震災で出動したハイパーレスキュー隊の部隊訓になっていたことで有名になりました。
ハイパーレスキュー隊では、これをポジティブな意味に捉え、国民の命を守るために、自らの専門性を高めるために日々訓練に励んでいるのです。
この「屠龍技」という言葉は、プロとして仕事をする以上、どんな仕事にも当てはまる気がします。
例えば、教師であれば、授業の準備は必要不可欠です。
授業に必要な板書計画(スライド)やプリント(ワークスライド)などを準備しておけば、とりあえず授業自体はなんとかなります。
ですが、プロとして考えた場合、
児童からでてきそうな反応はすべて洗い出しておきたいところです。
「もしも~~」という意見を言う子がいたら、どのように対応しようかなどと、1つ1つシミュレーションするのです。
「Aさんだったら、こんなこと言いそうだな。」
「もしBさんが、こんなこと言ったらCさんは何て反応するだろう?」
「もし、この発問したら、何人くらいが首をかしげるだろうか?」
「〇〇という反応は絶対に一人は言うはずだ」
「もし、すぐに答えを言う子がいたときのための切り返し方はどうしよう」
などなど…
実際に授業にでてこない意見だってもちろんあります。
このような予想をすることは時間のムダではありません。
予想したシミュレーション自体は活用できなかったとしても、
いずれ出会うかもしれない奇抜な意見に対しても、柔軟に対応できるようになります。
1回の授業のために費やす時間は限られていますが、できるだけ時間をかけてムダとも思われる反応をシミュレーションし続けています。
効率が悪いと言われるかもしれませんが、プロとして指導する以上、この効率の悪い努力は必要不可欠だと考えています。
もちろん、もっと楽で便利な手段もありますが、何の負荷もなく、自動的にできるものは「作業」であって、本当の意味での仕事ではないと思います。
その意味ではプロとして仕事をするということは、すぐには役に立たないようなことと分かりながらを日々努力し、いざという時に、力を発揮するための準備作業なのかもしれません。
そうすると「屠龍の技」を磨くことも立派な仕事だと言えますね。
みなさんも、「屠龍技」磨いてみませんか?
昇龍が如く、皆さまが、飛躍の1年になることをお祈り申し上げます。
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