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「好き」から始まる子どもの成長物語

「先生、うちの子勉強が全くダメで」

コーヒーを前に、ため息をつくお母さん。
その後ろでカチャカチャとswitchのゲームをする男の子。

「いいところはあると思うんです。ただ、子どもが3人いるのでどうしても下の子に手がかかってしまって」

「今日は、Kくんと話をする時間にしてもいいですか」

「もちろんです」

そっと、Kくんの隣に座った。

Kくんは小学4年生。
3人兄弟の長男。
下の子が優秀で比べられ、
自信がなさげだった。

「今日は何の勉強するんですか?」

「今日はね、Kくんのこと知りたいから『好き』なこと教えてほしいんだ」

「ぼく、ゲームしかないですよ」

「全然いいじゃん!ちなみに今このゲームはなんていうの?」

「信長の野望です」

「あ!知ってる!全国統一するやつでしょ!昔、先生もやったことある!」

すると、Kくんの目の色が変わった。

「え!先生もあるんですか?!どの武将が好きですか?」

(あ、、この子の「学びのスタート」はここからだ)

そう思った。

「先生はね、天下統一するまでの豊臣秀吉が好き!」

「ああ、秀吉ね!なんで?なんで?」

「だってただの足軽から天下統一までするってすごくない?その『人たらし』なとことか好き」

「ああ、たしかにね。なんで天下統一までなの?」

「そのあと領土を広げようとして、外国に攻めて調子に乗るから。笑」

「それはダメだわー!笑」

「Kくんは誰が好きなの?」

「俺はね、俺はね!」

こうして信長の野望をしながら1時間ひたすら語り続けた。

その中でわかったこと。

それは自分の興味関心に関しては、
こちらが驚くほど没頭して集中できる力があるということ。

1時間が過ぎたころ、ぼそっとKくんは言った。

「でもまだ天下統一できないんだよな。。」

そこでピン!と思いついた。

「Kくん、この信長の野望でさ。自由研究してみない?」

「え、自由研究?あの夏休みにするやつですか?」

「うん、そう!一緒にどうすれば天下統一できるか調べてまとめみるの」

「え、めっちゃ楽しそう!」

「決まりだね!」

ルンルンで信長の野望の攻略ブックを眺めるKくん。
お母さんに説明をした。

「5教科を教えることはもちろんできます。ただ、今の彼にとって一番大事なのは『学ぶは楽しい』を実感することだと思うのです

「さっきの会話の中で、豊臣秀吉の歴史の知識を1つ教えられたように、Kくんの好きなゲームには歴史を好きになれる要素が詰まっています」

「だから、まずは彼の『好き』を大切にして、そこから5教科につなげるアプローチをさせていただけませんか?」

「二人の会話を聞いていて、あんなに楽しそうなKを見たのは久しぶりです。ぜひお願いします」

こうして、Kと二人で「好き」の自由研究が始まった。

この手法は岩田かおりさんが提唱する「天才ノート」に近い。


今まで子どもたちを教えていて思うことがある。
それは、5教科からスタートするのではなく、

「好き」なことからスタートした方が、結果として5教科の成績が上がるということだ。

だから僕たちの家庭教師では。

子どもたちの「好き」に寄り添う。

その子たちが、大人になっても自分の「好き」を大切にして、人生を「好き」な時間で満たせるように。



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きむら ゆうすけ
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