【英文法】可算名詞と不可算名詞[視点を変えて解説します]
はじめに
英文法で可算名詞と不可算名詞を区別することは意外と大事なことで、日本語にはない概念であります。一方で、可算名詞と不可算名詞をテーマとした記事やサイトはいっぱいあります。そのため、この記事では少しだけ視点を変えて解説していきます。
可算名詞と不可算名詞の違い
まず、可算名詞と不可算名詞について、少しありきたりな説明からしていきます。
【1】可算名詞
可算名詞とは数えられるものです。たとえばコップか硬貨などは形があるから数えることができます。
【2】不可算名詞
一方で、不可算名詞とは数えられないものを指します。
数えられないものとしては、以下のようなものがあります。
①分けても状態が変わらないもの
水やパンなどの分けても状態が変わる事がないもののことを指します。
パンだと切ったとしてもパンとしては同じです。
英語では、切っても同じ性質ものは数えられないものとなります。
水などの液体・パンなどの固体に限らず、ガスなどの気体も
あてはまります。
一方のコップの場合は例えこぼれないようにコップを
切断したとしても、もう片方は使えなくなります。
1個のコップを無理やり分けると機能しなくなるものは数えられます。
なお、水を数えるようにしたい場合にはコップに入れるとa glass of water
、パンの場合はa slice of bread などとすると数えることができるように
なります。
ガスの場合も、ボンベ(cylinder)などに充填すると数えられるように
なります。
②気持ちや感情を表す名詞
lovelyness「可愛らしさ」などの感情や気持ちを表すものも不可算名詞
です。
③固有名詞
地域の名前(Osaka、Kyoto)などの固有のものも不可算名詞となります。
④集合名詞
家具(furniture)や荷物(luggage)などは一見数えられそうですが、
数える範囲が広すぎる名詞についても、不可算名詞となります。
なお、お金(money)自体は集合名詞となります。
もちろん、グラス(glass)やバッグ(bag)などの個々のアイテムで
見ると、「集合」という概念がなくなるので、数えることができるものと
なります。
「硬貨」としては数えることができます。
可算名詞と不可算名詞が捉えやすくなる単語【lot】
ここからは個人的な視点で可算名詞と不可算名詞を捉えやすくするように説明していきます。
数えるときに大事になる単語として【lot】があります。
【lot】と言う単語はいろんな意味がありますが、何らかの場面で「ロット番号」などと聞いたことがあると思います。このロットとは、まさしく【lot】のことで、「一区画」の意味もあります。
例えばねじを1万個作ったとして、1万個をひとくくりで納めたり管理したりする場合には、1万個が1ロットとなります。
ここからは若干脱線していきます。
その1ロットが正しく作れているかどうかは非常に大事になります。
基本的に1万本作るとしても1万本すべてが正しく作られているかどうかを確認するのは膨大な時間と労力がかかります。検査することを考えると長さをノギスなどで測ることが多いのですが、厳密に言うと長さを検査するための測定機器がブレていないか(正しく校正されているか)、正しい基準に沿って校正されているかどうかなどの定期的な確認が必要となります。また、抜き取ったものが代表的なものと言えるのかどうかも大事となります。これらを客観的に捉えるために統計学(Statistics)での捉え方が大事となってきます。
一方で、製造の観点では正しく作れているかどうかを確認する必要があります。正しく製造されているか、手順通りに製造しているか、機械は正しく作動しているか、手順に従った作業を行った記録などが残されているかなどの様々な要因が含まれてくることとなります。もちろん、製造設備においても正しく作動しているかの定期的なチェックが必要となってきます。
液体を製品として製造することを考えた場合においても、液体がキチンと混ざるような製造が確立されているのか、液体の撹拌機(液体のかき混ぜ)は規定された回転数で回転しているか、必要最低限の攪拌時間が保持されたか、攪拌時の液温などの要因は許容範囲内か、製造のための記録が正しく行われているかなどの確認も必要となってくるのです。
検査でのブレを少なくする以上に、製造においてのブレを少なくすることが品質向上にもつながり、品質を改善していく上でも重要なこととなるのです。
いずれにせよ、製造ロットのバラつきを最小限にするためにも、製造の自動化などでも正しく行われているかどうかの管理などがモノづくりで重要となってきます。
このように製品もしくは品質保証の後追いを追跡できるようにすることをトレーサビリティ(traceability)と呼びます。
ロットのことから統計や製造の捉え方などのことを盛り込んで少し脱線してしまったので、ドラム缶に液体を入れることを例にして話を戻していきます。
さきほど液体は数えられないものと書きましたが、例えばある液体をドラム缶に入れたとしたら数えることができるようになります。この場合にはドラムという区画に収まっていることとなります。一方で、ドラム缶の液体が床にこぼれたらどのようになるでしょうか。その液体で床が濡れることは容易に想像できると思いますが、こぼれた液体は部屋の中で区画として形成していることになります。
もう少しわかりやすく書くと、台所で水をこぼれると水滴になりますが、水滴として床の上で分かれるので数えることができる、つまり「一つの区画(ロット)」という捉え方ができるようになります。
少し横道に逸れますが、「ランチを食べる」というときにはhave a lunchと言いますが、この場合にはランチという空間(場)を一つとして数えることとなります。そのように考えるとこぼれた水も「空間」もしくは「場」として捉えることにつながりやすいのではないかと思います。
ここで、数えきれないものを数えるときに a lot of(もしくは lots of )という表現を習ってこられたかと思います。訳し方としては「たくさんの」で習ってきているかと思いますが、「一区画の」と数えることができるようになるのです。自然にある山(mountain)もある区画に収まっていると捉えれば理解しやすいかもしれません。
このような意味合いから、a lot ofを使っておけば可算名詞・不可算名詞に関係なく使えるようになるのです。
例えば、情報(information)の場合は不可算名詞ですが、ある区画の中に集まるとa lot of information「たくさんの情報」というように訳すこともできるのです。
不可算名詞の場合は数えられないので、a lot ofで数える場合でも、複数形のsはつかないことについては注意が必要です。
a lot of 以外に可算名詞・不可算名詞の両方で使えるものとして、some「いくらかの」、plenty of「たくさんの」があります。
最後に
a lot of は便利な表現ではありますが、少しカジュアルなときに使う表現とされています。
カジュアル以外の場面で使う場合には、可算名詞の場合にはmany、不可算名詞の場合にはmuchを分けて使うようにした方がよいとされています。
そうは言っても迷う場面があると思うので、可算名詞か不可算名詞で迷ったときにはa lot ofを使った方がニュアンスが伝わりやすいかと思います。
英文法を学ぶ上で、何かの参考になれば嬉しい限りです。
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