コメダ珈琲店・とろみコーヒーの再現度が高すぎる件
華の金曜日、仕事終わりの夕刻。
皆さんは居酒屋で一杯やるのだろうか。
私はコメダで一杯やりにきたところだ。
いや、正確には「戦る」であろう。
今日の対戦相手は、とろみコーヒー。
◾️コメダオタク、他店へ遠征す。
とろみコーヒー、実装されている店舗は少ない。飲みたい場合は事前の店舗検索をオススメする。
私が愛する行きつけ店舗は、とろみコーヒーを取り扱っていなかった。
仕事終わり、自宅とは反対方向に自転車を走らせ、わざわざ遠くの店舗まで戦いに馳せ参じた。店名は伏せたいので、行きつけ店舗と遠くの店舗という呼び方で統一させて頂きたい。
とろみコーヒー以外にも「行きつけ店舗にはないけど遠くの店舗にはあるもの」は多く存在する。せっかく行くからには、色々味わっておかないとね。
はい、「遠くにしかない三銃士」を連れてきたよ。
遠くにしかない三銃士?
まずはでらたっぷりサイズ。
新人マークをつけた女の子が、お盆をグラグラさせながら一生懸命置いてくれた。ごめんね、頼んで。
どう撮っても距離感がバグる、このデカさ。
生ビールやハイボールのジョッキよりデカいよ!
このでっけぇジョッキでしか得られない満足感があるんだ。
行きつけ店舗でも、でらたっぷりをやっていた時期があった。嬉しかったのに、ワンシーズンで終わっちゃった。やっぱりジョッキの扱いが大変だからかな。
どこかのオタクが面白がって注文しすぎたせいではないと信じたい。
「遠くにしかない三銃士」お次はポテトバスケット。
個人的に、世界一美味しいフライドポテトはマクドナルドだと思っている。あの細身、あの塩味こそが正義である。
そのため、コメダの太いポテトを最も優れていると賞賛することはできない。しかし、ホクホクのポテトにケチャップを付けて食べるのも、たまには悪くない。
「遠くにしかない三銃士」最後は今回の主役、とろみコーヒー。
こうして店頭で販売される前に、実はインスタントコーヒーとして既に商品化されている。
上記URLは、コメダの読み物である。
そこには「サラサラとした飲み物がむせやすい」という記述がある。つまり、とろみをつけるとむせにくい。なぜ、とろみでむせにくくなるのか?
私は学生時代、とろみや嚥下にまつわる授業や実習を少しだけ受けたことがある。その時の体験談も交えてお伝えしよう。
◾️なぜ「とろみ」なのか?
例えば、パラパラのチャーハンを食べたとしよう。そのまま米粒が食道にポロポロとダイレクトインするわけではないよね。我々はチャーハンを口に放り込んだら、もぐもぐと咀嚼をしている。複雑な咀嚼運動によって米粒はすり潰され、唾液と混ざり、口の中でひとつの食塊となるのだ。
そして、食道は常に食べ物を待ち受けているわけではない。気管と食道、同じ太さの分かれ道を想像しがちだが、平時は食道がペシャンコなのだ。
食塊を飲み込む時になって初めて喉の筋肉が働き、ゴボッと食道が開かれる。
食塊は気管に入らないように、確実に食道を通る必要がある。そこで、気管の入り口を一時的に塞ぎながらも、食道に食べ物を誘導する。
そんな上手い仕組みが、喉頭蓋という弁である。
この弁が上手く働かなかった時、我々はゲホゲホとむせて、気管に迷い込んだ食べ物を出そうとする。しかし、このゲホゲホすら生じないこともあるのだ。ゲホゲホと乾いた咳ではなく、ゼロゼロと湿った咳をした時は怪しいサインだ。
そして、食べ物には口の中の細菌が付着している。それが気管に入ったままだと、やがて肺の中で炎症を起こすことも。これが誤嚥性肺炎である。
なぜ誤嚥が起きてしまうのか?
原因はいくつかある。
まず、唾液の量が少なく、飲み込みやすい食塊を作れていないこと。
そして、飲み込む能力の低下。喉頭蓋の動きが悪くなったり、喉の筋肉が低下したりして、飲み込む一連の動作が噛み合わなくなる。
では、塊になりやすく、飲み込みやすい食べ物とは何なのか?
