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コーヒーを淹れるなら、温度を気にしていれば良いと思う
昨日、同僚に「コーヒーを始めるには何から始めたら良い?」と聞かれました。よく聞かれるので、最初に買うものとして勧めたものと使い方をまとめてみます。
昨日、1on1で「コーヒーデビューしたい」と言われて、30分フルに使ってコーヒーの初期装備とその理由を語ってしまった。ごめん。
— TK(kimoto) (@TKimotoshi) September 15, 2020
結論、どの手順においても温度をコントロールできる設備を揃えるべきと考えています。理由は、温度が味に大きな影響を与えるからです。
温度を調整できないと、毎回味が変わる理由が分からないので、コーヒーを淹れる楽しみが減ってしまいます。
逆に言うと、温度のコントロールができるようになれば、同じ豆でも淹れ方を変えるだけで色々な味を楽しめます。
今回紹介しているものをすべて揃えても1万5千円ぐらいです。大人の趣味の中ではライトな費用感じゃないでしょうか。
コーヒー豆が不味くなる原因と、味を変化させる要因
買うものを紹介する前に、基本となる考え方を紹介します。
見出しの通り、コーヒー豆は湿度を避け、温度に注意することが大事です。
「コーヒーの科学」によると、コーヒー豆の味が劣化するのは、①吸湿、②香りとガスの損失、③酸化の3つが原因です。これらにより、嫌な酸味が出てしまうそうです。コーヒーを保管する際には、これらの原因を回避すると味が落ちません。
また、コーヒーに入湯(=お湯を注ぐ)するときには、湯の温度が非常に重要です。
温度の基本は「浅高深低」
いろいろな抽出条件の中でも、非常に大きく香味に影響するのは温度だと言われています。
(中略)
色々なコーヒー本の淹れ方を読むと、浅・中煎りはやや高温、深煎は低温で淹れると書いてあるものが多いのですが、ひょっとしたら「中煎りの苦味」「深煎りの苦味」の溶け出しやすさの違いとも関係有るのかもしれません。
旦部幸博「コーヒーの科学」p.232
ここに「やや高温」「低温」と書いていますが、沸騰したお湯では味が出すぎてしまいます。美味しく淹れるためには、湯の温度の調節/維持が不可欠です。
温度をコントロールすることで、コーヒー豆から抽出される味のばらつきを抑え、狙い通りの味だけを出せれば、美味しいコーヒーになりやすいです。逆に、苦味や酸味など様々な味が混ざってしまうと、美味しくなくなります。
捉え方を変えると、コーヒーは"果実を焦がして砕いた粉の絞りカス"です。だからこそ何も考えずに作ると不味くなり、美味しくするにはちょっとしたコツがいるものだと僕は考えています。
ここからは、①コーヒーは劣化すること、②温度で味が変わること、③味のバラツキを避ければ美味しくなること、という3つの考えに則ってコーヒー抽出の各ステップで使う器具と、その使い方を説明します。
豆を保存する:買った袋の口を留めて、冷凍庫で保存
まずは豆の保存方法を考えます。
コーヒー豆やその味は、時間や環境により劣化します。
いくら上手に淹れようとしても、豆が劣化していたら美味しいコーヒーは淹れられません。
「コーヒーの科学」では、劣化を防ぐ保存法が紹介されています。
劣化の原因を整理すれば、自ずと対処法も見えてきます。つまり①吸湿を避け、②ガスが抜けるのを防ぎ、③酸化を防ぐ、を守れば、比較的おいしいままで長期保存が可能です。
旦部幸博「コーヒーの科学」 p.197
理想的には、空気の出入りを防ぎ、湿度を下げれば良いようです。しかし、意外とそれは簡単ではありません。
気密状態(気体の出入りも遮断。密閉や密封よりも厳重)で保存すれば、すべての条件を満たすので鮮度の保持に効果的です。
旦部幸博「コーヒーの科学」 p.197
僕は過去にガラス製の密閉容器を使ってみたのですが、普通に味は落ちていくので、最終的には冷凍庫での保存に落ち着きました。
温度を低くすることで、湿度は低く(飽和水蒸気量が小さく)なり、酸化も起きにくくなります。結果的に上記であげた複数の原因の対策にもなります。なにより運用が手軽です。
より完璧にやるなら、豆をジップロックなどに入れ直して、毎回密封して…。となるのですが、僕は手軽さを優先して袋の口を輪ゴムなどで止めて、冷凍庫に放り込んでいます。
冷凍庫保存でも、豆を雑にディスプレイしている巷のカフェなどよりも保存状態は圧倒的に良くなります。
挽く:均一に粉砕できるミルで、淹れる直前に挽く
豆を挽くのは、淹れる直前が理想のタイミングです。
理由は、豆から粉になると、一気に表面積が増え、先述の劣化が急速に進むからです。
※余談ですが、セブン-イレブンのコーヒーが美味しい理由の1つは、「淹れる直前に豆を挽いているから」だと僕は考えています
豆を挽くためのミルを選ぶときは、できるだけ粉の大きさが均一になる構造のものを選びます。これも、味のばらつきを抑えるためです。粉の粒度が様々だと、味の出方にも差が出てしまいます。
プロペラ式、ブレード式のグラインダーは避けるべきでしょう。安価ではあるのですが、粉の大きさがばらついてしまい美味しさがかなり落ちます。
