電車の窓から13

2020年5月1日

さくさく歩いていくと、直ぐに商業施設に着く。ヒナは楽しそうに私を下着売り場に連れていった。
「ほれ!好きなの選んで、サイズは?」
私のサイズを伝えると、ヒナはぽんぽんと下着を選んでいく。
色は何故か淡い色が多かった。
「この色が似合うと思うんだ」
買い終わった時、ヒナはそう言っていた。
その足で洋服も見に行く。私のサイズ感に合わせて、洋服を選んでいく。
「スカート?ズボン?」
「あ、ズボンで……」
ヒナの勢いについていけない。服なんて着れていればなんでも良かったから、こんなにまともに服を選ぶなんて。
「あ、ねぇ、この色とこの色どっちがいい?」
ヒナが持っていたのは、黒の上着とジャングルみたいな緑の上着だった。
「どっちかというと、茶色かな」
「なるほど、この感じならこっちね、そうしたら」
またどんどんと服を選んでいく。
買い終わったと思ったら、また次の洋服屋に連れていかれた。
「ねぇ、好きなの選びなよ」
「え?いや、あの、なんでもいいから」
「うーん」
そういえば、色んな服がこの洋服屋にはある。どうせなら、と着たことの無いような服を選んでみた。ピンク色。私に合わない色。
「いいね、可愛い色、色が好きなの?」
うん、と頷く。着たことが無いからと言う。ヒナは笑って次の服を持ってきた。
「色が好きならこっちの方がいいかな、形が合わせやすい色。さっきの上着にも合うし」
ヒナが持っていたのはピンクのパーカー。
私の肩に、パーカーの肩を合わせて、鏡の前へ連れていかれる。少しだけ自分が変わった気がした。
「気に入った?ルナいい顔してる」
「え、いや、そんなことは無いよ」
顔にそんなに出てたのか?ヒナに見られていると思うと、胸がギュッとする。

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