「とろみ」がその答えである。
とろみが付いていると、サラサラの液体よりもまとまった状態になれる。そして、サラサラの液体よりもゆっくりと喉を通過する。飲み込みの動作のどこかが遅れても、勢いよく気管に入る危険が少ないのだ。
中華のあん、お粥、カレーやシチュー。
この辺りは身近なとろみ付きの液体である。
学生時代、介護施設へ見学実習に行ったことがある。そこでは、白ご飯をおだんご状にして「あん」にくぐらせ、月見汁のようなレシピにしていた。全員にではなく、特に誤嚥リスクの高い方に対しての工夫だ。
それでも誤嚥が発生することはある。実際私が見学していた時も、食事の介助をしていた職員さんが、利用者のおじいさんに聴診器を当て、呼吸音から誤嚥の有無を確認している場面に遭遇した。
食事のたびに、食べる側も介助する側も命懸け。飲食が怖くなるのも無理はない。
また、調理実習において、とろみ剤を用いた飲料や、誤嚥に配慮した食事を作って食べたこともある。
卒後数年経った今でも覚えているが、とろみ付きのお茶が一番キツい。ポカリやジュースは比較的イケるんだけど、水分補給をそればっかりに頼っていたらむし歯まみれになっちゃう。
口腔内環境を悪化させずに、かつ安全に、かつ美味しく飲食するというのは難しいことなのである。
※参考サイト(画像の引用は以下より)
◾️とろみコーヒーを飲んでみた
前置きが長くなったが、ついにとろみコーヒーと対峙する時がきた。
さあ、この商品は嚥下障害の救世主となれるのか?
集中して匂いを嗅ぐ。
酸味のある香りは、コメダブレンドそのもの。
熱さに注意しながら口へ運ぶ。
おぉ、コメダブレンドの味だ!
食感はとろみで変化しているが、そのズルズル感も想像ほど気にならない。
なーんだ、全然イケるじゃーん!
当初、この記事のタイトルは「コメダ珈琲店・とろみコーヒーはマズいのか?」だった。
撤回!これは美味しいかどうかで語る商品じゃない。
再現度が高い。この一言に尽きる。
これってとろみを付ける過程でとても大事なことなのだ。
とろみを付けると、どうしても風味や食感を損なってしまう。とろみ剤の風味が邪魔したり、食感が不快だったり。
しかし、そこが気にならない。コメダブレンドとして味わうことが可能である。
これは本当に凄いことだよ。とろみ付きのお茶を味わった身からすれば、こんな自然な飲み物に仕上がっているなんて感動だ。
大学の先生に監修してもらい、試作を積み重ねたそうだが、これこそ企業努力の賜物だ。
ネット上では「とろみコーヒーがマズい」という意見をちらほら見かけていた。マズいと言う人は、たぶん普通のコメダブレンドもマズいって言うんじゃないかな。
斯く言う私も、コメダオタクのくせにコメダブレンドが好きじゃないからね。そもそもコメダブレンドがグビグビ飲める味じゃないってのが関係していると思う。
とろみコーヒーが提供されて40分が経過した。温度を確認すると、さすがにぬるくはなっている。
コメダブレンドは冷えると酸味がハッキリする。
私はこれが苦手なのだ。こんなところまで再現されてなくていいよ〜。
この酸味を抑える方法が、ミルクの投入である。
へぇ、広がっていかないんだ。
混ぜてみるか。
うん、ミルクのおかげでコーヒーがまろやかになり、飲みやすくなった。
しかし混ぜくったせいか、とろみによるまとまりを断ち切ってしまった気もする。混ぜる前より、少しドロドロした舌触りになってしまった。
ジェリコのコーヒージェリーを極限まで刻んで飲んだらこんな感じかも。
飲み終えた感想としては、リピートする気にはなれない。しかし、とろみがどうというわけではなく、コメダブレンドだからキツかったのだろう。
私が好きなカフェオーレやミルクコーヒーで作ってみてほしい。乳脂肪が関わると難しいのかな。
◾️まとめ
コメダブレンドが苦手な私が太鼓判を押すほど、再現度が高い!
そして、信じられないほどとろみが気にならない!
コメダブレンドを飲みたい人が頼むには凄く良い商品である。「あぁ、この味だよ!」と感動すること間違いなし。
ただし、グイグイと飲むにはキツい。食事の際の水分摂取としては厳しいだろう。
しかし、嗜好品としてゆっくり楽しむ分には問題ないように感じた。
コーヒーを飲みたいけど、飲み込みに不安がある。そんな人が一度試す価値は大いにある。
また、そういった人に対して、周りがオススメするにもいい商品かもしれない。食事の時間を安全に楽しんでもらいたいという気持ちが伝わることだろう。
いやぁ、遠くの店舗まで自転車を走らせた甲斐があった。開発の皆さんへの敬意を胸に、私は家路に着いたのであった。