おすすめするのは、臼式のミルです。臼式は粉の粒度のばらつきを抑えられる特徴があります。
ミルの種類に関しては、このnoteが詳しいです。
さらに低速モードがあれば、より良いです。
僕は低速にもできる以下のミルを6年ほど使っていました。最近寿命が来て壊れてしまい、いまは他のミルを試しはじめたのですが、もう一度買いなおすことも考えているぐらいです。
低速モードが良い理由は、砕くときに温度が上がりにくいからです。温度が上がると、劣化が加速してしまいます。
ミルは揃える機材の中でも最も高価なので、安いものを買いたくなりますが、最低でも1万円のものを買うべきだと思います。粉の大きさがバラバラだと、雑味が抑えられなくなります。
(ちなみに僕は昔、粉の粒度を揃えるために豆を挽いた後に、更に茶こし器を使って細かい粉を振り落として粒度を揃えていましたが、面倒なのに効果が小さいので今はやめました)
淹れる:コーヒーサーバーは何でもよいが、ポットは温度計付きを
次は豆を挽いた後のステップです。
コーヒーを淹れるタイミングではお湯を注ぐためのポットとドリッパー(フィルター置くところ)、コーヒーサーバー(コーヒーが溜まるところ)が必要です。
ポットは安いものでも温度計がついたものを買いたいところです。湯の温度はコーヒーの味にダイレクトに影響するからです。
3,000円ほどで温度計つきのポットを買うことができます。
僕は誕生日にもらった高めのポットを使っています。上のものに比べると、容量が大きめです。
もし予算に余裕があるなら、大きめのポットを買うのがオススメです。ポットの容量が大きいほど、お湯を入れるときに温度が下がりにくいからです。
お湯を注ぐ2-5分程の間に、湯の温度は5℃ほど下がります。その変化を少なくできるほど、味はコントロールできるので、ポットは意外に重要です。
一方、ドリッパーやコーヒーサーバーはセットで安いものを買えば良いと思います。
安ければ、1,000円以内でセットが買えます。
僕はこちらを使っています。あまりこだわりはありません。
ドリッパーの形は色々ありますが、僕は1,2人分のときは扇形、3,4人分を淹れるときは円すい形を使っています。
扇形はお湯の出る穴が小さいので、粉にお湯が浸かる時間が長くなり、しっかり味が出やすいです。
円すい形は穴が大きいので、粉にお湯が浸かる時間が短くなり、あっさりした味になりやすいです。
材質は色々ありますが、こだわりたくなったら選べばよいでしょう。材質を選ぶにあたり、「温度が変化しやすいか」というのはやはり1つの評価基準になります。
ちなみに、ホットコーヒーを淹れる前にコーヒーサーバーを温めておくのも、温度変化を防ぐ工夫の1つです。
サーバーが冷えていると、抽出後にサーバーに落ちた抽出液の温度が下がり、味が変化してしまいます。さらに、冷えて味が変化した淹れ始めの抽出液と、これから落ちてくる抽出液が混ざると、コーヒーの雑味が増してしまいます。
それを防ぐために、僕がおこなっている作業ステップと、各器具の状態変化を図にしてみました。
図にすると複雑に見えますが、1分間のできごとです。
ドリッパー内の粉を蒸らしている間に、①サーバーの温め、②ポット内の水を追加、③ポットの急加熱、④コップの温め、を済ませます。そうすれば、すべての器具が温まった状態で、コーヒーを抽出し始められます。
サーバーによる温度変化を防ぐだけでなく、ポット内には適温のお湯が大量に入っているので、湯の温度が下がるスピードを可能な限り遅くでき、味が安定します。
消耗品:コーヒー豆とフィルター
コーヒー豆は前のnoteで紹介しましたが、味の変化を楽しむのであれば中深煎りの豆を使うと面白いかもしれません。
そのほかに、ドリッパーに合うコーヒーフィルターも必要です。
ドリッパーの形だけでなく、サイズ("x杯用"の部分)を間違わないよう注意します。上で紹介した扇形のドリッパーに合うものはこれ。
円錐形のものは以下のフィルターと合います。
豆は1杯分(15g)だと90円~120円、フィルターは1枚3-5円程度なので、ランニングコストは1杯100円、毎日飲んでも月に3,000円程度の出費に収まります。
まとめとコーヒードリップの手順
色々書きましたが、やはり美味しく、そして楽しんでコーヒーを淹れるには「温度をコントロールするための器具を揃える」ことが大事だと思っています。
そのための器具を揃えれば初期は1.5万円ほど、月に3,000円ほどで、そのへんの店よりよっぽど美味しいコーヒーを淹れられる準備が整います。
このnoteは細かく周辺情報も書いたので面倒な気がしますが、器具さえ揃えれば、①豆は冷凍庫に保管しておき、②お湯を沸かして、③豆を砕いて、④器具を温め、⑤お湯を淹れる(、⑥器具を食洗機にぶっこんで洗う)で終わりです。
そろそろ季節も変わってしまいますが、最後にまたアイスコーヒーの淹れ方を紹介します。
それでは、楽しいコーヒーライフを。
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