『土曜午後4時、瞬間的懐古』
世界は万華鏡で、ただのビーズが敷き詰められた現実が、自分のバカな目のせいで複雑に絡み合っているように見えているのであって欲しい。
和紙で包まれた万華鏡、その感触を指で確かめる。ざらついたような、滑らかなような、部分によって違うその感触。
特になにをするわけでもなく達也は時間を潰していた。手にある万華鏡は随分昔に恋人から貰ったものだった。
溌剌とした人で、彼女にとって世界は1+1の計算よりも明快なものだったかもしれない。
達也は彼女のそんなところに惹かれて、そんなところに違