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「物を大切にする心」 種田山頭火 を読んで。(青空文庫コラム)

(あらすじ)

私はお遍路参りをしていた。親しく一緒に歩く人ができた。

その人は貰ったたくさんのマッチをたばこの火付に一本でいいところを何本も湯水のように使った。彼の信心に疑いを持つ。

あるマダム。女中が洗濯の水を溢れさせるが、彼女は澄ましている。

この人たちは、本当の意味の、ものの値打ちが、わかっているのだろうか?

(感想)

物を大切にする、というのは、正しいと思う。けれども、現代人の多くはそれを実践していないのかもしれない。大量に買い、大量に廃棄しているのが、ぼくたちではないでしょうか。

禅の考え方に次のようなものがあります。

人と人に縁があるように、人とモノにも縁があります。
縁を大事にするのは、自分を大事にすることでもあるーー禅の考え方です。

「手放す」力 枡野俊明 新講社

茶人の利休は、壊れた茶碗も捨てずに花瓶として再利用したりしました。そこには風情があったのです!!

できた縁を大切にする。けっして、浪費しない。

そういうことを、貧しくて嫌だな、と思うかもしれません。もちろん真似をしても、よほどの器でないと、風情はないですよね、汗。秀吉は黄金の茶室で利休にお茶をさせましたが、それは素晴らしいことだったでしょうか?

現代にはミニマリストという考え方がありますが、極力ものを減らす生活をしようとするものですね。何もかもを持たない、というのも不便に感じますが、不必要なものは過度に持たずに、必要なものにはできるだけコストをかける、というのが生活の質をよくしていきますし、心も整ってくるのでは。

今回の小説は。

いっぱいあるから毎回テキトウに使う。それは、たとえば人に当てはめるなら、大事でない人は使い捨て、という考え方にも繋がりそうです。組織において自分のプラスにならない人に、はてしなく冷淡な人もいます、汗。

また、マダムは、贅沢が日常なのでしょう。お金があるから、多少のことは痛くない。ならば、気にかけない。自分が傷つかないならば、他はどうでもいいのかもしれません。

物の扱いが人の扱いにでてくる。

人の心は日常の心がけで育ってきます。習慣化という言葉もあるじゃないですか。物を大切にするとは、心を大切にすることにつながると思います。

侘しさ(貧しい)という感情は不足や不完全であることにたいしていだくものですが、人はたとえ栄華をきわめても、侘しさからのがれることはできない。日々、人生を少しずつうしない、しかもそれをとりもどすことができない、おそらく人は、根源的に貧しいのです。

利休入門 木村宗槙 新潮社
()内アリサカ付け加えました

侘しさはデフォルトだとここでは言われています。

恐れて、心を無くしてはいけない!! 欠けた器の風情を思いましょう!!

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