ここまでされると隠し通せない。映画『秘密』
これも昨日紹介した『恋は雨上がりのように』と同じく、同名マンガが原作の実写化です。
こちらのマンガはゼブラックなど各種マンガアプリで読むことができます。
あらすじ
2060年頃の日本。科学の進歩により、死んだ人間の脳から最長5年までの見た記憶を取り出すことが可能になった。死者の記憶を取り出して犯罪捜査に用いる通称『第九』。そこでは日夜、通常の捜査では明らかにできなかった凶悪犯罪の証拠を被害者や死刑囚の脳から探っているのだった。
実際に見てどうだった?
2022年1月9日追記
私が岡部と思っていたキャラは眞鍋で、映画のオリジナルキャラでした!以下は岡部を眞鍋に置き換えて読んでください。(追記ここまで)
この実写化は個人的にはあまり好きじゃなかったですね…。原作未読の状態で見たのですが、それでも「これ、原作とこのキャラ付けは違いそうだよな」とわかる程度にアラが目立ちました。具体的には岡部、貝沼、露口絹子ですね。岡部は悪徳警官に、貝沼はるろうに剣心から来たのかな?って感じ、露口絹子とその父親については直接的な犯行理由を描かなかったために絹子がただのサイコパスになりさがってしまった(原作のほうがなぜ絹子が犯行にいたったかわかりやすいです)。
脚色しすぎると作品の筋書きとして無理が出てくるんですよ。岡部を登場させるもっともな理由付けと俳優さん自身のキャラクターのために悪徳警官にしたのは、個人的に完全にアウト。原作見てなくてもキャラが浮いてたんで、たぶん元は違うのがわかりましたよ。『第九』のような組織で先走るのは新任刑事の青木だけだろと。岡部が舞台の都合上、無理やり悪いやつに仕立て上げられた感が強かったのは、本当にいただけなかったですね。岡部と絹子のシーン見て「これは無茶苦茶だよ…」と思ってしまいました。あとリリー・フランキーが演じたキャラ。あれは誰ですか?いらなくない?と思いました。まだ原作も途中までしか読めてないのでわからないんですけど、原作の重要なキャラなんですかね?
薪や青木は結構キャラが合ってるなと思うんですが、岡部、貝沼、露口絹子含め、これらのキャラクターがマンガ原作でインパクトあるキャラなので何とかしてストーリーにねじ込みたかったんだろうなと思います。でもそれをするなら『るろうに剣心』のように何部作かに分けるほうがきれいだったと思います。売れるかどうかわからない都合で、全部乗せにしたのかもしれませんが、ストーリーのコアだけを一作目として作って、売れたら絹子で続編にいこうか、とするほうが『秘密』っていう作品についてはよかったんじゃないの?と。『秘密』は巻ごとに事件が分かれてて、前後の巻を読んでなくても入りやすいマンガなので、何作かに分けるのもできると思うんですけどね。
まぁ『寄生獣』のように二作にうまいこと分けられる作品ばかりではないので、私のような素人の考えはプロから見てボツなのかもしれませんね。
似たような他の映画
手前味噌で恐縮ですが、私が投稿した動画の一つである『ロビン・ウィリアムズ特集』の中で紹介した『ファイナルカット』という映画が、『秘密』でもテーマとなっている死後人の記憶を見ることをテーマにした作品となっています。『秘密』とは違い犯罪捜査に使うのではなくて、お葬式で故人の歴史を振り返るビデオに利用されます(こちらの方が悪趣味かもしれない…)。ある人の歴史を知りたい、というのは人間の根源的な欲望の一つなのかもしれません。
ちなみにロビン・ウィリアムズの演じた役は『秘密』の青木と同じく、知りたくなかった故人の記憶を見て苦しむ役でもあるので、知らないほうがいいこともたくさんあるという結論にSF作家はいたるのかなと想像しております。