【保険】保険が必要な人/必要ない人とは(医療保険編)
生命保険の勧誘時に「公的保障の説明を」金融庁が規制強化へ
2021年9月11日の朝日新聞デジタルにこのような記事が掲載されていました。
最近はyoutubeなどでも、日本の公的保障はすばらしい、民間の医療保険はいらないという内容の投稿を多く目にします。
今まで保険の募集人として、ファイナンシャル・プランナーとして、多くの方々を見てきました。
その経験から本当に保険が必要ない人とはどのような人なのか簡単にまとめましたので、
1つの意見として、参考にしていただけたらと思います。
1.日本の公的保障はすばらしい
日本は国民皆保険制度なので、ほぼすべての方が健康保険証を持ってらっしゃると思います。(実際に持っていない方にもお会いしたことがあるため、ほぼと記載させていただきます。)
健康保険証があれば、たいていの治療が3割負担もしくはそれ以下で受けられますし、
高額療養費制度があるため、年収によって1ヶ月の医療費の上限(世帯ごと)も決められています。
高額療養費制度について、例えば、一般的な年収の方(標準報酬月額28万~50万円の方)であれば、
80,100円+(医療費-267,000)×1%が上限となるため、
医療費が100万円だったとしても、80,100円+(1,000,000-267,000)×1%となり、
87,430円が医療費の自己負担額となります。
高額療養費に関する、厚生労働省のページです。
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
医療費の9割以上を公的保障でまかなえるということになるので、
日本の公的保障はとてもすばらしいものだと思います。
ただし、公的保障がすばらしい=民間の医療保険は不要ということではありません。
2.医療保険は何のため?
医療保険の目的は主に2つあります。
1つは、医療費などの支出の増加に備えるため、
もう1つは、収入の減少に備えるためです。
病気やケガで医療を受けられると、通常の支出とは別に、
治療にかかる費用が追加で発生します。
また、治療を受けるために仕事を休まなくてはならず、
本来入ってくるはずだった収入が減少してしまいます。
医療保険は、この2つの金銭的な負担による問題を軽減する目的で存在しています。
つまり、公的保障がすばらしいから、民間の医療保険が不要なのではなく、
この2つの金銭的な負担による問題がそもそも存在していない方が、
民間の医療保険が必要ない方となります。
3-1.医療費などの支出の増加
治療にかかる費用とはどのようなものがあるでしょうか。
まずは、病気やケガの治療のための医療費です。
例えば、医師の診察、検査、投薬、手術などです。
健康保険が適用される範囲は、主にこの部分になります。
先ほどの高額療養費制度の対象になるものも、この範囲になります。
実際に経験されたことのある方であればご存じの方も多いかと思いますが、
治療にかかる費用とは、実はこれがすべてではありません。
この他に、通院であれば交通費、外食費など、
入院であれば差額ベッド代、テレビ冷蔵庫などの使用料などもかかります。
もちろん健康保険の適用外なので実費負担です。
これが通常の支出(家賃や水光熱費、自動車ローンなど)とは別で発生します。
3-2.収入の減少
通院や入院となると、普段通り仕事をしながらというのが難しくなり、
数日~数か月間、本来であれば仕事をして収入を得ていた時間を治療にあてなければなりません。
もちろん、その間も通常の支出は発生し続けます。
収入が減少した分を何で補填したらよいのでしょうか。
ただし、この収入の減少による影響の程度は、働き方(自営業や個人事業主か、会社員や公務員か)にもよって変わってきます。
会社員や公務員は、勤務先が社会保険に加入していれば、傷病手当金を受け取ることができます。
傷病手当金とは、病気やケガにより働けなくなった場合に、一定の期間、
もともとの収入の3分の2に相当する金額が支給される制度です。
傷病手当金に関する、厚生労働省のページです。
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000619554.pdf
この制度により、会社員や公務員であれば、少しは負担が軽減できますが、
自営業や個人事業主の方の場合はこういった制度がありません。
3-3.万が一の医療費は貯蓄から?
「万が一の医療費は貯蓄から支払ったらいい」
こういう意見もよく目にします。
1つだけ言えることは、その貯蓄に目的はありませんかということです。
もちろん、万が一の医療費のために貯蓄をされている場合は別です。
ですが、もしマイホームの購入のため、お子さんの教育費用のため、老後の生活資金のため貯蓄をされている場合、
病気やけがが原因で、その貯蓄を取り崩してしまっても問題ないのでしょうか。
4.まとめ
以上の内容をふまえて考えると、民間の医療保険が必要ない方とは、
①医療費などの支出が増加し、収入が減少しても、普段の生活に一切影響がでないほどの貯蓄をされている会社員もしくは公務員の方
②働けなくなっても収入が途絶えない資産生活の方で、一定の貯蓄がある方
③数か月売り上げがとまっても普段の生活を維持できるほどの貯蓄がある、自営業や個人事業主の方
④生活保護の方
今一度、ご自身が本当に必要な保険に加入されているのかどうか、
見直してみてはいかがでしょうか。