【短編小説】恋心がわからない
恋心が分からない。
私もかつて恋をしてそれに絶望したりしたはずなのに、もう思い出せない。分からない。
恋の話をされると、脳みそがエラーを起こす。
何を考えて良いのか分からなくなる。
0の入力を想定していなかったエクセルみたいだ。
何度エンターキーを押そうが計算結果は変わらず訳の分からない英語と記号の羅列。
理解できない。人に恋をしながら生きている人間が。
なぜこんな事を話しているか。
私は告白を受けている。
バイト先の後輩だ。
私より後に入ってきた、ひとつ下の後輩。
帰り道