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短くて短い詩のようなもの

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2024年10月の記事一覧

記憶の灰色

記憶の灰色

きみはよく聴いていて
ぼくはよく見ている

きみはよく覚えていて
ぼくはよく忘れている

きみは口ずさみ
ぼくは思い出す

あの風景を思い出す
あの日ビーチは土砂降りだった

ぼくは一人で居たはずだけど
きみはどこかで見ていたみたい

そんなことを知ってか知らぬか
とつぜんきみは口ずさむ

話したいけど話さない
ただ頬杖つく手を左にかえる
それだけのこと

これはぼくのひみつごと

紅茶か珈琲、いずれにしてもスコーンと一緒に

紅茶か珈琲、いずれにしてもスコーンと一緒に

満ちると消えた
満ちると消えた

書きたいことがなくなった

ただのひとりの
ひとりのわたし

目にしたいのは
予想もつかないすてきなこと

耳にしたいのは
予想もつかないすてきな音

わたしという名のフィルターを
いちまい通すだけだった

うすくてうすいフィルターから
出来上がるのは紅茶か珈琲

それなら どうぞ召し上がれ
スコーンと一緒に召し上がれ

おしまい

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猫とわたしとこの家と

猫とわたしとこの家と

どこまでも音がなく
どこまでも音がない

わたしがちょこっと出かけたならば

いつまでも音がなり
いつまでも音がなる

わたしが帰ってきたならば、静かな家がそこにある

音には色があるけれど
音がなくても色はある

ずっと秘密にしていたけれど 
うらもおもても猫は知ってる

ずっと秘密にしていたけれど 
表も裏もわたしは知らない

おしまい

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