音色が咆哮を模しても
壮大な叫びは列仙のみが知った
瞳孔は狭窄して霞み
私はあまたの存星のなかに
忘れかけた日常の営みを見た
日々はうららかだった
雪解け小川も澄み渡れば
まだ見ぬ青葉の色も脳裏に浮かんだ
日々はうららかだった
もえた緑と謳歌す蝉の声
海のほとりではしゃぐ制服の君が見えた
日々はうららかだった
ベージュの服が似合った姿を
青北がそっと吹いた
日々はうららかだった
オリオンは高らかに唄い
君は仰ぎ無窮を指差した
私は確かにその日常に彼女と居た
それを思い出してもなお
瞳から頬をつたる涙は
私の鼓動が最後のひと刻みを迎えるまで垂れた