見出し画像

【大阪考】#3 大阪基礎考察2 「食いだおれの都大阪」、本当か? 食い倒れてる人、見たことないわ、そういえば。

大阪の食い倒れ」。
この言葉の意味は「食に金をかけて貧乏すること」である。
「倒れるほど食べすぎるくらい美味しいものが多い」という意味ではない。
しかし、近年の大阪は「美味しいものが多い=グルメの都」という印象であろう。

大阪グルメと言えば、
たこ焼きお好み焼き
最近は串カツも大阪グルメとして認知されている模様。

おや?ちょっと待て。
「大阪人ではない人=大阪以外人」に、「大阪で何食べに行きたい?」と聞くと
たこ焼き、たこ焼き、お好み焼き、たこ焼き、お好み焼き・・・
最近は串カツ、というリクエストが増えたけれど・・・。

バリエーションが少なすぎないか?
大阪グルメはそんなもんじゃない。
コナモノグルメの都、大阪というイメージが大勢を占めているようだが、
大阪グルメと言えば、いか焼き、うどん、すき焼き、バッテラ、てっちり、焼肉、関東煮(かんとだき)、ハリハリ鍋・・・

確かに、大阪以外人の友人が大阪に遊びに来てくれて、
僕が「何食べたい?」と聞いて、「てっちり!」と答えたことは皆無である。
なんとたこ焼きとお好み焼きのリクエストの多いことか。。。

なぜ、たこ焼きなのか?なぜお好み焼きなのか?

さて、大阪人である自分に当てはめてみよう。
東京に行けば、「江戸前寿司!」と答えるだろう。
東京は日本各地の美味しいものがそろっているが、東京、とえば寿司、と僕は勝手に決めつけている。
仙台ならば「牛タン!」と言うだろうし、名古屋なら「ひつまぶし!」と答えるだろうし、博多なら「もつ鍋!」だろう。
と列挙してみると、ごちそうしようとなるとちょっと贅沢なお店になってしまうチョイスになる。
しかし、たこ焼きなら10個で500円でおつりがくるし、お好み焼きなら1,000円でおつりがくる。
もしかして、これは、「大阪人の陰謀」なのではないだろうか、と考察してしまうのだ。

大阪人は「ケチ」とされる。
「がめつい」という言葉もよくあてはめられる。
「金に汚い」とまでは言わないが、お金にシビアだとされる。
誰が言ったか知らないが、
大阪人は100円ショップで値切る」とか。
んなことあるかいな、と思うが、そんなやつおらんやろ~(byこだま師匠)、と言えるかというと、否定はできない。

大阪人は「見栄っぱり」と言われることはあまりないが、
ええかっこしい、かっこつけ」ではある。
奢れるものなら奢ってやりたい。「ええかっこ」したいからである。
もちろん、サービス精神旺盛、といういい意味での行動でもあるが、
やはり「ええかっこしい」が基本にあるのではなかろうか。

だとすると。
大阪以外からやってきた友人にごちそうしてやりたい。
でも、そんなに高額なものはオゴれないし、オゴる気もない
なので、リーズナブルなたこ焼き、お好み焼きを大阪グルメの王道として印象操作して、たこ焼き、お好み焼きに連れていく。
そこで「せっかく大阪まで来てくれたんやから、ここは俺のオゴりや」と言ってのけるのだ!
500円のたこ焼きを奢っても、5,000円のてっちりを奢っても、「1回奢った」ことには違いないのだから・・・。

そして、たこ焼きをごちそうしながら、その他の大阪グルメの話をちりばめていく。
まずはたこ焼きに匹敵するリーズナブルなものから。
「実は、大阪名物には『いか焼き』ってのがあって、これがウマい。え?イカの姿を醤油付けて焼いたやつ?
 ちゃうちゃう。コナモンよ。お好み焼きみたいになってるけど、いかをプレスして・・・これが安くてウマいねん」
串カツって、ご存じの通り、『串揚げ』とは違う、リーズナブルなスナック感覚の酒のアテや。これがウマい。特に紅ショウガの串カツはウマいで」
大阪グルメ=リーズナブルを植え付けていく
なんなら、安くてウマい串カツ、連れて行こか?くらいの勢いである。
ここで罠が張られているのだ。「あと2回くらい、おごったるで(安ーいややつを)」と・・・。

