夢中で学ぶ90分。
4月から学習塾に転職した。
現在は幼児から小学生までの部門、そして中学受験部門の2つの授業を担当している。
今回は歴史の授業のお話。
授業のモットーは、
「楽しくてあっという間に時間が過ぎる授業」
「さあ、はじまりました。皆さんお楽しみ、歴史の授業!今日お伝えするのは!時は遡り約1300年前、平安時代!」
落語の語り口調のように、開口一番授業の雰囲気を作る。
すると、国語はだらっと聞いていたマイペースH君もこっちをパッと向いた。
「キャッチコピーは!
ええやん、日本も。平安時代」
その時代のイメージがパッとはいるように、
最初にキャッチコピーを伝える。
「ええ!どういうこと?」
子どもたちからいい反応が返ってくる。
「そう思うよね!みんな知って通り、前回の奈良時代は唐に学ぼうとして平城京を真似したり、そしたらたたりがおこったりしたよね」
「そう!死亡率30%の疫病!」
「よく覚えてるじゃん!I君!そうなんだ、でも今回の時代は「あれ?日本も結構よくね?」ってみんな気づいた時代でもあるんだ」
「だから枕草子とか源氏物語が生まれた!」
「おお!Aちゃんよく知ってるね!そうなんだ!そのことについてもあとで触れていくからお楽しみに」
雰囲気はまるでライブ会場。
随時コールアンドレスポンスが続く。
そして盛り上げるだけではない。
平将門の首がとんでいって首塚ができた話をした時、一気にテンションを変えた。
「これは平安時代に起きたこわーい話、、。みなさん、怖い話を聞く準備はできてますか、、?」
「ええ、ちょっとこわいかも」とざわざわし始める。
「なんと!打ち取られた平将門の首が喋りだし、宙に浮いてとんでいったのです!」
「えー!」「こわー!」「ほんとにあったの!?」
と阿鼻叫喚。
「興味を持った人はぜひ調べてみてください。その首塚は東京にあります」
目を丸くして、映し出された画像を見る子ども達。
「はい!ほんとにあったかもしれない怖い話はここまで!
ここからはなんと、平家や源氏、そして藤原氏たちのトーナメント戦が行われます!第一回戦!それが保元の乱!どっちのチームが勝つと思う?」
「俺は右!」
「私は左!」
「答えは、、!こちらのチームでした!」
「イエーイ!!」
「えー!」
「しかし、人間というものは愚かですね。勝った4人の中でまた喧嘩になりトーナメントが行われます!」
「えーまた!?」
「そうなんです、この二回戦目、どっちが勝ったでしょう!?」
「はい!!こっち!!」
こうして90分間子どもたちの興味を100%引き出し続けた。
最後にまとめの時間。
「よし!ここまでが平安時代!」
「キャッチコピー覚えてる?」
「ええやん、日本も、平安時代!」
「そうだ!まずは遣唐使を廃止して、日本の文化が栄えた。しかし、そこで待っていたのは?」
「平家と源氏のトーナメント!」
「そうなんだ!武士をまとめあげたリーダーたちが喧嘩をしたんだったよね」
「平将門の首もあったよ!」
「そうだったよね怖かったよね!」
「さあ、あと授業は10分で終わってしまうので、残りの時間で歴史カルタやりたいと思います!」
するとみんなが一斉にバッと後ろの時計を見た。
「え、ほんとだ!」
「もう時間じゃん!」
「やばい!早くカルタやろうぜ!」
その瞬間を見て心の中でガッツポーズをした。
楽しくてあっという間に時間が過ぎてしまう授業。
今日もできたなぁ。
笑顔で帰っていく子どもたちを見送って、
つくづく自分に向いている職業に就いたと実感した僕だった。