【保険】配当金とは(前編)
最近の保険は掛捨てが主流になってきていることもあり、
複数の保険会社を取り扱っているような保険代理店でも
配当金については、あまり詳しく説明されることがなくなってしまいました。
せっかく毎月毎年保険料を支払っていくのですから、
もらえるお金についても確認しておきたいですよね。
今回は、配当金とは何か、どのように受け取るのか確認していきましょう!
1.保険料の仕組み
そもそも保険会社に支払う保険料はどのように決まっているのでしょうか。
保険会社が保険料を計算する際には、「収支相当の原則」という大原則があります。
これは、保険会社が受け取る保険料の総額(収入総額)と
保険会社が支払う保険金の総額(支出総額)が等しくならなければならないという原則です。
例えば死亡保険の場合であれば、
1人あたりの保険料×加入者数=1人あたりの保険金×死亡者数
という考え方になります。
しかし、実際のところ加入者数や死亡者数が何人か、1人あたりの保険金額はいくらかというのは保険を売り出した後でないとわかりませんので、
保険会社が保険商品を開発する時点では、保険料は下記の3つの基礎率(予定率)をもとに計算されています。
・予定死亡率(予定損害率)
・予定利率
・予定事業費率
また、3つの基礎率は、保険会社によって、
あるいは保険種類や契約時期などによって異なっています。
1-1.予定死亡率(予定損害率)
過去の統計をもとに、男女別、年齢別の死亡者数を予測し、
将来の保険金の支払いにあてるために必要な保険料を算定しますが、
この計算に用いる死亡率を予定死亡率といいます。
死亡者数が多ければ、その分支払う保険金が多くなるため保険料は高くなり、
死亡者数が少なければ、その分支払う保険金が少なくなるため保険料は安くなります。
若いうちは保険料が安く、高齢になると保険料が高くなるのはこのためです。
なお、生命保険では予定死亡率を使用しますが、
損害保険では予定損害率を使用します。
1-2.予定利率
保険会社は資産運用によりあらかじめ一定の運用収益を見込み、
その分保険料を割り引いていますが、この割引率を予定利率といいます。
運用による収益が多く見込める(予定利率が高い)場合には、
少ない保険料で保険金を支払うことができるため保険料は安くなり、
運用による収益があまり見込めない(予定利率が低い)場合には、
その分多くの保険料をもらわなければ保険金を支払うことができないため保険料は高くなります。
1993年くらいまでは4%~6%あった予定利率は、
超低金利の影響を受け、現在では1%ほどしかありません。
昔のお宝保険は解約しない方がいいと言われるのはこのためです。
1-3.予定事業費率
保険会社は保険業の運営上必要とする経費をあらかじめ見込んで保険料の中に組み込んでいますが、
この割合を予定事業費率といいます。
保険会社が必要とする経費が多ければ、その分保険料は高くなり、
保険会社が必要とする経費が少なければ、その分保険料は安くなります。
ちなみに余談ですが、保険業界で「バレンタインショック」と呼ばれる、法人保険の経理処理ルールの変更は、
この予定事業費率がきっかけとなるのですが、文章が長くなってしまうため、また別の記事で書いていきたいと思います。
想定よりも文章が長くなってしまったため、
後編に続きます!