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古き佳き中古カメラ屋さん(しかも山の中)

学生時代は中古カメラ屋に入り浸っていました。

札幌市内の7軒か8軒のお店をまわってからカメラのKへ行くと、修理担当のHさんが「おお、よくきた。まあ、こっちにきてコーヒーでも飲んでいけ」と店の奥でいろいろと話をしてくれるのでした。

中古カメラブームの上り坂の頃で、「高くないけど面白そうなもの」を買っておけば、半年か1年後にはより高い金額で売れる、そんなしあわせな時代でした。

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そんなわたしも最近15年くらいは「写真を撮ること」だけに興味がいくようになり、カメラ屋にもほとんど行かなくなりました(ふつうに考えれば、それは健全なことなのでしょう)。

でも、昨年くらいからまた中古カメラに気を引かれています。ふたたびフィルムで撮ることが多くなったからです。(この記事の写真もnew F-1+50/1.4によるものです)



福島県の山の中、石川町にある「長沼写真商会」の存在は以前から知っていました。

福島県はそれほど縁遠い場所ではありません。最近1年間で喜多方に2回、塙あたりには6回行っているので2ヶ月に1回以上は行っていることになります(喜多方まで6時間、塙まで4時間かかるのに)。

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そして先日、塙の天一でエビフライを食べているときに(天ぷら屋さんですが、刺身やエビフライやトンカツもおいしいです)ふと「石川町ってここからそんなに遠くないのでは」と思い立ったのです。


車は建物左側の駐車場のお店寄りの位置に停めていいそうです。


そのお店までは塙から山の中の県道を走って1時間もかかりませんでした。
ドキドキ感とともに扉を開くと、ずらっと並んだカメラたち。

じっくり見たいところですが、待ってましたと言わんばかりの店主のトークが止まらないので、しばらくはそれに耳を傾けましょう。


次々と出てくる改造カメラたち。
山崎光学のCongoレンズ。「デジタルで撮ると面白いよ」
キヤノンの棚。「値段はとりあえずつけてあるだけだから」
ニコンの棚。「いいのはF2までだね、電子シャッターが入ったらダメ」
ペンタックスの棚。「ペンタックスはシャッターが弱いので好きじゃないな」


「一番丈夫なカメラは何だと思う?」
「F2とかですか?」
「ニコマートFTN。あれは本当に壊れない。ほら。」

と、手渡されたFTNは…動きません。

「ああ、それはシャッターが故障中だった。」

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長い間ショーケースに置かれたままのカメラが多いようで、コンディション的にはいまひとつのものもあります。でも、珍しいものや明らかにお買い得なものもたくさんありました。


箱入り未使用品のESIIモータードライブ。未使用のF2チタンもありました。


この日は買うべきものに巡り合えませんでしたが、「昔の中古カメラ屋さん」的なのんびりした雰囲気の中で、若い頃の気持ちに戻ってカメラを眺めることができました。


落下させて部品も一部なくなっているというローライ35Sの修理中。


まだまだ見落としているものがたくさんありそうなので、また訪れたいと思います。

やっぱり中古カメラ屋さんは楽園です。


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kimura noriaki
「科学」と「写真」を中心にいろんなことを考えています。

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