化粧品で紫外線から守ろう|化粧品アウトプット#31
きむっちです。
#30では顔料に含まれる粉体の性質について触れました 。
粉体の性質として触媒(しょくばい)の機能を持つことも紹介しましたよ。
この粉体の性質を使うことで太陽光に含まれる紫外線を吸収・反射させることにつながるんですよ。
どんなようにして反射されるか、知りたくないですか。
実は紫外線を防ぐ過程においても光触媒反応の機構が関係しています。
この記事では、化粧することで紫外線から肌が守られる理由についてできる限り簡単に説明していきます。
【この記事を読んでいただく前に】
この記事を読んでいただく前に以下の記事を読んでおくとさらにわかりやすくなりますよ。
紫外線(#10)についてはこちら
色材(#29)の記事はこちら
粉体の性質(#30)についてはこちら
紫外線を防ぐ2種類の材料
化粧品を使うことで紫外線を防ぐものとして、次の2種類のものがあります。
● 紫外線散乱剤
● 紫外線吸収剤
ここから詳しく解説していきますね。
1.紫外線散乱剤
紫外線を散乱させる役割がある顔料を指します。
酸化チタン、酸化亜鉛などがあてはまります。
無機の金属酸化物が多いのが特徴ですね。
酸化チタンの場合、UVA(波長320~400nm)の紫外線でも十分に効果を発揮します。
光には波長があるのですが、光の波長よりも大きな粒子は散乱されて白くなります。
一方で光の波長よりも小さな粒子の場合、皮膚に均一に覆うことになるので白くなることはありません。
【光触媒反応が起こることがある】
ここで、酸化チタンも散乱剤として使われることを説明しましたが、酸化チタンは光触媒として機能する特徴もあります。
この場合は光の散乱ではなく、吸収が起こってしまいます。
つまり、光触媒の場合は光吸収剤として機能することになるのです。
【光触媒は半導体】
ここで、光触媒は半導体の1つになります。
なお、導体、絶縁体、半導体は次のようなものになります。
● 導体(どうたい)
…どんな条件でも電気を通すもの
(導電性の金属など)
● 絶縁体(ぜつえんたい)
…どんな条件でも電気を通さない
(導電性のないビニルホースなど)
● 半導体(はんどうたい)
…ある条件が揃ったときだけ電気を通す
(シリコンウエハーなど)
【光触媒反応が起こる機能とは?】
ここから化粧品から少し脱線しますが、酸化チタンが光を吸収するパターンの例として光触媒反応を挙げていきますね。
光触媒の場合、光(エネルギー)が与えられているときだけ、電気を通すことになります。
酸化チタン光触媒を例に挙げると、光をあてることで下の図のように電子の励気(れいき)が起こることで反応が進むことになります。
少し反応機構がややこしくなるので、この記事の中では酸化チタンに光を当てたら反応が起こるんだと思っておけば大丈夫です。
引用元:こちら
*波長351nm(UVA)以下の紫外線を照射すると
酸化チタンの光励起が起こる。
【光触媒反応が起こらない処理が必要】
ここで、光触媒反応が起こる状態で酸化チタンを使ってしまうと化粧品に使っている有機化合物の分解反応や変換反応などが起こってしまうことがあるんですね。
そのような副反応を抑えるために、酸化チタンなどの光触媒機能を持つ無機顔料を使う場合には表面処理して不活性化されています。
2.紫外線吸収剤
ここからは紫外線吸収剤について説明していきますね。
紫外線吸収剤として次のものがあります。
主に有機化合物になります。細かい構造はややこしくなるので、興味があれば調べてみてくださいね。
参考としてWikipediaのリンクを貼っておきます。
● ベンゾフェイン
● パラアミノ安息香酸
● パラメトキシ桂皮酸
● サリチル酸
もう少し詳しく知りたい方は下の書籍からご覧くださいませ。
最後に
肌を傷める恐れがある紫外線。
紫外線からどのように守られているのかがわかると、化粧品の成分についても深く知りたいと思うきっかけの一歩となるのではないでしょうか。
夏場になると紫外線が強くなりがち。紫外線を防ぐ機構をよく知り、紫外線防止を心がけてみてはいかがでしょうか。
次回のお知らせ
次回は化粧品の香り付けについて解説していきます。
化粧品の香りの歴史などを交えて紹介していきますよ。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
もっと詳しく知りたい方はこちらの本を参考にしてみてください。
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コメントもめっちゃ嬉しいです。
<きむっちの自己紹介の記事はこちら>
光触媒についても少し触れています。