たこ焼きを奢ったあと、解散の時になってやっと「リーズナブルではない大阪グルメ」の話がやってくる。
「やっぱり『てっちり』やな。同じ鍋でも『ハリハリ鍋』もええなあ。今度大阪来た時はてっちり食べてほしいわ!」
つまり、今回は連れては行かない
「やっぱり大阪は肉=牛肉、やから、焼肉すき焼きよな。ここぞというときはすき焼きやで。」
つまり、今日は気楽にいこうぜ、と言っているが、ここぞという時ではない。
「ほんまは『押し寿司』食べて欲しいんやけどなぁ。大阪人の食へのこだわりの権化やで」
今日は行かないが、ほんとは食にこだわっている、と言いたい
決して、「俺がオゴる」とは言わない。
決して、「今から行こか」とは言わない。

「次に大阪来るときはしっかり現金握りしめておいでや。もし余裕あったら、俺、呼んでやー!」
なんと、高いグルメは奢ってもらおう、という魂胆である。
「高い大阪グルメ」はアンタのお金で食べなはれ
そして「高い大阪グルメ」は人のお金で食べるモノ、なのである。

そして、またリーズナブルグルメに話を持っていく。
「やっぱり大阪グルメというとほんまは『うどん』やねん。讃岐うどんとはちゃうで。大阪のうどんは讃岐うどんみたいにコッシコシちゃう。トロンとしてツルンとしてるねん。俺らのうどん、というとこっちやねんけど、讃岐うどんが全国を制覇してもてちょっと残念やわ。そやから、大阪のうどんは大阪でしか食べられへんのよね。そや、そこのビルがボワーンと建ってるとこをシュッと曲がったとこにうどん屋あるねん。あそこの肉うどん、ウマいで。行ってみる?」
700~800円で「もう1回オゴる」方向へ持って行くのだ。

ここで大阪以外人がら「さすが、『食い倒れ』の都、大阪だよね!」とのお言葉を頂ける
「たこ焼きとうどん」、では食い倒れるほど満腹にもならないし、財布がすっからかんになるわけでもないのに、勝手に『食い倒れてくれる』のだ!
もっと素晴らしい客人であれば「たこ焼きとうどんまで奢ってくれたんだから、次は僕がオゴるよ!」とまで言ってくれる!
そうなればあとは気分よく奢らせるために「そしたら、知る人ぞ知る、焼肉屋、知ってるで・・・」とまでのたまうのだ。
大阪人はこうして大阪以外人の印象操作をやってのけているのである。

見事なトークにちりばめられた大阪グルメの数々で、「たこ焼きとうどん」だけで「すき焼きとてっちりと押し寿司」までも食べた気分にさせてしまう
そして、たこ焼きをごちそうした大阪人はこう言う。
「次はお好み焼き、しよや。なんならウチで!」
またもやリーズナブルグルメである。そして、「ウチで!」という「家庭の味」というレアな体験まで提供するという。
大阪以外人にとっては、「ただ単に食べる」ではなく「大阪ライフを体験できる」という付加価値が付いてきた!と思わせるのだ。

しかし、実は、家でお好み焼きなど、大阪人の思うツボなのだ。
製造コストが抜群に少なくて済むのだから!

大阪以外人「脳内食い倒れ」を演出されてしまうことで、見事に大阪を「食い倒れの都」として認識してしまう。
「大阪の庶民感」が「リーズナブルな大阪グルメ」との親和性を認識させ、「大阪と言えばたこ焼き、お好み焼き」として認知していくのだ。
そして、たこ焼き、お好み焼きを導入として、財布のヒモを少しずつ緩めていく
そしていつの間にか、大阪滞在中にすき焼きを大阪人に奢ってしまい
いつの間にか散財している。
まさに「食い倒れ」である。

つまり、大阪人は真の意味で「食い倒れ」しているわけではない
大阪にやってきた、大阪以外人を「食い倒れさせている」のだ・・・。

どおりで「食い倒れている大阪人」を見たことがないわけだ・・・。

そんな深謀遠慮な大阪人の罠に気をつけよ。知らんけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?