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「ライカ欲しい熱」にかかった人のために

もしあなたが「M型ライカ欲しい!」というやっかいな熱病にかかっても、清水の舞台から飛び降りるのはちょっと待ってください。もしかすると、その衝動を受け止めるもっと効果的な方法があるかもしれません。

それはあなたの「ライカ欲しい熱」の種類によります。



「高価な物を買った満足感」を得たい場合

あなたの熱を冷ますにはライカの購入が有効です。心置きなく最新のライカを買ってください。



「とにかく『ライカ』が欲しい」場合

「ライカ」はカメラ界を代表するブランド。背負ってきた歴史があり、伝説があります。そもそも「写真」は「画像としての写真」だけで成立するわけではありません。その背後にあるさまざまなストーリーが写真に命を吹き込みます。カメラが持つストーリーもそのひとつでしょう。だから、ライカで撮ると写真には小さな魔法がかかるのです。そう考えれば、ライカはけっして高くはありません。

え?「ますますライカが欲しくなった」って?

背中を押して欲しそうだったから押しただけです。
遠慮せずに「ライカ」を買ってください。

どの「ライカ」を買うべきかについては次の項目も参考にしてください。



カメラの存在を愛で、フィーリングを楽しみたい場合

この場合もライカの購入は正しい選択肢のひとつです。ただし、デジタルではなく、M3かM2かM4あたりのフィルムライカの方がより満足できるはずです。

フィルム代がかかる?
デジタルライカとの差額でたくさん買えますから心配ありません。それにデジタルライカの価値は20年後には大きく下がりますが、フィルムライカの価値は(フィルムがなくならなければ)今後も上がっていくはず。古いフィルムライカはフィーリングが極上な上に「実質無料」どころか「手堅い投資」でもあるのです。

さあ、買うなら今。
急がないとどんどん値上がりしてしまいますよ。



優越感に浸りたい場合

これもライカを買うのが正解…
いや、ちょっと待ってください。あなたが手にするライカを見て、きっと何人かの人たちが「素敵なカメラですね!」と言ってくれるでしょう。でも、実際は「お金持ちの道楽」「ブランドに振り回されている軽い人」と見られているかもしれません。そう見られても「ライカ」を誇れる自信はありますか?



さて、ここまではどうでもいい話でしたが、一番悩ましいのは次の場合です。

「撮影すること」を楽しみたい場合

特にM型に興味を持つ人にとって、ここは大事なところでしょう。レンジファインダーで世界を切り取っていく感覚は特別なものです。資金に余裕がある人はライカを買って経験してみるべきです。

でも、多くの人にとって、カメラ本体だけで100万円を超える価格は決して安くはないはずです。

そんなあなたにひとつ提案があります。
今だからこそ、一眼レフはどうでしょう?

レンズを通った光をスクリーンに投影して、それを見ながらピントを合わせ、構図を決める。それもまた極上の体験です。世界の見え方が変わるかもしれません。

それに、レンジファインダーの新製品は10年後にも発売されそうですが、一眼レフの新製品が10年後に出る可能性は極めて低いのです。今が最後のチャンス。

レンズもマニュアルフォーカスにしてみましょう。目の前の風景の中で主役は何なのか、それを自分で決めるのです。古いレンズをアダプターを介してつけてもいいですが、コシナのPlanar 50mm 1.4あたりを使うほうが制約も少なくて楽だと思います。いずれにしても、明るい単焦点レンズを選んでください。

おすすめのカメラ?
EOS 6Dです。

マニュアルフォーカスを楽しむためのデジタル一眼としてEOS 6Dが最高だと思うのは、小さくて(フルサイズ最小)、安くて(中古で5万円しない)、ファインダースクリーンをマニュアルフォーカス用のものに交換できる(これが必須!)からです。純正の拡大アイピースMG-Ebをつければ完璧です。



「高画質」を求める場合

え?「高画質の写真を撮るためにライカが欲しいんだ!」って?
もちろん、ライカを買うことを否定はしませんが、ライカ M11で撮った写真とEOS 6Dで撮った写真の違いなんてわかりませんよ。



この記事の写真はライカで撮ったものではありません(エラソーなことを書いていますが、わたしはデジタルライカを持っていません)。すべてEOS 6Dで撮ったものです。「こういうトーンがライカっぽいって言われがちだなあ」と思うものを並べてみました。「全然違うわ!ライカがこんなつまらない写りなわけないだろ!」という方、失礼しました。


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「科学」と「写真」を中心にいろんなことを考えています。